上の写真は,帰りにみた積乱雲です.積乱雲は夏の代表的な雲で,蒸し暑い午後に見るといかにも夏という気持ちになります.でも,吹いている風が乾いていて秋を感じさせるようになると,逆に夏の終わりを感じさせるようになります.今年も脇目もふらずトンボを追いかけてきましたが,私の大好きな夏も終わり,ちょっと感傷的な気持ちになる今日この頃です.
今日は兵庫北部へヤンマを見に出かけました.ねらいはコシボソヤンマとミルンヤンマ,前者は産卵,後者は未熟成虫のぶら下がりです.ところが,期待して出かけた谷筋が,今日は地元のお祭りということで,朝からたくさんの人が出ていて,草刈りやお祭りの準備をしていました.これでは谷筋の道に止まっているミルンヤンマも驚いて逃げてしまうでしょうね.結果は全く姿を見ずでした,コシボソヤンマの方は,産卵メスを見つけましたが,こちらが気づく前に相手に気づかれ,そのまま逃げられてしまいました.ということで,収穫はゼロ.この谷筋には,この時期に意外と姿を見ないナツアカネがひっそりと止まっていました.まだ胸部が赤くなっていない半成熟の個体です.またミヤマアカネがメスひとりでぽつんといました.
谷筋に生息するトンボとしては,ミヤマカワトンボはたくさんいましたが,それ以外で唯一のものはオジロサナエでした.ただ,数も少なく,非常に敏捷で,近づくこともままなりませんでした.
ということで,午後からはねらいを変えて,ヤブヤンマの産卵を見に行くことにしました.これは見事に的中しました.現地に着くと,さっと飛び立った産卵メスがいて,しばらくホバリングをしてこちらの様子をうかがっていましたが,私もじっと固まった状態で待ちますと,産卵を再開しました.
産卵を再開すると,かなり神経も図太くなるようで,ストロボの光にも全く動じません.少しずつ場所を変えながら,産卵を続けました.12:17に観察を開始してから12:52に飛び立つまで,じっくりと観察ができました.今日はコケの間に卵を産みつける動作が多かったように感じました.
ヤブヤンマを観察しているとネアカヨシヤンマも産卵に入ってきて産卵をしましたが,こちらは落ち着きがなく,すぐにどこかへ飛んでいきました.
ヤブヤンマの観察も十分できましたので,3時を過ぎてからギンヤンマの産卵を見に行きました.ギンヤンマは8月後半から9月後半の間の,午後遅くによく産卵が観察できます.今日も2ペアが産卵に入っていました.
ただ,この連結産卵のペアというのは意外と神経質で近寄るのが大変です.今日は「じっと待てとちょっとだけ追いかけて」作戦で観察をしました.日が大きく傾いていてコントラストが強くなりますが,これも日が短くなってきた証拠で,夏の終わりを感じさせる光の演出なのです.どうも今日は感傷的ですね(笑).
さて,最後に今日のゲストはウスバカゲロウです.トンボとよく似ていますが,翅を屋根型にたたむことができる新翅類です.先日紹介したツノトンボと同じく脈翅目に属します.幼虫はかの有名なアリジゴクですね.これは最初の谷筋で見つけました.
ということで,今日は,夏の最後を飾るヤンマの観察でした.まだまだ夏は続いていますが,私的には,夏が終わった感じが強くなった,今日でした.