今日,ホームページの充実のために,オグマサナエの幼虫採集に出かけてきました.オグマサナエは各地で見られますが,数が少ないので,幼虫が網にかかりにくかったのです.今日は,昨春産卵に来ていた池へ,採集するまで帰らないという覚悟で挑みました.結果,1時間半くらいかけてやっと1頭の終齢幼虫を採集することができました.
▲オグマサナエの幼虫.腹部第10節の長さは一番細長い.
その採集の過程で,この池で成虫を見ることのなかったタベサナエの幼虫まで採集できました.この池にはもともとフタスジサナエは多かったので,これで3種のコサナエ属すべてが一つの池で見つかったことになります.それほど珍しいことではないと思いますが,記録しておいてもよい情報です.
▲タベサナエの幼虫.各腹節に明瞭な背棘があるのが見える.
▲フタスジサナエの幼虫.腹部第10節の長さは中間程度.
コサナエ属4種の幼虫の区別は,タベサナエを除いて,結構難しく感じられます.タベサナエには背棘が腹部第4〜9節にあって(ただし第4節のものは不明瞭なものがあるので,コサナエ属であることが分かれば,5〜9節にあればタベサナエとみてもよい),他のコサナエ属幼虫にはそれがありませんから,まずタベサナエは簡単に見分けられます.
他の3種は,ふつう腹部第10節の長さ(正確には太さに対する長さの比)で区別されることが多いです.これが一番長い(大きい)のはオグマサナエ,次にフタスジサナエ,そしてコサナエが一番短くなっていますが,幼虫を見たことがない人にはこれが意外と難しい.
▲コサナエの幼虫.2011.10.29. 豊岡市産.腹部第10節の長さは短い.
コサナエは,兵庫県においては分布域が他の3種とほとんど重なることがないと考えられていて(兵庫県北部に限られる),採集場所でほぼ見当がつけられます.そしてオグマサナエとフタスジサナエは,泥を落としてみると,オグマサナエの方が色彩が黒っぽく,全体的にコントラストの高い色調で,特に腹部腹面が黒いのが特徴です.
▲オグマサナエ(左)とフタスジサナエ(右)の腹部腹面の色彩の違い.オグマサナエの方が黒っぽい.
幼虫採集には,泥を落とすための柔らかい歯ブラシは必携ですね.