No. 1031. 下越地方のトンボ調査.2025.6.30-7.1

下越地方へトンボ調査に行きました.目的は,オオセスジイトトンボ,オオモノサシトンボ,カラカネイトトンボでした.前二者は多分いないだろうという予想で,後者が本命というところでした.しかし結果は目的達成率0%という残念なものでした.

オオセスジイトトンボ・オオモノサシトンボの生息地には,イトトンボの姿すらなく,池を一周してアオモンイトトンボ1頭という状態でした.あとはコシアキトンボ,コフキトンボ,シオカラトンボが少々飛んでいただけでした.気温は35℃という厳しいものでした.この池もイトトンボがいないのです.最近イトトンボの姿を見かけない池が増えつつあるように感じます.

翌日,天気は曇で時々雨がぱらつくあまりいい状態ではありませんでした.調査する身には暑すぎなくていいのですが...かなり歩いて目的の湿原に着きました.息を切らせて山を登ったので,少し休憩と木陰で腰を下ろしましたら,ヤマビルの爆撃にあいました.最初カメラのビューに1頭のヤマビルが落ちてきて,気がついたら手の甲に5,6匹のヤマビルがうろついていました.やられましたね.熊との出会いを警戒していてヤマビルにまで気が回りませんでした.急いで取り除きましたが,3ヶ所血を吸われてしまいました.

あわてて湿原のほうに入って,爆撃を逃れました.トンボはというと,ハッチョウトンボがやたら多く,これまたイトトンボがいません.やっとの事で見つけたのは,オゼイトトンボでした.


▲オゼイトトンボ.最初ホソミイトトンボかと思ってしまった.▲


▲ハッチョウトンボは非常にたくさんいた.▲

ゆっくりと池塘周辺を探索しましたが,本当にイトトンボがいません.2時間近く時間が経ったとき,少し薄日が射してきて,イトトンボも姿を見せるようになりました.まず見たのが青い色をしたメス.これ,エゾイトトンボかとも思うのですが,オオイトトンボにも青色のがいるので,ちょっと保留です.


▲エゾイトトンボ(だと思う)の青色メス.▲


▲オオイトトンボのオス.オスはこちらで見るのと変わりがない.▲

写真にはなりませんでしたが,エゾイトトンボはオスが飛んでいました.あと,キイトトンボ,モノサシトンボの姿がありました.しかしカラカネイトトンボの姿はとうとう最後まで見ることがありませんでした.そもそもイトトンボの姿が少なすぎる感じです.エゾイトトンボなどもっと群れていてもいいのに,と思うようなよい環境です.

空模様は次第に悪くなり,雨が降り始めました.クロスジギンヤンマ,カラカネトンボ,コサナエ,チョウトンボなどが飛んでいましたが,それらも姿を消しました.


▲カラカネトンボのパトロール.▲


▲7月になっても,コサナエがまだいる.▲

ということで調査を終えました.羽化の時期は過ぎていると思うのですが,こんないい環境で,他のトンボたちはいるのに,見つからないのが不思議です.私の探索力が落ちたのかもしれません.

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No. 1030. ベニイトトンボの観察.2025.6.20.

先日ベニイトトンボが活動を始めていることを見たので,マクロレンズをひっさげて,今日はベニイトトンボの状況を見に行くことにしました.


▲ベニイトトンボの数は増えていたように思えた.▲

はじめはオスが飛ぶばかりでしたが,11時30分ごろからタンデムペアや交尾ペアが見られるようになりました.


▲タンデム個体が飛びだした.▲


▲交尾ペア.▲

13時頃まで産卵開始を待ちましたが,34℃を超え始めましたので観察を中断しました.しかし,夏のトンボたちは,まだまだ元気に日向で活動していました.


▲シオカラトンボの産卵.上は警護するオス,下は産卵しているメス.▲


▲コシアキトンボ.オス同士の闘争とメスの産卵.▲


▲強い日差しの日向に止まるチョウトンボのオスたち.▲


▲クロイトトンボの成熟オス.こういうアップで見るのは久しぶりの気がする.▲

単焦点のマクロレンズは,やはりズームレンズと違い,描写力が高いことが分かります.飛んでるトンボもかっちりと写ります.

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No. 1029. アカトンボが出てこない.2025.6.18.

