![]()
今日も梅雨の合間の晴れ.今日は,今まで行ったことのない,そして普段あまり行かない水辺環境の調査に行ってきました.テーマは大河川の下流域です.兵庫県にはいくつかの大きな河川があります.ただ,多くの河川の下流域は,市街地や工場地帯になっていますので,場所は選ぶ必要があります.ねらいの一つはミヤマサナエの羽化殻探しです.ミヤマサナエというのは兵庫県では非常に見つけにくいトンボです.
▲オナガサナエの羽化殻.カワゲラのぬけがらもついている.▲
まあ結果からいうと,ミヤマサナエの羽化殻は見つからず.オナガサナエの羽化殻があちこちに100個体以上はついていました.ミヤマサナエはもう遅いのかも知れません.河川敷に広がる草地やワンドを見て回りました.ハグロトンボたちが木陰に入りこんでたむろしていました.

▲木陰の中の木漏れ日の射すところに止まっているハグロトンボたち.▲
大河川の下流域というと,セスジイトトンボの生息域です.探してみますと,たくさんいました.不思議なもので,いないいないといいながら,一度見つかるとあっちでもこっちでも出会えるのですから不思議です.かなりの数が河川敷の草むらの中で暮らしていました.やはり本来の生息環境で調査しないといけませんね.

▲セスジイトトンボのオスとメス.▲
河岸を見ても,産卵できるような植物が生えているところは見当たりません.どこでどうやって生活しているのでしょう.たくさんいたので最初のうち見つけるたびに写真を撮っていました.すると,その中に未熟と思われるメスがいて,眼後紋が水色をしていました.ふつうは上の写真のように.黄橙色をしています.
▲眼後紋が水色をしているやや未熟な感じのメス.▲
▲こちらは通常の色彩に近い未熟なメス.▲
通常のメスと比べると,水色眼後紋の個体は,やや黒化が進んでいるように見えます.水色はやがて黄橙色に変わっていくのか,それともこのまま成熟していくのか? ちょっと興味があります.セスジイトトンボのメスは,完全成熟すると,翅胸前面が焦げついたような黄橙色になります.この水色メスは薄緑色で,下の写真の方は少し黄色味がかってきて,眼後紋の外側の縁部分が,ほんの少し水色が混じったような色になっています.
このことがちょっと気になり,過去のセスジイトトンボの写真を調べてみました.すると,セスジイトトンボのメスの眼後紋に,ちょうど水色に黄橙色が混じり始めたように見えるもの,さらに進んで黄緑色に見えるものがありました(ご存じの通り青に黄色が混じると緑色です).
▲2010.8.28.撮影.翅胸がまだ黄緑色で眼後紋が緑っぽい色だ.▲
▲2021.5.30.撮影.上のよりさらに黄色化が進んで黄緑色の眼後紋になっている.▲
▲2010.7.4.撮影.そして,翅胸前面が黄橙色になったとき眼後紋も黄橙色になる.▲
おそらく,セスジイトトンボのメスは,若くて翅胸部分が黄緑色をしている頃には眼後紋が水色で,だんだんと日齢が進んでくると,翅胸部分,特に翅胸前面が黄橙色へと変色していき,それにともなって,眼後紋にも黄橙色が混じってきて,やがて,完全な黄橙色になるのではないかと思われます.
さて,それ以外には,コフキトンボ,シオカラトンボ,コシアキトンボ,コオニヤンマ,ギンヤンマなどが飛んでいました.また,セスジイトトンボやハグロトンボに混じって,河畔林の林床にマユタテアカネがいました.まだ黄色い状態のものです.これら止水性のトンボは,ワンド状のところでかえっているのでしょうか.単発の調査では分かりません.


まあ,特別なトンボはいませんでしたが,この川は生きていることがよく分かりました.
次はもう少し上流に移動して,河川の中流域を訪れてみることにしました.もちろん私にとっては,まったく初めての場所です.ただ記録にはアオハダトンボがいることになっています.川に下りることができそうな所を見つけ,水辺でトンボを探してみました.アオハダトンボがいました.またハグロトンボも羽化していました.入れ替わりの季節が来ています.
▲もうアオハダトンボも終わりに近いように見える.▲
そしてコヤマトンボが川岸に沿って往ったり来たりしていました.最近はコヤマトンボが飛ぶ川も減ったように思います.幼虫は結構よく採れるのですが,成虫があまり頻繁には飛びません.


