今日は,「赤トンボ」さんと一緒に,アオハダトンボの写真を撮りに出かけました.朝8時ころに現場について,観察を始めました.天気は曇りでしたが,朝早く来ると羽化など色々なものが観察できて楽しい時間を過ごせました.羽化編は次のコラムをどうぞ.
朝のうちは,アオハダトンボのオスもメスも,ヨシの葉の中に潜り込んでいて,あまり水面に出てこようとしません.時間が経つとオスがはじめに水面に出てきます.メスは少し遅れて,1頭,また1頭と,水面上に葉に止まるようになります.そうすると,オスはメスに近づこうとします.しかしオスがメスを誘おうとしても,メスは拒否するかのように,翅を広げておしりを突き出します.
▲腹部先端の曲がりは,人が手のひらを突き出してノーと言っているように見える
10時を過ぎたころからあちこちで交尾や産卵をする個体が観察され始め,気がついたらそこらここらで産卵が行われていました.産卵する植物がコカナダモやアオミドロではおもしろくありませんので,(多分)エビモに産卵する個体を観察することにしました.
▲メスを守るように周りを飛び回るオスと,産卵のために止まるメス
メスが産卵しているそばには,必ず交尾したオスがいます.だいたいは産卵するメスの方に向かって止まり見守っていますが,時折メスの近くを飛んで監視したり,他のオスを追い払ったりします.
▲体を半分以上沈めて産卵するメス
このエビモの株には2頭のメスが産卵していましたが,そのうち1頭は,翅だけ水面上に出して体を水中に沈めて産卵していました.そしてほどなく完全に潜水してしまいました.
▲潜水産卵するメス
オスは相変わらずメスの周りを飛んでいますが,そのうちカメラに興味を持ったのか,しきりにレンズの方に向かって飛ぶようになりました.そしてとうとうレンズにも止まってしまいました.
▲興味深そうにレンズをのぞき込むオス
カワトンボのなかまは,ヒトが害を与えないと知ると,人なつっこく近寄ってきたり,こちらが寄っても,翅にさわっても,知らん顔をします.まあ,トンボ屋にとっては,トンボとスキンシップのできる至極の一時ですね.