この数日間,ナニワトンボの未熟オスを見たいが為に,あちこちにアカトンボの羽化を見に行きました.6月12日にリスアカネの羽化個体を見たので,続く6月13日,16日,17日,18日と,ナニワトンボやリスアカネがいそうな池を中心に,アカトンボの未熟個体を探しに回ってきました.しかし,全くアカトンボの姿が見られなかったのです.羽化して来ていないのです.

まず13日から.この日は近所の公園に行ってみました.しかしキイトトンボやモノサシトンボがいただけでした.


▲キイトトンボはたくさん活動していて,羽化も続いているようだった.▲


▲モノサシトンボは成熟している個体がたくさんいた.▲

今日もマクロレンズで撮っているのでシャープさが気持ちいいです.この公園ではマユタテアカネですら出てきていませんでした.まだ早いのかもしれません.そう思って,先日見たコバネアオイトトンボの未熟をもう一度見に行くことにしました.こういうチャンスは非常に短期間で終わるし,そもそも出会うことすら難しい相手です.まだいくつか飛んでいました.しかしすぐに林の中などへ入っていくのでしょうね.


▲未熟なコバネアオイトトンボのオスとメス.▲

未熟なシオカラトンボがいたので,マクロレンズで撮ってみました.


▲未熟なシオカラトンボのメス.▲

次いで16日.この日はナニワトンボをねらいに,よく観察する池に行きました.しかし全くアカトンボがいませんでした.それどころか,コシアキトンボが摂食する姿とショウジョウトンボのメスが草地にたむろしていたのを見ただけでした.あとアオイトトンボが1頭いました.


▲草地で憩うショウジョウトンボのメス.▲

今日もまだアカトンボには早いのかと考え,ベニイトトンボのいる公園へ行ってみることにしました.とても暑く,シオカラトンボが元気に飛び回っていました.またフタスジサナエが生き残っていました.


▲あちこちで活動しているシオカラトンボ,交尾個体.▲


▲フタスジサナエのオス.▲

そんな中,ベニイトトンボが羽化して,活動していました.ベニイトトンボの活動もしばらくの間見ていませんでしたので,後日これは観察に来なければと思い,今日はここまでとしました.


▲ベニイトトンボが活動を始めていた.▲

次は17日.この日は西の方のナニワトンボの生息地へ行ってみました.しかしここも全くアカトンボの姿がありませんでした.マユタテアカネぐらいはいても良さそうに思えますが,いたのは,アオサナエのメスとコオニヤンマの未熟個体でした.流水性トンボだけ!


▲アオサナエのメス.突然舞い降りてきた.▲


▲池畔の道路に止まっていたコオニヤンマのオス未熟個体.▲

やはりアカトンボの羽化には早いみたいです.そういえば今回のようにアカトンボの羽化をねらって観察に出かけると言ったことはほとんどしてこなかったように思います.今までは他のトンボの観察のついでにアカトンボの姿が見られて,観察を始めるきっかけとなったという感じでした.

そこでそれを確かめるために,18日は兵庫の北部へアキアカネの羽化を見に行くことにしました.これまでは,だいたい6月下旬には,未熟な個体がふわふわと水田のまわりを飛ぶ姿が見られました.しかし,これも不発でした.全くアカトンボの姿がありませんでした.同様にこの時期のトンボ,キイロサナエやモートンイトトンボの観察もしてみることにしました.しかし両方のトンボの個体数は非常に少なかったのです.


▲キイロサナエはいるにはいたが,数は6頭程度だった.▲


▲モートンイトトンボのメス.やはり数は少なかった.▲

あと,ハッチョウトンボ,オオイトトンボなどこの時期のトンボや,春の生きのこりのシオヤトンボ,ホソミオツネントンボなどがいました.


▲ハッチョウトンボも暑いのだろうか,腹部挙上姿勢で頑張っていた.▲


▲オオイトトンボのメス.単独で飛んでいると見知らぬトンボに見える.▲

▲金属ロボットのような色彩のシオヤトンボのメス.▲


▲ホソミオツネントンボのメス.単独産卵していた.▲

ということで,アカトンボは今月末ころまで待つことにして,アカトンボ探索はしばらくお預けです.

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No. 1028. アオイトトンボ属3種.2025.6.12.

いつもこの時期は,キイロサナエやアオハダトンボやグンバイトンボなどなど,川のトンボに集中して池のトンボがおろそかになっています.といっても池のトンボはまだ端境期で,種類はそれほど多くはありません.ただ,夏や秋のトンボの羽化期になっており,羽化に関連したトンボの姿がこのブログではあまりうまく伝えられていないように感じています.今年は,夏や秋のトンボの羽化のうち,いくつかのあまり記録されていないトンボたちを追いかけようと考えています.具体的にはナニワトンボのオスの未熟個体をはじめとしたアカトンボの未熟個体,コバネアオイトトンボなどアオイトトンボ属の羽化直後の個体,成虫越冬性トンボの未熟個体などです.

