トンボノート
No.686. コサナエ属の調査終了.2019.5.11.

今年の5月上旬は,コサナエ属の調査一色という感じでした.オグマサナエだけ繁殖活動の観察ができていないので,今日,一昨日見つけた,オグマサナエがたくさんいたところ付近を調べて,繁殖活動が見られなければそれで,今春のコサナエ属の調査を終えることにしました.というのは,そろそろ川のトンボが賑やかになる頃だからです.

ということで,まずは朝,コサナエ属の産卵を見た池に行ってみました.朝9:00に現地到着.ちょっと遅いのですが,昨日の疲れが出たのか,寝坊しました.例の池にはまったくトンボがいません.しばらくするとコサナエ属のオスが入ってきました.近づいてよく見ると,フタスジサナエでした.

▲一昨日は1頭しか見かけなかったフタスジサナエが降りてきた.

なんか嫌な感じです.オグマサナエはどうでしょうか…,しばらく池のそばに立って見張っていますと,9:43,池岸の陸上部分でコサナエ属が産卵しているのを見つけました.色といい,大きさといい,産卵行動といい,どう見てもフタスジサナエです.近寄ってみますと,その通りでした.

▲右の影のように見えるのが池面で,陸上部の草の中で産卵している.




▲陸上部分で産卵するときは体を軽く振るだけで,緩やかな動きで産卵を続ける.

決してフタスジサナエが嫌いなわけではないのですが,どうもねらいのトンボが来ずにフタスジサナエが来ると,がっかりしてしまいます.気を取り直して,もう少しようすを見続けることにしました.別のフタスジサナエが池の枯れ枝に止まりました.

▲フタスジサナエのオス.

オグマサナエの姿はまったくありません.どこか別の所に繁殖活動を行うところがあって,みんなそちらへ行っているのかも知れません.10:14,足下に産卵メスが入りました.一目見てフタスジサナエと分かりました.

▲今度のフタスジサナエは水際で産卵をした.




▲産卵する2頭目のフタスジサナエ.

これで腹を決めました.ここはここまでとし,一昨日のもう一つの池に行くことにしました.12:00頃に池に入りますと,オグマサナエのオスがきちんと止まっていました.こちらが正解だったかも知れませんね.まあ,愚痴を言ってもしかたありません.ここでしばらく待ってみました.オグマサナエの他にタベサナエもいて,オスどうしが追いかけ合いをしていました.



▲池の中の枯れ枝に止まっているオグマサナエのオスたち.
▲これはタベサナエ.タベサナエも混じって縄張りを形成していた.

気温はどんどん高くなるし,オスたちは活発に活動しているし,これではメスがやって来たとしても,簡単にオスに捕まるか追われてしまうことは明白です.そこで,いったん引き上げ,夕方に来てみることにしました.再びやって来たのは16:40ころです.池に入りますと,オグマサナエはいなくて,タベサナエが堰堤に沿って縄張りを広げていました.昼に来たときはオグマサナエが真ん中に陣取って,タベサナエが隅の方にいたのですが,オグマサナエがいなくなると,昼間オグマサナエが止まっていた枝にまでタベサナエが止まっていました.オグマサナエの方が強いのでしょうか?

▲タベサナエがまだ頑張っていた.この枝は昼間オグマサナエが止まっていた枝.

さて後は待つだけです.タベサナエのオスと人間のオスが縄張り争いをしながら,メスが来るのを待ちました.しかし,まったくメスの姿を見ることはありませんでした.18:00に終えることにしていました.18:00が来たとき,タベサナエのオスはまだ粘っていました.昨日のホンサナエのように,最後にメスをゲットできるかな? 頑張ってねと心の中で言って,池を後にしました.

▲18:00になっても,まだ頑張っているタベサナエのオス.

ということで,今年は結構頑張ってみましたが,オグマサナエの産卵を見ることができませんでした.去年はヤマサナエに固執しましたが産卵を見ることができなかった,そして今年はオグマサナエ.なかなかトンボも手強いです.