続 トンボ歳時記
No.574. コサナエの産卵,そして動き出す春.2018.4.29.

今日も朝から快晴.昨日はオグマサナエの産卵観察が不調だったので,今日は確実に成果が出る作戦,コサナエの産卵観察としました.兵庫県北部まで行くので,その他の観察もできるだけ行うことにしました.

まずはコサナエの産卵から.現地に入ったのが9:30ころでした.入った途端,コサナエが産卵にやってきました.

▲池岸の上の笹の間で産卵するコサナエのメス.

▲やはり,腹部を振って,卵をばらまいているようだ.

▲ときどき静止して休息するのは,フタスジサナエやオグマサナエと同じである.

草の間で産卵しています.卵は陸上に落ちるようです.フタスジサナエなどと同じように,腹部を振って卵を撒いています.ちょっとピントが甘かったですが,腹部を振った瞬間が撮れています.途中で止まって休憩するところもフタスジサナエと同じです.オスたちはすでにこの産卵ポイントのまわりにたくさん集まっています.

▲まさに産卵ポイントで静止するコサナエのオス.

▲さっきのメスが産卵していたあたりに止まっている.

▲コサナエのオスはよく飛ぶ.岸の方をつつくように見渡して飛び,メスを探しているのだろう.

続けてメスが入りましたが,オスに水面にたたき落とされて,一目散に逃げていきました.オスにご遠慮いただこうとしましたが,4頭ほどいたので,いたちごっこ状態,追い払うことは不可能と悟りました.オスはときどきホバリングして,池岸の方を向き,メスを探すような行動をします.などと言っている間に,またメスが入りました.3頭目です.9:43のことです.

▲今度のメスは先と違い,別の池岸の方で産卵を始めた.

▲いろいろな方向を向いて産卵するコサナエのメス.

このメスは,オスたちが集まっているところから少し離れた池岸で産卵をしていました.まあ,コサナエの産卵を観察に来て,到着後15分で Mission accomplished というわけでした.まあ,こんな日もなくてはね.さて,この後,20分ほど待ちましたが,後続のメスが来ません.今日は気温の上昇も早いようで,もっと早く来れば良かったのかもしれません.ということで,池の周囲を見渡して,ホソミイトトンボでも来ていないかと探しました.すると,またもや別の場所でコサナエが産卵していました.10:05のことです.

▲4頭目のメスの産卵.先とは違うポイントである.ここでは上からのアングルになってしまう.

▲昨日のフタスジサナエの顔写真が気に入ったので,今日はコサナエの顔写真だ.

もっと粘ってたくさんの写真を撮っても良かったのですが,同じような写真ばかりになるので,別のトンボの観察に切り替えることにしました.そこで,ちょっと移動すると,シオヤトンボが交尾をしていました.これは産卵を始めるぞ,ということで,早速近づきました.

▲小さな水たまりを選んで産卵を続けるシオヤトンボのメス.

▲極めて普通種だが,シオカラトンボの仲間としては,なかなかきれいな色彩をしていると思う.

▲水を前に飛ばす直前の姿勢.腹部先端が水につかっている.

シオヤトンボはたくさんいるのですが,ほとんどすべてが成熟し,あちこちでオスが追い掛け合いをしています.別の場所で撮ったオスを一枚添えておきます.オスも新鮮な成熟個体はなかなかきれいです.成熟度合いが進んでくると複眼が深い青色になり,なかなかのものですが,この個体はまだ少し白っぽい感じが残っています.

▲シオヤトンボのオス.青灰色の粉の色が春らしい淡い色彩で,私は好きである.

近くの小川を歩くと,処女飛行に飛び立つやや大型のサナエトンボが見られました.そのうちの1頭はまだ十分飛ぶことができないらしく,川の畔の草に?まるように止まりました.ヤマサナエでした.付近には羽化殻も2,3着いていました.

▲ヤマサナエの羽化殻.

▲私の足音に驚いて飛び立ったは良いが,まだ十分飛べる状態ではなかったようだ.ヤマサナエのメス.

ヤマサナエの羽化は大体終わってしまう時間帯のようで,羽化途中の個体は見つかりません.そこで,場所を少し変えて探してみることにしました.少し川の下流の方に移動し,草の影になっている薄暗い水際を探索してみました.正解でした.羽化途中の個体を1頭見つけました.さらに少し歩くと,オスの羽化個体が飛び出してきて草の中に止まりました.ヤマサナエはもう羽化を始めているのですね.今年はやっぱりトンボの季節が少し早いほうにシフトしているのかもしれませんね.

▲羽化途中のヤマサナエのメス.草がオーバーハングした下の薄暗い日陰.

▲やはり私の足音に驚いて飛び出したヤマサナエのオス.これもまだ十分飛べないようだ.

さて,この川は,昨年ホンサナエを見た川でしたので,周辺を歩いてホンサナエの未熟個体でも探してみることにしました.まあ,これはそう簡単にはいきませんでした.いたのは,ハラビロトンボの未熟な集団とニホンカワトンボの未熟な集団でした.

▲ハラビロトンボの未熟なオス.

▲ハラビロトンボの未熟なメス.

▲ニホンカワトンボの未熟個体が,林縁の日だまりに休んでいた.

ここのところ,毎日のようにトンボ観察に出ているのですが,毎年姿を見るのに,今年まったく出会えないトンボがいます.オツネントンボです.それに,ホソミイトトンボも,1,2個体が飛んでいるのは見かけますが,集団で産卵する姿は見られません.そこで,思い切って場所を移動し,数年前ホソミイトトンボがたくさんいた場所へ行ってみることにしました.でも,結局見つからずで,普通の種類に苦労する,変なトンボシーズンの幕開けです.いつも一番数が少ないホソミオツネントンボだけはどこへ行ってもやたらに目にするのですが.ここでは,オオイトトンボが,もはや産卵活動を行っていました.

▲オオイトトンボのタンデムペア.かなりの個体数が飛んでいた.

▲直立姿勢で産卵するペア.

▲これ一体何に?まってい浮いているのだろう..

▲この木は産卵基質としては少し堅いと思うのだが,と,すぐに飛び立った.

オオイトトンボも数が減ってきたように感じるのですが兵庫の北の方ではまだまだ健在です.ということで,ちょっとトンボ観察が連日続いていることもあり,まだ昼過ぎですが帰途につくことにしました.帰りに地元の池にトラフトンボの様子を見に寄りました.しかし,今年はトラフトンボの数が非常に少なく,卵塊づくりの様子を見ることができないかもしれません.ヨツボシトンボが西に傾いた日を浴びて止まっていましたので,これを最後に,今日の観察納めとしました.

▲帰りに寄った池にいたヨツボシトンボ.今年はこの池のヨツボシトンボも数が少ない.

明日も晴れそう.どうしようか(独り言).