兵庫県の幼虫ガイド
H097. シオカラトンボ Orthetrum albistylum speciosum
シオカラトンボ終齢幼虫
写真1.シオカラトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長20mm前後.2011.6.12.
<特ちょう>
 シオカラトンボはトンボ型の幼虫です.体の表面に泥(どろ)がたくさんついていることが多いですが,洗い流すと,表面がすべすべしたやわらかい幼虫です.よく動きまわります.翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.触角(しょっかく)は糸のように細くなっています.腹部の横のとげ(側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.背中のとげ(背棘:はいきょく)はありません.写真1,2,4のように,腹部の後ろ半分くらいが茶色になっているものが多いです.下唇側片(かしんそくへん)の上にある側刺毛(そくしもう)は5本で,少ないです.

シオカラトンボのそっきょくとはいきょく シオカラトンボのぜんけいず
写真2.第8,9節に側棘が,背棘はありません. 写真3.下唇側片の上の側刺毛は5本しかない..


<よく似た幼虫との区別>
 ショウジョウトンボと見まちがえることがあります.ショウジョウトンボにも,背中のとげ(背棘)がありません.また腹部の後ろ半分が茶色になっているものが多いです.まちがいなく区別する方法は,下唇(かしん)を引きのばして下唇側片の上にある側刺毛の数をかぞえることです.ショウジョウトンボはこの側刺毛の数が10−12本ほどありますが,シオカラトンボは5本しかありません.

シオカラトンボ シオカラトンボ
写真4.腹部の後ろ半分が茶色いシオカラトンボ. 写真5.腹部の後ろ半分が茶色いショウジョウトンボ.

 また,オオシオカラトンボシオヤトンボともとてもよく似ています.しかし,オオシオカラトンボシオヤトンボには背中のとげ(背棘)があり,シオカラトンボにはないので,区別できます.


<さがす場所のヒント>
 シオカラトンボは池や湿地(しっち)の住人です.しかし,おどろくほどいろいろな場所に卵を産んでいます.例えば,学校のプールや公園の池をはじめ,町中の溝(みぞ)にも幼虫がいるとこがあります.でも,一番多いところは,池のまわりの浅いところや,水が少ない浅い湿地です.池の水がなくなったところにもよく集まっています.幼虫はそういったところの泥の中にもぐって生活しています.どんどん成長して次々に親になっていきますので,終齢幼虫は,ほぼ一年中採れます.

シオカラトンボの産卵場所.
写真6.産卵しているメスとそれを見まもるオス.池の岸近くの浅いところで卵を産んでいます.