No. 919. キイロサナエの観察.2023.6.16.

今日から三日間ほど梅雨の中休み.今日は雨後の晴れをねらって兵庫北部へ行ってきました.ねらいはキイロサナエです.キイロサナエは最近本当に見かけなくなったトンボです.まずいつもの観察地へ出かけましたが,用水路の草刈りが行われていなくて水面が見えない状態の場所が多く,あまりキイロサナエの数が見られませんでした.


▲キイロサナエのオス.この場所は数が少なかった.▲

そこで少し移動して,去年産卵を見た場所へ行ってみることにしました.現地に入りますと,オスが4頭ほど行ったり来たりしていました.やはりメスが来るところを知っているのでしょうか.他のところではポツポツ止まっているだけですのに,ここではオス同士が追いかけ合いバトルを繰り広げるほどの密度でした.


▲止まっているオスと,産卵に来そうな場所を探索するオス.▲

去年産卵に下りてきたポイントにはしっかりとオスが陣取り,時々岸近くを往復してメスを探すような飛び方をします.本当に去年メスが来たところの場所そのものです.なぜメスはここに下りてくるのでしょう? 背後の樹林の形と流れまでの距離が,樹上から下りてきやすい構造になっているのかもしれません.


▲オスたちはあちこち止まってメスを待っている.▲

10:40ぐらいからここでメスを待っていますが,なかなかメスの姿を見ることができません.コヤマトンボが行ったり来たりしていますので,これと遊びながらメスを待ちます.全く去年と同じ状況です.


▲キイロサナエの産卵場を飛び回るコヤマトンボ.▲

11:50,キイロサナエのメスが入りました.水面を旋回飛翔した後,対岸に止まり卵塊をつくり始めました.近づくと飛び上がりホバリングしました.


▲私が気になったのか飛び上がり様子を見るキイロサナエのメス.▲

その後このキイロサナエはぐるっと旋回し,こちら側の岸の地面に止まり卵塊形成を継続しました.目の前の位置です.


▲こちら側の岸の地面の上で卵塊形成するキイロサナエのメス.▲

その後このキイロサナエは飛び立ちましたが,見失ってしまいました.私の存在が気に入らなかったようです.少しすると5mぐらい上流の水際から,キイロサナエの交尾態が飛び立ちました.そこで産卵を継続していたようです.オスに見つかりお持ち帰りになりました.残念です.しかし,このポイント,何の変哲もない草の生えたなだらかな岸辺なのですが,産卵にやってきますね.こういうポイントを見つけることが,写真記録の成否を分けます.

さて,もう少し待ちましたがメスはやって来ませんので,別のトンボを見に行くことに凍ました.まずはハッチョウトンボ.ちょうど正午過ぎになりましたので,ハッチョウトンボが繁殖活動を行う時間帯です.


▲ハッチョウトンボのオスとメス.メスは産卵に来ていた.▲

案の定1頭のメスがオスに警護されながら産卵をしていました.交尾を見なかったので,もう産卵を始めてから時間が経っているのでしょう.すぐに飛び立ってしまいました.今年のハッチョウトンボは結構数が多いようです.

池ではキイトトンボが活動を始めていました.


▲キイトトンボたちが繁殖活動を始めていた.いよいよ夏だ...▲

キイトトンボのオスは,通常胸部が淡い黄緑色をしているものですが,1頭だけ,緑がかっていないオスがいました.何気ないことですが,結構珍しい気がします.


▲胸部が淡い黄緑色をしていないキイトトンボのオス.▲

オオイトトンボも今年は少し数が増えて,クロイトトンボより目立っていました.時期的な問題かもしれません.クロイトトンボは早い時期からたくさん羽化しますから.


▲オオイトトンボの交尾と産卵.▲

それから今日もまたクロスジギンヤンマが目の前に産卵にやってきました.今年これで4回目かな.今年はクロギンの当たり年です.


▲クロスジギンヤンマの産卵.▲

先日も書きましたが,この時期のクロスジギンヤンマはメスの複眼の上部が透き通っているので,ちょっと感じが違います.

あと目撃したトンボは,シオカラトンボ,クロイトトンボ,モートンイトトンボ,モノサシトンボ,ショウジョウトンボ,コフキトンボ,ハラビロトンボなどで,春の生き残りのヤマサナエ,コサナエ,トラフトンボなどがいました.


▲成熟して水色がきれいにでているモノサシトンボのオス.▲


▲まだトラフトンボが飛んでいた.結構遅い記録である.▲

トンボの多いところへ来ると,やはり幸せな気持ちになります.ここ何回かの神戸市内の調査とは天地の差ですね.トータル3時間半ほどの観察でした.

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