トンボ歳時記
No.073. 川のサナエトンボ. 2009.6.14.

今日は,兵庫県中部の川へ,サナエトンボを観察に出かけました.とくに,ヤマサナエをターゲットにしました.ヤマサナエなんて何かのついでに見られるだろうと思っていましたが,なかなかいい感じで出会えませんでしたので,ここらで一つ本気で出会っておかないと,季節が進んでしまうような気がしていました.

さて,最初は川の源流域へ出かけました.到着は8:00.まだ朝靄が残っており,何となく荘厳な感じの場所でした.

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▲源流域.廃田の中にいくつかのサナエトンボが潜り込んでいた

コオニヤンマ,ヤマサナエ,ミヤマカワトンボ,シオヤトンボなどが写真の廃田の草地を飛んでいましたが,あまり数はたくさんはいませんでした.もう少し季節が進むと,サナエトンボのねぐらになりそうな場所です.ここでは,オジロサナエが羽化をしていました.

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▲オジロサナエの羽化.


次に別の川へ出かけました.ここは以前,オナガサナエの幼虫を採った場所です.オナガサナエやヒメサナエが羽化をしていないかと思いましたが,羽化殻はオジロサナエのものだけでした.

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▲アオサナエの成熟オス

この川に入って最初に出迎えてくれたのは,アオサナエでした.アオサナエは敏感なトンボですが,この個体はけっこう近づいても逃げません.ゆっくりと観察し,本命のヤマサナエを探しました.ヤマサナエはあちこちにいたのですが,とても神経過敏状態で,すぐに飛び立ち,ホバリングしたり,川原の草地へ逃げ込んだりして,なかなか写真に撮ることができませんでした.

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▲ヤマサナエの成熟オス

やっとのことで,近づけるオスを見つけ写真を撮りました.そうこうしているうちに,コヤマトンボが産卵に入りました.岸近くを往ったり来たりして,打水産卵しています.他に,グンバイトンボや,シオヤトンボがいました.

この川もだいたいこの程度のようなので,最後に上流の方に行ってみました.日が射すと,どこからともなくトンボが現れてきて,ミヤマカワトンボ,アサヒナカワトンボ,ダビドサナエなどが川に出ていました.そして川原の草地には,コオニヤンマの未熟な個体が5,6頭飛び回って,チョウを追いかけたりしながら,摂食をしていました.

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▲コオニヤンマの未熟なメス

ダビドサナエなどの春のトンボの勢力が衰え,アオサナエ,コヤマトンボなど初夏のトンボが繁殖活動をしていて,さらにコオニヤンマやオジロサナエなどの夏のトンボが羽化していることを考えると,春から初夏,そして夏のトンボへと移り変わっていることが実感できます.今は,この3シーズンのトンボが混在している,一年で一番,川がにぎやかなシーズンです.