トンボ歳時記
No.161. 兵庫県西部の川のトンボ調査(2). 2010.5.30.

さて,本命の,「異常に」トンボの出現が早い川へやってきました.

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▲調査の第四地点.砂礫底で,サナエトンボ類がいそうな川である.

まずは,5月8日にたくさんいた,ニホンカワトンボを探してみました.ここでは5型のうち4型まで見つけていたので,今日は最後の一つ,透明翅オスを探そうと考えていたからです.しかし,さすが「異常に早い川」です.なんと,もう,ニホンカワトンボは終わっていました! いたのは淡橙色翅のメスがたったの1頭だけ.... 

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▲たった1頭だけしか見つからなかったニホンカワトンボ.淡橙色翅のメス.

普通5月下旬といえば,平年でもまだ産卵など生殖活動が盛んに行われています.現に他の川では,今がニホンカワトンボの盛りです.いやはや何とも...一方アオハダトンボは,今が盛りとばかり,繁殖活動を盛んにやっています.これは次のブログで紹介しましょう.

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▲アオサナエのオスたち.のべ5頭のアオサナエを見つけた.

川に入ってすぐ見つけたのが,水面を敏捷に飛び回っているサナエトンボです.アオサナエでした.アオサナエはもう出てもおかしくはありませんが,他の川の生物季節が遅れているので,やはり,早いという印象を受けます.

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▲ホンサナエのオス.

そして,なんと,こんなものですね.ホンサナエがいました.これ探し回ってなかなか会えなかったトンボです.でも会えるときはついでに会えるんですね.ただ,ここには記録があるので,新発見ではありません.

さて,この川が「異常に早い」トンボの出現を見せている極みが,次のトンボの羽化です.

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▲オジロサナエの羽化,羽化殻,処女飛行.

オジロサナエは,山本ら(2009)によると,近畿地方では5月下旬から出ているようです.兵庫県南部では,普通,6月の中旬くらいから羽化が見られるという気がします.いずれにしても,今年はトンボの出現が遅れていますから,そのようなときに,5月の下旬にオジロサナエが羽化しているのですから,この川は,やはりどこか変わっています.

なおこの川では,グンバイトンボが1頭,ヤマサナエが1頭見られました.残念ながら写真には撮れませんでした.


<参考文献>
 山本哲央・新村捷介・宮崎俊行・西浦信明,2009.近畿のトンボ図鑑,いかだ社,東京.