■見分けのチェックポイント
羽化殻全長28mm程度.肢が非常に長いが,爪はあまり長くなく,中肢でふ節第3節長より明らかに短い.腹部背面の正中線は稜状で背棘が第2−10腹節に連なる.側棘は第8,9腹節にある.基部に近い背棘はまっすぐ立ち上がって,鉤状に後方に曲がらないが,末端部へ行くにつれ鉤状に後方に曲がるようになって稜状を呈していく.側刺毛は6本程度で基部に刺毛(矢印)があり,これを含めると7本となる.腮刺毛は9−11本程度で,6本程度の長い刺毛が一列に並び,残りの刺毛は角度を変え内側に少し離れて並ぶ.この内側の腮刺毛は周辺に生えている小さな刺毛と区別が付きにくい.肛上片,肛側片の先端部はだいたい同じ位置にくるが,尾毛はそれらよりやや短い.Matsuki & Lien (1882)には,時に背棘が第3−9腹節にしかないものがあることが記されている.
■分布と類似種
西表島にのみ分布する.形態的に類似したエゾコヤマトンボ M. amphigena masaco は北海道に,コヤマトンボ M. amphigena amphigena は本州,四国,九州に,オキナワコヤマトンボ M. kubokaiya は沖縄本島に分布し,いずれも分布域は重ならないので,同定に関しては実際上の問題はない.
■生態
西表島では,大小の石が底に転がっているような川の流れの,木の根が洗われているようなところを探って採集された.こういった場所にしがみついて生活しているものと思われる.