■見分けのチェックポイント
羽化殻全長29mm前後.厚いクチクラで覆われ,全体的に固い感じがする.終齢幼虫では翅芽が左右に大きく開いていて他種と異なる外見を有するが,羽化殻では翅芽はほとんどの種で開いているので,区別点として用いるには注意を要する.側棘は腹部第7節から第9節にまで存在する.背棘は先端が尖らず丸まっており,腹部第2節から第9節にまで明瞭なものが存在する.下唇側片の内葉片先端は尖らず円い.下唇中片は丘状に円く突出している.触角第3節はだ円形である.
■分布と類似種
北海道を除き,本州,四国,九州に,そして隠岐や種子島にも分布する.一見した外観はアオサナエに似ている.アオサナエは触角第3節が棒状をしており,側棘も腹部第2節から第9節にまで明瞭なものが存在するので,それらを確認すれば間違うことはない.ヒメサナエは,オナガサナエよりかなり小さく20mmに届かない.
■生態
兵庫県南部では,羽化は6月に始まる.羽化した成虫は8月頃に川に戻ってきて産卵活動を行う.幼虫期間は2年以上のようである.幼虫は河川上中流の平瀬や早瀬の礫間にもぐり込んで生活している.カゲロウやカワゲラをねらった水生昆虫調査でオナガサナエの幼虫がよく採れる.羽化は石の上や岸の植物につかまって,夜間に行われる.明け方には成虫は飛び去る.