H013. キイトトンボ Ceriagrion melanurum
<特ちょう>
キイトトンボはイトトンボ型の幼虫です.体は,表面がすべすべしていて,やわらかい感じです.背中から見ると,写真2のように,頭から腹部の先にかけて,体がだんだんと細くなっていくような形をしています.ずんぐりした感じです.写真2のように,
尾さいの先はまるく,はば広く,短く感じられます.写真1の幼虫は黒っぽい色をしていますが,明るい色をしたものもいます.
下唇を引きのばして,
腮刺毛(さいしもう)を見ると,たった1本しかありません(写真3).これはキイトトンボのなかまの大きな特ちょうです.
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写真2.キイトトンボの背面図尾さい(側さい) 頭から腹部の先にかけてだんだんと細くなる全形. ギザギザのある固い部分の長さは尾さいの全長の半分以上. |
写真3.キイトトンボの下唇.腮刺毛は1本しかない.
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<よく似た幼虫との区別>
写真4のように,キイトトンボは,
ベニイトトンボととてもよく似ています.ほとんど区別ができません.写真5のように,
尾さいの形のちがいで区別できるときもあります.写真5のように,キイトトンボでは,
尾さいのギザギザのある固い部分の長さが,尾さいの全長の半分をはるかにこえる長さがありますが,
ベニイトトンボでは,およそ半分ほどの長さです.しかし,ちぎれて再生した
尾さいでは,この通りになりません.また,これでは区別できないと書いている本もあります.
ベニイトトンボ幼虫は,羽化が近くなると,背中が赤く色づくことがあります.キイトトンボでは,そういうことはありません.ただ,兵庫県では,
ベニイトトンボが見られる場所は,とても限られています.
ベニイトトンボの成虫が見られないところでは,キイトトンボと考えていいでしょう.
<さがす場所のヒント>
キイトトンボは池の住人です.水生植物が多くしげっている池に見られます.湿地(しっち)を飛んでいることもあります.成虫は初夏から夏に現れます.幼虫は,ほぼ一年中採れますが,
終齢幼虫を採るなら,4,5月が適しています.幼虫は,池の底につもった落ち葉の下などにもぐりこんで生活しています.
写真6.池で,水面にうかぶ葉に産卵している,オス・メスのペア.