新 トンボ歳時記
No.460. ヒメクロサナエの静止接水産卵.2014.6.7.

今日も天気予報の悪さにもめげず,源流域への挑戦をしてきました.この数日間雨が降ったりして天候不順で,今日は曇りベースではあるものの,少し太陽が顔をのぞかせそうな予報.「雨が降った後の晴れ」というのが,産卵観察のチャンスなのです.それは,産卵したくてウズウズしているメスが,少しの晴れ間にでも産卵をしにやってくるからなのです.今日はそういう絵を描いて出かけたのでした.そして,その絵の通りにヒメクロサナエが産卵に下りてきました.

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時刻は10時過ぎ,少し晴れ間が出たあとのタイミングでした.今までの観察では,どちらかというと午後に産卵を見るケースが多かったのですが,さすが「雨の後の晴れ」,午前中に産卵に下りてきました.気温もまだ十分に上がっていない感じでしたが,たぶん産卵したかったのでしょうね,このメス.産卵後,少し飛び上がって,ササの葉に止まってちょっと休息してから,樹上に上がっていきました.

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本当に樹上生活しているのですね,ヒメクロサナエは.....今日はオスは全く下りてきませんでした.オジロサナエでは,オスが現れる前に産卵に来るといった観察記録があります.今日の天候から見て,時刻は10時過ぎでも,オスが現れる前のタイミング的状況だったかもしれません.

さて,狙いが図に当たったことに気をよくしていると,また同じところにメスが入りました.続けてきたか...と思って止まるのを待ちましたが,止まりません.よく見るとクロサナエでした.まあ,本当に,この5年間で会えなかったトンボたちに,こう,いとも簡単に出会ってしまうと,あっけない感じがします.

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今日は結構よくピントが来ましたが,背景が遠かったので,暗い写真になってしまいました.ところで,今日は最後までここで待ち続ける予定しにしていましたが,11時ころから急に雲行きが怪しくなり,とうとう雨が降り出しました.ということで,今日はここを引き上げました.朝少し立ち寄ったヒラサナエをちょっと掲載しておきます.

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ということで,平地へ下り,ヤマサナエやキイロサナエでも見に行くことにしました.平地はまだ明るく気温も高めです.繁殖活動は期待できませんが,止まっているオスたちでも記録しておくことにしました.

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ということで,今年は,春の源流域の主なトンボたち,ムカシトンボ,クロサナエ,ヒメクロサナエ,それぞれのオスとメスそして産卵という,一通りの観察を何とか成功させることができました.しかし,源流域というところはなかなか難しいところだということが分かりました.今日も結局3時間ほど滞在して,クロサナエの産卵とヒメクロサナエの産卵を見ただけで,あとはトンボの姿なしなのです.これらはいずれも1分程度で終わっていますから,滞在時間の1%程度だけをトンボと過ごしたことになります.源流域を攻めるには,まずは幼虫で生息を確認し,次いで樹上生活をするトンボが下りてくる場所に見当をつけ,あとはそこで待つ.これしかないようですね.なお,今までのオジロサナエや,今回のヒメクロサナエ,クロサナエの観察を通して,樹上生活をするトンボが下りてくる場所というのは大体イメージができました.これは大きな成果となりました.

最後に,昨年も書きましたが,今回の観察場所は「黄昏あきつ日記」さんの情報によります.感謝いたします.またどこかで会えるとよろしいですね.

さて,来週は土日とも仕事となります(晴れそうな予報(涙))ので,源流域春の陣はこれで終わりになる予定です.