続 トンボ歳時記
No.641. キトンボの観察.2018.10.9. Part-1.

今日は兵庫県南部地域は午前中が晴れということで,アカトンボの観察にはちょうどよい天気予報.コノシメトンボを目的に出かけることにしました.コノシメトンボは,どちらかというと海岸近くの池によく集まるように感じているので,15年以上も前にコノシメトンボの産卵をビデオに撮った池に行くことにしました.ここには,そのころ,キトンボやオオキトンボもいましたので,まだそれらが生き残っているかどうかの調査も兼ねています.

現地到着は9:45ころでした.まずは池の周囲を歩いてみました.すると,あちこちにキトンボが止まっています.私がそばを通ると,ぱっと飛び立ってホバリング飛翔をします.キトンボまだいたんですね.今日は複数のアカトンボを観察できそうです.特にキトンボの個体数が多かったので,これと,他のトンボを分けてまとめることにしました.

▲池岸に止まるキトンボのオス.

▲私が横を通過すると,パッと飛び立ってホバリングし,様子をうかがう..

▲しばらくホバリングすると岸に近づき,止まろうとする.

▲あまり脅かしすぎると,木の上に上がって止まる.

特にキトンボがよく集まっている,池の浅い部分に陣取ることにしました.ここにはキトンボ以外にもいろいろなトンボがいましたが,これらはPart-2.で紹介することにします.さて,一通り池の様子を確認し終わったころ,10:15ころです.キトンボが産卵にやって来ました.ほとんど退屈することもなく,産卵観察が始まりました.

▲キトンボの「重連」が,産卵に入った.

▲草の生えている岸辺での産卵である.

▲打泥あるいは打水のポイントを探っているのだろうか.

▲見ての通り,通常の打水産卵である.

キトンボの典型的な産卵様式は,まず岸近くの水面で打水し腹部先端に水を含ませた後,岸の泥部分に打泥して卵を貼り付ける,という打水−打泥の繰り返しの行動です.しかし,ここの池の岸辺には裸の泥が露出していません.見ていますと,通常の打水産卵を繰り返しています.ただ,腹端を打ちつけるポイントは,岸辺の水際です.

▲オスが下降の体勢をとると,メスは腹部をやや上方に反らし,打水の準備を整える.

▲まさに水際に打水する.

▲岸に沿って少し移動しているペア.

▲また水際に打水した.

▲さらに移動し....

▲また水際に打水する.このような行動を繰り返している.

このペアは結構サービス精神が旺盛で,長い時間産卵を続けてくれました.岸から離れることもなく,あちこち私から逃げるように遠ざかろうとはしますが,すぐにまた近づいてきて産卵をします.撮影場所が池の西岸なので,太陽が照りつけ,逆光になります.池に入って撮るべきでしたね.

▲私の動きを気にしながら,産卵を続ける.

▲旋回するキトンボのペア.

▲あっちへ行ったりこっちへ行ったり,飛び回るペア.

▲そしてまた打水するポイントを定めて....

▲打水する.

産卵の時間帯になったようです,次々にキトンボのペアが入ってきます.オオキトンボも産卵を始めました.コノシメトンボも産卵を始めました.こうなるともうどれを撮っていいのか分からなくなります.今日のねらいはコノシメトンボですし,オオキトンボはキトンボほどは多くないので,これらを優先し,その合間に次の産卵ペアをねらいました.次のペアは,少し池岸から離れたところでも産卵をしました.ほぼ完全な打水産卵をしています.

▲最初は,普通に岸辺の方をねらって,池に平行に飛ぶ.

▲そして,池岸の水際で打水する.

▲ところが,体を岸とは反対側に向けて飛び....

▲普通の打水産卵をした.腹部先端が水中に沈んでいる.

次のペアは,少し角度的に,順光になる岸辺で産卵をしてくれました.しかも全然逃げることなく,私の真下で産卵しています.ところが,近すぎてピントが合わず,ぼけピンの大量生産に終わってしまいました.いくつか写っていたものを最後に紹介して,キトンボの観察を終えることにします.

▲同様に岸辺近くで産卵をする次のペア.

▲目の前で産卵したので,かなり大きくファインダーに入った.

▲順光になる位置で産卵してくれたのでキトンボの色が出ている.

▲産卵している岸辺の微小環境はこんな感じである.

▲岸辺の水際に打水しようとするペア.

▲真下で産卵しているペア.

▲かなり長い間産卵してくれたが,これでほぼ終わりとなった.

この池での観察を終えた帰りに,ちょっとだけ別の田園地帯を歩きましたら,キトンボが止まっていました.太陽を浴びて輝く黄色い翅がうまく写っています.ということで,Part-2.に続きます.

▲別の場所で見つけたキトンボのオス.