秋も深まってきました.もう11月も目の前です.キトンボの年越しを今年の観察終了と考えている私的にはまだトンボシーズンは2ヶ月くらいあるのですが,通常の成虫観察は,そろそろ終わりに近づく時期です.今日は全国的に晴れるとのことですので,今シーズン最後の兵庫県北部への観察行に出かけました.最後にするのは,これ以降新たに観察できる種が現れないからです.
今日のねらいは,ほぼ不可能と思われる,飛来種オナガアカネの産卵観察ということにしました.すでに2回の歳時記で紹介しているように,今年はオナガサナエの飛来数がやや多く,メスも観察されています.そこで,最後を飾って,無理を承知で,行ってみることにしました.「虎穴には入らずんば虎児を得ず」というのはちょっと大げさすぎますが,まあ片道3時間もかけて出かけていくので,これくらいの気持ちでないと,このねらいではなかなか行けません.ついでに,カトリヤンマ,ノシメトンボの産卵もプランBで用意しました.
▲ノシメトンボのオス.今年はノシメトンボの産卵を本当に見かけない.結局オスがいただけ.
ノシメトンボは,この生息地では,今年は非常に数が少ないです.もっと時期が早いのでしょうか.今年はここで産卵を記録することができませんでした.兵庫南部で仕切り直しです.カトリヤンマも,結果として,今日は飛ばず.プランBは,全くの役立たずで終わりました.相変わらず活発に活動していたのはアキアカネでした.
▲アキアカネの交尾.赤い茎のオオイヌタデの中で赤いオスと赤いメスが交尾中.
▲アキアカネの産卵.ここでは泥面が少ないので,打水産卵をしている.
予定にはありませんでしたが,ノシメトンボの代わりに,ナツアカネが草地で産卵をしていました.2ペアが隣り合わせで産卵をしていましたが,一方に焦点を当てました.
▲草地で産卵をするナツアカネ.
さて,肝心のオナガアカネの産卵ですが,「想定通り」観察はできませんでした.しかしながら,メスは姿を見せました.湿地の水辺を,オスを誘うようにひらひらと飛んでいました.しかし警戒心は非常に強く,容易に近づくことができませんでした.そして短時間で姿を消してしまいました.なかなか産卵してくれませんね.
▲短時間姿を現したオナガアカネのメス.
このオナガアカネのメスは前回観察したものとは違う個体です.前回の個体は左前翅の先が欠けていましたが,これはきれいな状態です.すぐそばをオスが飛んでいたのに,このオスはこのメスを見つけることができなかったんですね.見つけて捕まえれば,交尾態が見られたかもしれません.残念です.「オス君しっかりしたまえ」と心の中でさけんでいました.今日はオスは3,4頭いたと思います.いちおう,違うポイントで撮った4個体を載せておきます.
▲今日見つけたオナガアカネのオスたち.同じ個体が入っているかもしれない.
現地では5時間ほど粘っていました.天気予報どおり晴れではありましたが,晴れの定義は「雲量が2から8」です.たしかに雲は全天の8割以下でした.でも,太陽が雲に隠れる時間が結構多く,トンボ観察にはあまりいい条件とはいえない一日でした.来春,オナガアカネの幼虫探索に来ることにしましょう.メスが少なくとも2頭はいたわけですから...