No. 858. チョウトンボの産卵.2022.7.10.

どうも最近の天気予報は当たらない感じです.晴れの予報で兵庫県北部へ行ったときはずっと曇りでのち雨.雨のち曇りの昨日は晴れ間が出て暑い.今日は天気予報を当てにせず,午後から太陽が顔を出し始めてきたので,近くの池にチョウトンボを見に行くことにしました.この池はタイワンドジョウがいて,トンボがたくさんいます.池の岸に生えている樹木の樹幹部では,たくさんのチョウトンボが摂食飛翔をしていました.


▲池岸の樹木の樹幹部で摂食飛翔するチョウトンボの群れ.▲

池はハスが密生していて,アオミドロが浮かび,スズメノヒエが岸に繁茂している,植生豊かな池です.チョウトンボ好みですね.ちょうど岸辺に開水面があるところがあって,植生に邪魔されずにチョウトンボが観察・記録できます.


▲最近はこういった普通の植生豊かなため池も少なくなった.▲

岸辺や水面の植物にチョウトンボたちが止まっていますが,多くのチョウトンボはほとんど休むことなく飛び回っていました.暑い日差しのもと,黒い体で暑くないのかといつも心配していまいますが,彼らは本当に暑さに強いトンボたちです.


▲かなり日齢が進んだチョウトンボのオス.緑味が少なくなってくる.▲


▲チョウトンボのメス.金色にやや緑味がさしているタイプのメス.▲


▲オスたちは飛び回っていることがほとんどであった.▲

ものすごい数のチョウトンボが飛んでいますので,メスもしょっちゅう産卵に入ってきます.メスが入ると数頭のオスが追いかけ回します.メスは1回打水してすぐ飛んで逃げ,うまくオスをかわすと,オスを刺激しないようにふわっと飛んで水面に降り,またすばやく打水します.しかし,2,3回打水すると,オスも気づき,また追いかけあいを始めます.こんなことの繰り返しです.うまくタイミングが決まると連結,交尾と至ります.交尾時間は30秒程度で,交尾後特に警護するという感じではないようです.他のオスの干渉が激しいから警護どころではないのかもしれません.


▲交尾が終わるとメスを放し,メスはまた産卵を再開する.▲


▲上の交尾メスが,続けて産卵を行った.オス型のメスである.▲

このメスは,後翅の先端まで青色が広がるタイプで,ほぼ完全なオス型のメスです.青いオス色をした多くのメスは,後翅の先端には透明な部分があることが多いのです.次はメスらしい金色に輝く羽を持つメスの産卵です.


▲メス独特の,金色に輝く羽を持つ個体.オスにこの型は現れない.▲

少し離れたハスの林の縁で,またオス色のメスが産卵をしています.このメスは,後翅の先端に透明部分がある個体です.


▲青色に輝く羽を持つタイプのメスの産卵.チョウトンボはハスが好きだ.▲

本当にひっきりなしに産卵にやってきます.そのたびにオスが乱痴気騒ぎになって,狂ったようにメスを追いかけます.メスも手慣れたもので,さっとかわし,オスが少し離れた頃を見計らって,また産卵を開始します.


▲金色を基調に緑色の輝きが混じるメス.▲

この緑色が混じる金色タイプのメスが,私は一番好みです.見る角度によって緑色が大きく目立ったり,金色が目立ったりします.別に狙ったわけではありませんが,今日は一通りのタイプのメスが,1時間ほどの間に次々と産卵にやってきてくれました.

あと,チョウトンボに負けず活動していたが,ショウジョウトンボでした.それ以外には,アオモンイトトンボ,シオカラトンボ,コフキトンボ,クロイトトンボ,ギンヤンマ,そして多分セスジイトトンボも飛んでいました.


▲ショウジョウトンボのオスと,メスの産卵.▲

個体数が多いと,いわゆる普通のトンボは,ストレスなく観察を楽しませてくれます.チョウトンボやショウジョウトンボなど珍しくもないかもしれませんが,あのアキアカネでさえ激減したのですから,群れ飛ぶチョウトンボの姿をしっかりと目に焼き付けておきたいと思います.当たり前のトンボが当たり前にたくさん飛ぶ,そういった風景がこれからも残っていってほしいと思います.

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