■見分けのチェックポイント
羽化殻全長35mm前後.腹部が大きく横に広がり,腹部第9節で一気に幅が狭くなる.腹部の高さがあまりなくうすく感じられる.明瞭な背棘は腹部第2節から第6節にまで存在する.背棘の配置については,石田(1996)は腹部第2節から第10節,杉村ら(1999)は腹部第2節から第9節としている.腹部第7節より後ろの背棘は稜状に盛り上がった形態であり,横から見てはわかりにくい.側棘は腹部第2節から第9節にまで存在する.石田(1996)は,このうち腹部第2節から第6節までの側棘は「(各腹節の)後側角が後方に向かって伸張し」たものとして,「側棘と紛らわしい」と結論づけ,側棘は腹部第7,8節にある」と記述している.一方杉村ら(1999)では側棘が腹部第7節から第9節にまであるとしている.筆者は各腹節の後側角が後方へ細く伸長したものを側棘ととらえているので,ここでは腹部第2節から第9節にまであると記載した.下唇側片の内葉片の先端は円い.触角第3節はいびつな六角形で非常に幅広くなっている.
■分布と類似種
北海道から種子島・屋久島に至るまでの範囲に分布する.形態的な類似種はなく,同定上の問題はほとんどない.
■生態
成虫は河川の上流域から中流域を中心に活動をしている.幼虫はそういった流域のツルヨシなどの植生の根際に堆積した泥の中に潜って生活している.写真のように,幼虫は,その偏平で大きな体格から想像できないような,柔らかい葉によじ登って羽化することが多い.