新 トンボ歳時記
No.333. キトンボの生き残り調査 2012.1.1.

あけましておめでとうございます.

今日より新しいブログソフトを使うことにしました.


さて,今日は新年早々,キトンボの生き残り調査に出かけてきました.天気は下り坂との予報でしたが,空模様と雲の位置を見て大丈夫と確信をし,サイトBから先に調査をすることにしました.

現地に着いたのは10:52,空は雲ひとつない快晴状態.池の堰堤を歩くと,たくさんのユスリカが蚊柱をつくっていました.このサイトは,真冬でもこういった小昆虫がたくさんいて,キトンボのエサになっているのだと想像しました.

ユスリカの蚊柱

冬に生き残っているトンボたちにとって,寒さだけでなく,エサの確保や捕食者である鳥から身を守ることが,重要な生き残り戦略になります.日が陰るとすぐに木立の中に姿を消すのは,低温で動きが緩慢になる前に捕食者から逃避するという点で適応的です.

サイトBのキトンボたち

さて,目的のキトンボですが,昨年末29日と同様,オスが10頭以上,岸辺を飛び回っていました.動きは非常に敏捷で,近づくのも容易ではありません.オスどうしの追いかけ合いも頻繁です.個体密度が高いため,個体どうしの距離が近いせいでしょう.ところが着いて30分もしないうちに雲が出てきて,太陽を隠してしまいました.キトンボたちは,飛び立つと木立の方に飛び去っていくようになりました.今日は新年のあいさつのようなものですから,産卵活動を待つことはやめにし,とりあえず帰途につくことにしました.

帰り道を車で走っていると,また雲が切れて青空が広がり,太陽がまぶしく輝くようになりました.定点サイトへ観察に行くことにしました.着いてすぐ,池岸を飛ぶオスを目撃しましたが,止まった場所に姿がなく,どうやら見逃してしまったようです.するとすぐに雲が太陽をおおい,それが通り過ぎるまで15分ほど休憩状態.再び太陽が顔を出してしばらくしたとき,オスが水辺に入りました.

定点サイトのキトンボたち

定点池では,初の年越しです.この個体は,多分No.5の個体だと思われます(下の図).ただこの個体も翅に破れが出始めました.少しずつ老いてゆくのですね.いずれにしてもこれで,2サイトとも,越年を確認しました.あとは,いつまで生き残るか,そしてサイトBでは,いつまで産卵活動が見られるか,まだまだトンボシーズンは続きそうです.

個体識別