トップ写真の解説
これは内陸部のため池です.キトンボやアキアカネなどがこの池にはやってきます.1970年代ころは,タイリクアカネがどこにいるのか謎だったらしく,同好会の方々が必死で探して,海岸近くに池に分布することが突き止められました.プールのヤゴに注目が集まった時代には,タイリクアカネはその主要な幼虫の一つでした.都会や海岸近くの池に多いという常識は2010年代の現在にはもう通用しません.通常,写真のように打水産卵をするとされています.しかし内陸部では打泥産卵も行われています(ビデオ参照).オオキトンボも同じように,打水・打泥の両刀遣いです.
連結打水産卵中のカップル.2018.11.15.
成虫
タイリクアカネは海岸近くの池沼を好みます.都会にはもうそのような場所には自然の池沼はないでしょうから,学校のプールや,公園の池,ビオトープ池などに集合してくるのでしょう.5,6月に羽化した個体は山地へ移動しますが,アキアカネのように大量に移動する例は報告されていません.2008年7月31日に,神戸の摩耶山の路上で1頭だけ未熟なタイリクアカネを見たことがあります.山中に分散して生活しているのだと思われます.9月ころから次第に移動を始めるようで,山の麓の池などで一過性に短期間だけ成虫を見ることがあります.
以上の知見は,2010年以降若干の修正が必要になりました.内陸部の水落がされた池で数多く産卵活動が観察されるようになりました.そこでは多くの個体が水際で打泥産卵を行っています.杉村ら(1999)には,「アキアカネのようにぬれた泥の上にも産むようなことはまずない」とまでその生態解説に書かれているほど,かつては,打泥産卵の観察例がありませんでした.現在の海岸近くの池は何らかの人手が加わっていて打泥する場所がないため,打水産卵をもっぱら行っていたのかもしれません.
以上の知見は,2010年以降若干の修正が必要になりました.内陸部の水落がされた池で数多く産卵活動が観察されるようになりました.そこでは多くの個体が水際で打泥産卵を行っています.杉村ら(1999)には,「アキアカネのようにぬれた泥の上にも産むようなことはまずない」とまでその生態解説に書かれているほど,かつては,打泥産卵の観察例がありませんでした.現在の海岸近くの池は何らかの人手が加わっていて打泥する場所がないため,打水産卵をもっぱら行っていたのかもしれません.
交尾.2009.10.18.
幼虫
かつては,タイリクアカネの幼虫を採りに行くときは,海岸沿いの公園の噴水池や人工池に出かけていたものでした.この幼虫はかなりの内陸部で,マイコアカネを採りに行ったときに同時に採集されたものです.10月ころにたくさんのペアが産卵し,卵または若齢幼虫で冬を越します.卵越冬したものは,翌春かなり早い時期に孵化し急激に成長します.5月には終齢幼虫がたくさん見られて,下旬には羽化します.
スタジオ写真.2016.6.12.