▲川岸に沿って飛ぶコヤマトンボ.▲
トンボが旋回するときは頭は定位置のまま体だけねじるように回転させます.一番下の写真はちょうどその瞬間です.30分ほど待ってみましたが,メスは来ませんでした.やがてオスも飛ばなくなり,空模様も曇ってきました.
最後にヒメサナエが羽化する川へ出かけてみました.しかし川は浚渫工事と護岸工事がなされていて,見る影もなく幾何学的な川に変貌していました.少し下流側の工事がなされていない所で,オジロサナエが羽化して飛び出すのを見ただけでした.
▲オジロサナエの羽化個体.▲
夕方まで晴れる予報でしたが,雨もポツポツしてきて,今日はここまでとしました.土地勘がないところへ出かけると,何か新鮮な気持ちになりました.

▲コフキトンボのメスたち.▲
▲ウチワヤンマの交尾と交尾態での産卵場所探索.▲
▲コシアキトンボの追いかけ合い.▲
▲オオヤマトンボの打水産卵.▲
▲ショウジョウトンボの交尾.連写していたので,実は2枚撮れている.▲

▲産卵するショウジョウトンボ.このメスを上のオスが捕まえたのだ.▲



▲水辺で活動しているキイロサナエのオスたち.▲
▲ハラビロトンボたちが湿地の上で追いかけ合いをして活動している.▲
▲ホソミオツネントンボのタンデム.このメスまだ褐色のままだ.▲
▲モートンイトトンボのオス.モートンイトトンボはたくさん発生していた.▲
▲地面に止まっていたヤマサナエのオスが,逃げて樹上に飛び上がった.▲
▲老熟したシオヤトンボの産卵.無彩色の渋い色彩のトンボだ.▲
▲オオイトトンボのタンデム.▲
▲オオイトトンボの交尾.上のタンデムの個体が交尾をした.▲
▲タヌキモに産卵するオオイトトンボのカップル.▲
▲一つ上の写真と同じ場所で産卵している.▲
▲モートンイトトンボのオスとメスが集まっていた.写っていないがメスも3頭いた.▲
▲腹部を曲げて産卵のような動きを見せたモートンイトトンボのメス.▲

▲倒れたハリイの茎に産卵するモートンイトトンボのメス.▲
▲水面ぎりぎりライブビュー撮影.▲
▲立ち上がったハリイの茎に産卵するモートンイトトンボのメス.▲

▲夏のイトトンボキイトトンボも,本格的ではないものの,活動を始めていた.▲
▲クロイトトンボたちもたくさん活動をしていた.▲
▲水面ぎりぎりライブビュー撮影.モノサシトンボ.▲
▲ハッチョウトンボのオス.▲
▲ハグロトンボのオス.まだ羽化して間もない感じだ.▲
▲ムカシヤンマのオス.翅も白くなり,老熟している.▲
▲植物の茂っている岸辺に沿って,ツイツイと飛ぶグンバイトンボ.▲
▲オスどうしが出会うと,軍配状の足を開いて,威嚇する.▲
▲日向を飛ぶと,軍配状の白い脚が,陰になって目立たない.▲
▲1頭のオスがメスを捕まえ,タンデムになった.▲
▲メスを持ち上げ交尾しようとするも,何度も失敗してやり直していた.▲
▲やっとうまくいったようだ.▲

▲例によって歩哨姿勢で産卵するペア.▲
▲セスジイトトンボのオスは,よく見ると,水色がとてもきれいなトンボだ.▲
▲ほぼ正午,セスジイトトンボの繁殖活動の始まりだ.▲
▲アオミドロにからめられたコカナダモに産卵をしているようだ.▲
▲コカナダモに産卵するセスジイトトンボ.▲
▲ライブビューで水面ぎりぎりの位置で撮影したセスジイトトンボの産卵.▲
▲水没直前の産卵ペア.メスはすでに潜水している.▲
▲ペアが完全に水中に没した.翅や体に空気の層がついているのが分かる.▲
▲ホンサナエのメス.岸辺の植物の中から飛び出してきた.▲
▲オジロサナエの処女飛行個体.▲
▲コオニヤンマの羽化殻.▲
▲オナガサナエの羽化殻.▲
▲セスジイトトンボに混じって産卵活動を行うクロイトトンボ.▲
▲ヤマサナエのオス.この個体は少し下流で,メスを待つような行動をとっていた.▲
▲まっすぐ鉛直方向上に腹部挙上姿勢をとるアオサナエのオス.▲
▲アオサナエ君,頑張ってください.▲
▲景観としてはそれほど悪くはないが,本当に何もいない.▲
▲アオハダトンボのメス.今年は数が非常に少ない.▲
▲アオサナエのオス.▲
▲キイロサナエのタンデム.こんなのが,あちこちで見られた.▲