続 トンボ歳時記
No.647. タイリクアカネでも見に行くか....2018.10.17.

10月も半ばが過ぎました.この時期になると,いよいよトンボの観察も終盤を迎えます.もうほとんどの秋のトンボが,繁殖活動の最盛期に達しています.つまり,今後,新しく繁殖活動の最盛期を迎えるトンボはいません.兵庫の北部は相変わらず天気が悪く,今日も雨の予報で,10月になってから本当に快晴の日がありません.ということで,今日は,タイリクアカネの連結産卵を見に行こうかと,軽い気持ちで観察に出かけました.うまくいけば飛来種に会えるかもしれません.

現地到着10:00.タイリクアカネはまだあまり水辺にはやって来ていません.そこで,周辺を探索してみることにしました.すると石のベンチにタイリクアカネのメスが止まっていました.背中が赤くなるタイプです.

▲タイリクアカネのメスが石のベンチで休息中....腹部背面が赤くなるタイプ.

あとは,オスがちらほら止まっている感じでした.そこそこの数はやって来ているようです.メスがいたので,産卵の観察も期待できそうです.前回の観察では,連結産卵が見られませんでしたので,今日はそれをねらっています.池に戻ると,枯れ枝の先にトンボが止まっていました.前回これがスナアカネでしたので,慎重に確認しましたら,アキアカネでした.昔なら「なあ〜だ」と言うところですが,アキアカネがこんな海岸近くまでやって来ていることに,なぜかほっとした気持ちになりました.

▲アキアカネのオス.

10:40を過ぎ,タイリクアカネのオスが水面上をホバリング飛翔し始めました.いよいよ活動開始です.

▲水面上をホバリングしながらパトロールするタイリクアカネのオス.

11:00少し前,タイリクアカネのメスが,単独で産卵に入ってきました.これをオスが見逃すはずはありません.一気にダッシュして追いかけました.しかし,どうやらメスを捕らえるのに失敗したようです.オスは単独で戻ってきました.こういったことが2回ありました.ここのオス,ちょっと「どんくさい」ようです.そして3回目,今度はオスが気づいていないようです.ということで今度は私の出番となりました.しかしすぐにオスがこれを見つけ追尾しました.メスは上空へ上がりオスをまいたら,またすぐ降りてきて産卵を再開しました.単独産卵のメスは,色が背景に同化してなかなかピントを合わせづらいです.

▲産卵にやって来たタイリクアカネのメス.背景の色とよく似て,すばしこく飛ぶと見えづらい.

前回といい,今回といい,場所は違うのですが,メスが単独で産卵する例が多いようです.多分個体数がそれほど多くないからでしょう.オスとメスが,周辺ではあまり出会わないのでしょうね.内陸部で観察した方がいいかもしれません.最後に近くをホバリングしたオスの顔写真を1枚.

▲飛翔中のタイリクアカネの顔写真.額はのっぺりしている.

さて,連結産卵のペアは結局やって来ませんでしたが,なんとかタイリクアカネの産卵活動は見ることができたので,お昼も近くなったし,帰ろうかと思いました.そこで,飛来種が来ていないか,周辺を探索してみました.すると,いたんですねぇ.スナアカネのオスです.今日は順光で寄れる場所に止まっていてくれたので,カメラの最短撮影距離で記録を撮ることができました.

▲池の畔に止まっていたスナアカネのオス.

至近距離から撮影できたので,今日もまた,スナアカネの顔写真で最後を締めくくります.今日は前回より寄っているので大きく写っています.

▲スナアカネの顔の拡大写真.