トンボ観察記
No.517. コサナエの暴れ産卵.2016.5.4-5. GW-4

ゴールデンウィークの第4弾は,コサナエの産卵観察です.コサナエは兵庫県では北部にしか分布しないので,長距離をドライブしての観察になります.5月4日,5日の二日続けての観察になりました.一日目はビデオの記録を中心にしました.現地に入ったのが9:00ころです.過去の観察では,だいたい10時ころから11:30ころまでとぎれとぎれに産卵メスがやってきていました.この日は朝からよく晴れ,気温もどんどん高くなりましたので,絶好の観察日和です.

0504-11▲コサナエのオス.到着早々からオスにお目にかかれた./5月4日.

9時半あたりになると,オスが何頭か池畔に降りてきていました.9:54,最初の産卵メスの発見です.続いて9:59,2頭目の産卵メスが入りました.10:04,3頭目のメスです.連続で入ってきますが,これがコサナエの特徴です.そうこうしているときにクロスジギンヤンマが産卵に入ってきたので,一時コサナエの観察を中断し,こちらに注目.そのあとコサナエの産卵は10:45でした.午前中はこれで終わりで,あとは午後15:17にも産卵に入ってきました.フタスジサナエなどと同じで,午前にも午後にも入ってくる感じでした.

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0504-15▲コサナエの産卵(15:17).産卵中時々止まるのはフタスジサナエと同じ(下)./5月4日.

オスたちは池を出たり入ったりしていて,あまり長時間同じ位置でメスを待ち続けるといった感じではありません.すぐに姿が見えなくなってしまいます.

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0504-13▲コサナエのオスたち.メスが産卵に来ると一気に飛び立つ./5月4日.

この日は,他のアサヒナカワトンボ観察にシフトしたりして,コサナエの観察はこの程度で終わりました.そこで,翌5月5日にもう一度コサナエ観察をすることにしました.この日は写真を撮ることを優先しました.

やはり現地には9:15頃に入りました.この日は強風が吹いていて,雲も多く,あまり良いコンディションとは言えませんでしたが,いちおう晴れてはいました.ついている日はよくしたもので,現地到着後10分ほどしたときに,メスが産卵に入ってきました.このメスは比較的おとなしく,かなり長時間産卵もしていましたので,写真もよく撮れ,来たとたんに仕事を片付けた感がありました.その後も続けて10分ほどの間に2頭が産卵に入ってきました.

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0505-04▲コサナエの産卵(いろいろな時間帯)./5月5日.

とにかく続けてメスがどんどん入ってきます.この日は午前中で観察を終えましたが,10頭以上のメスが産卵に来ていました.オスにつかまったのも2頭いました.産卵途中でオオイトトンボが処女飛行したのを見つけたメスがいて,一気に襲い掛かり,産卵活動を摂食活動に切り替えたメスもいました.下の写真は腹部先端が下を向いて曲がっており,産卵途中であったことを示しています.

0505-07▲産卵中オオイトトンボに食いつき,産卵行動を摂食行動に変えたメス./5月5日.

コサナエは途中で産卵を中止することもできることを知りました.このメスは餌を加えたまま林の中へ消えていきました.

ところで,今日のタイトルの暴れ産卵ということについて最後に紹介しましょう.今日もある程度写真が撮れたので,日向に出てくる個体については,またビデオを回しました.ところが,日向で産卵するコサナエは,激しく場所を移動して飛び回り,一時として同じ場所で停止飛翔することなどありません.止まることもない場合があります.これではビデオもお手上げです.一瞬停止飛翔すれば撮影できる写真すら難しい.で,ビデオカメラを広角側に切り替えて,目測で飛ぶトンボを追いかけるという方法で撮ってみました.最後にそれを紹介します.もうめちゃくちゃな映像ですが,いかにコサナエのメスが激しく動き回って散乱しているかお分かりいただけると思います.カメラを振り回していますので,あまり集中すると気分が悪くなるかもしれません.