今日は,ナニワトンボやアカトンボの状況を見るのがねらいでしたが,アカトンボはまだもう少し先のようでした.代わりにアオイトトンボ属が羽化をしていました.この時期に,アオイトトンボ属3種そろいぶみです.まずはコバネアオイトトンボ.


▲コバネアオイトトンボのオスとメス,羽化直後の個体.▲

コバネアオイトトンボは,他のアオイトトンボ属と違って,羽化直後,翅胸部が赤い色をしています.でもこれが見られるのは非常に短期間です.すぐに金属緑色になっていきます.今日見た個体も,翅胸前面が少し金属緑色になりかけていました.


▲翅胸前面が金属緑色になり始めているコバネアオイトトンボのメス.▲

次はアオイトトンボです.これは以前に紹介しました.少し発育が進んで,翅胸の淡色部分が綺麗な黄色になっていました.


▲アオイトトンボのオスとメス.若い個体は粉を吹かないのでオオアオイトトンボのようだ.▲


▲アオイトトンボオスの翅胸と頭部.淡色部に濁りがなく綺麗だ.▲

秋の成熟してくすんだ色彩に比べると,アオイトトンボはこの時期が綺麗です.さて,残りのオオアオイトトンボですが,こちらは本当に羽化直後でした.まだ体が湿っている感じです.これだけは別の池です.


▲オオアオイトトンボのオス.▲

ということで,初夏のアオイトトンボ属3種でした.アカトンボの方は,ノシメトンボらしいのが高いところに止まっていたのと,リスアカネがいただけで,今年は来週くらいから本格的に出てくるのかもしれません.


▲リスアカネの未熟オス.▲

ということで,ナニワトンボは次の晴れが狙い目のようです.

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No. 1027. バイカモとカワトンボを求めて.2025.6.6.

今日は少し前の天気予報では雨降りの感じで,休養日とするつもりでした.昨日,一昨日と,朝から晩まで遠出をして,アップすることも後回しにしていました.そして今日もまた遠出をしてしまいました.さすがに疲れました.今日は浜坂町のバイカモ公園で,バイカモに止まるカワトンボの写真を撮ろうという目的で,夫婦でドライブしました.

ところがバイカモはほぼ姿が消えていました.川は水が流れているだけで,案内掲示がむなしく数年前の様子を表示していました.最近の気温上昇で水温が上がったからでしょうか.それでも探すと,ほんの片隅にバイカモの生き残りが見られました.


▲わずかに残っていたバイカモ.▲

まあ,私はカワトンボが目的なので,探してみました.アオハダトンボを期待したのですが,ニホンカワトンボとミヤマカワトンボだけでした.その他にはヤマサナエがいました.


▲ニホンカワトンボのオスとメス.▲


▲ミヤマカワトンボのオス.▲


▲ヤマサナエのオス.▲

これではどうしようもなく,引き返すことにしました.途中,砂が堆積する川があったのでちょっとのぞいてみましたが,ヤマサナエ1頭だけでした.とはいうものの,今年はヤマサナエの姿をあまり見かけていないので,まあ,あちこちで無事な姿を見るとホッとします.


▲ヤマサナエのオス.▲

ということで,またまた帰る途中にキイロサナエの姿を確認に出かけました.キイロサナエは姿を見せていませんでした.まだ早いのか? 代わりにいたのはヤマサナエ.この個体はなれなれしく,私の長靴に止まりました.


▲私の長靴に止まるヤマサナエのオス.▲

すぐ横ではニホンカワトンボが産卵をしていました.ところが面白いことに,警護するオスがずっと翅を広げているのです.翅を広げたままで何分も警護しています.


▲だんだんと近づいていって撮影を続けたが,翅はずっと開いたまま.▲

長い間ニホンカワトンボを見てきましたが,こういう行動は初めてでした.また水面ではオオイトトンボが産卵をしていました.流水なのですが,気にならないのでしょうね.


▲オオカナダモに産卵するオオイトトンボ.▲

今日はバイカモに止まるカワトンボというテーマでしたが,完全に失敗に終わりました.別のバイカモが見られるところに行く必要がありそうです.

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