兵庫県の幼虫ガイド
H033. オオルリボシヤンマ Aeshna crenata
オオルリボシヤンマ終齢幼虫
写真1.オオルリボシヤンマ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長48mm前後.2011.7.2.
<特ちょう>
 ヤンマ型をした大きい幼虫です.写真3のように,肛錐(こうすい)とよばれる腹の先についているとがった構造物が,他のヤンマにくらべて少し長くなっています.また写真2のように,頭の横のへりの部分に明るい色のスジが出ることも特ちょうです.オオルリボシヤンマには背中のとげ(背棘:はいきょく)はありません.写真3のように,腹の横の部分にはとげ(側棘:そっきょく)があります.

オオルリボシヤンマのはいきょく オオルリボシヤンマのそっきょく
写真2.オオルリボシヤンマの頭のへりにある明るい色のスジ. 写真3.オオルリボシヤンマの横のとげ.腹部第6〜9節にあります.


<よく似た幼虫との区別>
 頭の横のへりの部分の明るい色のスジで見分けようとするとき,マルタンヤンマにも同じところにスジが見られますので,注意が必要です.しかしこのスジは,マルタンヤンマより太く,はっきりしています.
また,オオルリボシヤンマは,ルリボシヤンマと同じ場所で採れることがあります.オオルリボシヤンマは,頭の横のへりの部分に明るい色のスジが出ますが,ルリボシヤンマは出ません.また腹の先についている肛錐(こうすい)とよばれる構造物も,ルリボシヤンマはオオルリボシヤンマほどながくありません(写真3).


<さがす場所のヒント>
 オオルリボシヤンマはすずしいところが好きなようで,兵庫県では高い山にある池に多く住んでいます.しかしときどき,低いところにある池でも見つかることがあります.写真4のように,水生植物が茂っている池に多く集まって卵を産みます.特に水面に浮かぶ葉を持つような植物が好きなようです.卵は夏の終わりころに産みつけられ,それから2年以上かかって成虫になります.ですから,幼虫は一年中とることができます.羽化を観察したいときは,6月の終わりころに採りに行くとよいでしょう.そのころに羽化が近い終齢幼虫が見つかります.

オオルリボシヤンマの産卵場所.
写真4.オオルリボシヤンマは水生植物の茎(くき)に卵を産みます.幼虫はその根元や底の落ち葉の下で暮らします.