新 トンボ歳時記
No.430. オジロサナエの観察−その2 2013.7.20.

先週に引き続き,今日もオジロサナエの観察に出かけました.何とかして産卵を観察したいということですが,それだけにとどまらず,朝早くのオジロサナエの行動についても見てみたいというのが今日の目的です.自宅を早朝に出て,現地に着いたのは8:30ころでした.太陽がまだ低いので観察地は日陰になっていて,石や葉も露で濡れています.オジロサナエはまだ姿を見せていませんでした.何時頃,どんな形で,オジロサナエが姿を見せるのか,待つだけです.

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まず最初にやってきたのは,メスでした.産卵ポイントに日が当たり始めたころ,少し奥の日陰に現れました.時刻は9:17.まだオスは一頭も見かけていません.メスはオスがいないころを狙って産卵に来ているのでしょうか.そういう状況を予想していましたが,その通りの行動が見られました.このメスは一段高いところで産卵をしていましたので,真横から狙いやすく,卵塊を入れて撮ることができました.

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続いてまた降りてきたのはメスです.時刻は9:32.今度は日陰のすぐ縁の日当たりで産卵を始めました.この間まだオスは姿を見せていません.オスが来る前に産卵が立て続けに2回見られましたね.

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この後,産卵はぴたっと止まり,10:00前になってオスが降りて来始めました.最初は様子を見るかのように,川面の石に止まっては,すぐに飛び去るといったような感じです.

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オスもだんだんと数を増し,日も高くなってくると,落ち着いて止まるようになります.向かい合ってぐるぐると飛ぶ「闘争」も時々見られるようになりました.そんなとき,やっと3頭目のメスが降りてきました.11:23のことです.

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ただ,このメスは,比較的短時間で産卵をやめ,樹上へと上がっていきました.オスに見つからないように石の陰で,小さな動作で産卵をしました.オスがいなかった最初の2回の産卵とは動きが違いました.メスが飛び去った後に,すぐにオスが2頭姿を見せましたが,オスはメスが産卵しそうなところをよく知っているのですね.メスが卵塊を作って止まっていた石と同じ石に止まりました(下の写真).

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その後もオスは降りてきたり飛び去ったりと,元気に活動を続けています.ただ,10:00ころに比べると,同じ場所にじっとしていることが多くなっています.

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12:00を過ぎたので,今日もまた夕方が仕事になっていることもあり,ここで帰ることにしました.帰り道,知人のAさんに会いました.Aさんは,「オジロが交尾している」と言ってカメラを向けていました.私もちゃっかりと相乗りさせていただき,オジロサナエの交尾写真を撮ることができました.オジロサナエは交尾すると高いところに飛んでいくことが多く,間近で見られるチャンスは少ないように感じます.

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なわばりオス,交尾,産卵と,今日は繁殖活動を一通り観察・記録することができました.半日オジロサナエづくしでした.今日の観察結果は,次のようにまとめることができます.

(1) 9:00を過ぎたころにまずメスが産卵に来た.
(2) 10:00ころにオスが降りて来た.
(3) その後の産卵は,オスに見つからないような陰になった位置で,短時間で終えた.
(4) オスはこのようなメスを見つけて,どうやら交尾をしているようである(推測).

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