トンボ歳時記
No.310. 普通種大作戦 本年最終回. 2011.9.11.

今日は,今夏の宿題の,オニヤンマの産卵接近遭遇をめざして,兵庫県北部まで出かけてきました.ところが,現地に着いたとたん,不戦敗が決まったようなものでした.ストロボを忘れてきたのです.日陰で産卵するオニヤンマは高速シャッターを切らなければ,黄色い斑紋が流れてしまうのです.思い切り暗いところで産卵してくれたら,低速シャッターでもストロボの光で止まるのですが... 仕方ありませんので,カメラの内蔵ストロボを利用し,低速シャッターで勝負をかけることにしました.

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▲現地の小川と,ハグロトンボの産卵.

現地では,ハグロトンボが多数飛んでいて,今がまさに盛りという感じでした.産卵は午前中から始まっていましたが,午後に多く行われていました.日が西に傾いても,黙々と産卵を続けていました.

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▲セスジイトトンボの交尾と産卵.

ハグロトンボに混じって,数は少なかったですが,セスジイトトンボが産卵をしていました.今年はセスジイトトンボには今まで空振りばかりしていましたので,これはラッキーという感じでした.

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▲オオシオカラトンボの産卵.

流れの横に広がる湿地では,オオシオカラトンボが何度となく産卵に訪れました.そこになわばりをはっていたオスは,メスが入ると一瞬ホバリングし,「来た来た」という感じで上からのぞき込むようにしてから,メスをつかまえて交尾していました.

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▲ナツアカネの産卵.

日陰の池岸では,ナツアカネがひっそりと産卵を始めていました.夏のトンボたちが,日向で,残り少ない晩夏の日々を生殖活動に頑張っている一方で,アカトンボの季節が始まっているのです.夏のトンボたちは翅がもうボロボロですが,ナツアカネはまだ若いきれいな個体ですね.

さて,目的のオニヤンマですが,ここという場所に目星をつけて,待ちかまえていましたところ,2回産卵に入りました.1回目はすぐにオスにさらわれましたが,2回目は同じ場所でほとんど動かず上下動を続けていました.とんとんという音が聞こえるほどでした.でも,写真の方は,内蔵ストロボなので,数回シャッターを切ると,充電のためにシャッターが切れなくなり,約30回の「とんとん」を見送らなければならず,本当に撮れた枚数が数少ないものになってしまいました.きれいにピントが来ているのは数枚でした.

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▲オニヤンマの産卵.中段右が1回目の産卵個体.他は2回目.

やはり最初から不戦敗ということですね.今年はオニヤンマの産卵はだめな感じです.でもまあ接近遭遇は果たしましたので,宿題は片付いた感じです.セスジイトトンボも撮れたし,これで今年の夏の普通種大作戦は完了です.