トンボノート
No.761. オオキトンボとキトンボの観察.2020.10.16.

今年はアカトンボをかなり積極的に探しに行っています.今日は知人たちといっしょに,オオキトンボとキトンボを見に行くことにしました.天気予報は曇りで下り坂,おまけに気温は低い,ということで半ばあきらめ気分で家を出ました.しかし現地に着くと,雲量から言えば快晴状態.天気予報は完全に外れました.まあこちらに都合よい方に外れたのでよしとしましょう.

現地には10:00少し前に入りました.オオキトンボがちらほら飛んでいました.ちょっとするとタンデムのペアが産卵を始めました.今日は産卵活動が見られそうな予感がしました.そのうちだんだんとオスの数が増え,岸に止まったり,水面をホバリングするようになりました.いよいよスタートです.

▲今日の主役のオオキトンボ.ちょっと顔面にホクロがありますな.
▲ご覧のように日差しの強い快晴の空のもと,オオキトンボが活動を始めました.

オオキトンボは,まだ濃緑色の地色が透けて見えるような色彩で,若い感じです.10:30頃になりますと,あちこちで産卵するオオキトンボが見られるようになりました.今日はビデオではなく写真で記録しました.



▲少し岸から離れた水面で産卵するオオキトンボ.

この池のオオキトンボは,打泥産卵より打水産卵を好んでいるようです.あまり泥底が出ている場所がないからかも知れません.初めのうち,岸近くで産卵していても,沖へ出て行くことが多かったです.







▲向こうへ向こうへと飛びながら打水産卵するオオキトンボ.

どうも最近目が悪くなってきたせいか,微妙にピントが合わせづらく,今日はオオキトンボの写真にあまりいいものがありませんでした.オオキトンボ自体にあまりコントラストがない色彩だからかも知れません.例年オオキトンボのピントには苦労している記憶があります.逆行ではかなりピントがよく合うので,やはり体色のせいのような気がします.

▲逆光になった状態.翅の黄色が透けて見えるのでオオキトンボという感じではある.
▲縦横に飛び回って産卵を続けるオオキトンボ.

さて,オオキトンボに目を奪われていると,いつの間にか,キトンボが混じっていました.キトンボはほぼ同じ場所で打水−打泥を繰り返しますし,割合コントラストの強い色彩のトンボですので,合焦の成功率が高くなります.

▲いつの間にかキトンボが産卵に加わり始めた.


▲オオキトンボに混じってキトンボが産卵をしている.

キトンボの体色は,上のように緑色の草や空が反射した水面の場所ではよく目立つ色をしています.しかし,赤っぽい草が生えているところでは,その背景に体色が紛れ込んで,黄色や橙色や赤色が隠蔽色になっているのが分かります.



▲草の中に卵を産みつけるキトンボ.2枚連続の写真.


▲キトンボの体色はこういった色の草を背景にすると,背景に溶け込むことが分かる.

そのうち,水際で産卵しているトンボの多くがキトンボという状態になりました.打水して飛び上がってねらいを定め打泥するという,独特のリズムの産卵です.オオキトンボの単調な打水産卵とはひと味違います.





▲水際で打水して(上),飛び上がってねらいを定め(中),打泥する(下).

だんだんと集中力が切れてきました.最近は本当に根が続かない感じです.目もしょぼしょぼしています.後一頑張りして,休憩に入りました.





▲あちこちで飛んでいるキトンボたち.

オオキトンボとキトンボの競演は,11:00を過ぎてもまだ続いています.これらアカトンボたちの産卵の中に,シオカラトンボが産卵をしていました.10月の中旬ですが,まだ頑張っていますね.すごい!

▲警護なしで単独産卵するシオカラトンボ.もうオスはいないのでしょうね.

まだ産卵は続いていましたが,知人と相談し別のトンボを見に行くことにしました.しかし,空が急に曇ってきて,天気予報通りの空模様になってきました.そういうこともあってか,あとはたいした成果はありませんでした.そう,タイワンウチワヤンマがまだ頑張っていました.私的には,今までは10月7日が終見記録でしたので,もっとも遅い目撃記録になりました.

▲タイワンウチワヤンマのオス.

ということで,後半はあまりパッとしませんでしたが,所期の目的の場面では快晴状態で,とてもよい観察日和だったと思います.