H097. シオカラトンボ Orthetrum albistylum speciosum
<特ちょう>
シオカラトンボはトンボ型の幼虫です.体の表面に泥(どろ)がたくさんついていることが多いですが,洗い流すと,表面がすべすべしたやわらかい幼虫です.よく動きまわります.
翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.
触角(しょっかく)は糸のように細くなっています.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.背中のとげ(
背棘:はいきょく)はありません.写真1,2,4のように,腹部の後ろ半分くらいが茶色になっているものが多いです.
下唇側片(かしんそくへん)の上にある
側刺毛(そくしもう)は5本で,少ないです.
<よく似た幼虫との区別>
ショウジョウトンボと見まちがえることがあります.
ショウジョウトンボにも,背中のとげ(
背棘)がありません.また腹部の後ろ半分が茶色になっているものが多いです.まちがいなく区別する方法は,
下唇(かしん)を引きのばして
下唇側片の上にある
側刺毛の数をかぞえることです.
ショウジョウトンボはこの
側刺毛の数が10−12本ほどありますが,シオカラトンボは5本しかありません.
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写真4.腹部の後ろ半分が茶色いシオカラトンボ. |
写真5.腹部の後ろ半分が茶色いショウジョウトンボ. |
また,
オオシオカラトンボや
シオヤトンボともとてもよく似ています.しかし,
オオシオカラトンボや
シオヤトンボには背中のとげ(
背棘)があり,シオカラトンボにはないので,区別できます.
<さがす場所のヒント>
シオカラトンボは池や湿地(しっち)の住人です.しかし,おどろくほどいろいろな場所に卵を産んでいます.例えば,学校のプールや公園の池をはじめ,町中の溝(みぞ)にも幼虫がいるとこがあります.でも,一番多いところは,池のまわりの浅いところや,水が少ない浅い湿地です.池の水がなくなったところにもよく集まっています.幼虫はそういったところの泥の中にもぐって生活しています.どんどん成長して次々に親になっていきますので,
終齢幼虫は,ほぼ一年中採れます.
写真6.産卵しているメスとそれを見まもるオス.池の岸近くの浅いところで卵を産んでいます.