近畿地方に梅雨明けが宣言されました.というわけではありませんが,以前から予定していたヤンマの調査に行ってきました.が,結果は惨憺たるものでした.まず日中の産卵活動.ヤブヤンマを対象にしたのですが,メスが1回入ってきて,くるくると飛んで,水を飲んでさようなら,それでおしまいでした.夕方の黄昏飛翔を,新しいところ開拓などということで,実績のないところへいってみましたが,オニヤンマとオオヤマトンボが飛んだだけで,これもダメ.今年は,例年行っている場所へ行っても,違う場所へ行っても,トンボに出会えませんね.
ということで,普通のトンボたちの記録だけ撮っておきました.ヤブヤンマを待っているとき,池ではリスアカネがもう活動を始めていました.池の水面近くではオオイトトンボがビュンビュン飛んでいました.アキアカネも2頭羽化していました.アキアカネの羽化としては遅い感じですね.
一番数が多いのは,やはりシオカラトンボとオオシオカラトンボ.両種は入り交じって繁殖活動を展開していました.そして,なんと,オオシオカラトンボの背中にシオカラトンボが止まりました.このシオカラトンボ,飛び立ってはまたそのオオシオカラトンボの上に止まります.オオシオカラトンボも,もう動くのが面倒くさいのでしょうかね.
面白いと思ったのが,ウスバキトンボでした.たくさん飛んでいるシオカラトンボやオオシオカラトンボに交じって,3頭のウスバキトンボのオスが,水面をいったり来たりして飛んで,いわゆる縄張り活動的な動きを見せていました.ウスバキトンボは,あまり他のトンボが産卵しないようなところで幼虫がよく見つかるのですが,こんなにたくさんのトンボが活動している中に混じって,繁殖活動を繰り広げるものなのですね.そこへウスバキトンボのメスが入ってきて単独打水産卵を始めました.当然オスが見逃すはずがなく,捕まえて交尾態になりました.
やがて,オスはメスを放し,連結で産卵を始めようとしますが,他のウスバキトンボのオスがこれを追い回し,なかなか落ち着いて産卵できません.そんな状態が続き,しばらくするとオスはメスを放しました.メスは単独で植生の間に産卵しようとしましたが,今度はシオカラトンボのオスに目をつけられ追われる始末.とうとう,池を去って行きました.他のトンボがほとんどいない公園の池などで繁殖活動をするのは見たことがありますが,こんな他のトンボがひしめき合っている中での繁殖活動は,あまり見たことがありません.なんか新鮮な感じがしました.
さて,14:30ごろにはヤブヤンマは諦め,ヒヌマイトトンボを見に行くことにしました.絶滅危惧IB種ですから,ときどき生存を確認しておく必要があります.このトンボの観察はいつもそうですが,昼下がりの暑い日差しがさす中,熱中症になるのではないかと恐れながらの観察,30分が限度でした.オス・メス飛んでいました.産卵はしていませんでしたが,メスの腹部先端に泥がついていたので,産卵はしているようですね.主に摂食活動をしていました.アジアイトトンボが混じっていました.
さて,夕刻が迫ってきましたので黄昏飛翔の観察時刻です.先に言ったようにこれはダメでしたので,付近にいたトンボたちを記録しておきました.チョウトンボ,ショウジョウトンボ,ギンヤンマ,シオカラトンボ,オオシオカラトンボ,コフキトンボ,オオヤマトンボ,コシアキトンボ,キイトトンボ,オオイトトンボ,クロイトトンボ,オニヤンマなどを眺めて時間を潰していました.すると,クロスジギンヤンマが入ってきました.この時期のクロスジギンヤンマは遅い記録という感じです.
このクロスジギンヤンマ,ギンヤンマとしょっちゅう追いかけ合いをしていましたが,クロスジギンヤンマどうしの時と違い,池を追い出すまでは追飛しないのが見ていて興味深かったです.やはり追飛中に別種だということに気づくのかも知れませんね.なお,クロスジギンヤンマは2頭いました.
シオカラトンボは,昼間でも盛んに産卵活動をしていますが,夕方になるとその頻度がより高くなる感じがしました.また夕方になるとハグロトンボが道路に出てきます.日差しがきついときは日陰に入っているのですが,あちこちにペタペタと止まっていました.そして,水辺では,キイロサナエが止まっているのを見かけました.私的には,7月31日のキイロサナエは,もっとも遅い記録になりました.もっとも,探せば他の方の8月の記録もあるんですけど.
最後,帰り際に,キリギリスが草むらから出てきて止まっていました.夏は,夕方になると,トンボに限らず,他の昆虫たちも,ほんのちょっぴり行動が変わる感じがします.
今日一日で,20種以上のトンボに出会いました.夏はトンボの季節ですね.