今日は,キトンボよりは,オオキトンボの観察を中心に考えていました.オオキトンボ観察の合間にキトンボの記録も撮れればという感じで臨んでいました.オオキトンボの一番乗りが9:35でした.そのあと,キトンボの一番乗りが9:46でした.他の産卵するトンボがいませんでしたので,まず記録を撮りました.このキトンボは打水産卵専門のようで,岸から離れたところで産卵を続けています.
▲9:35,このキトンボのペアは,打水産卵が専門のようである.
▲連結で飛ぶキトンボ.
▲キトンボのオスが,産卵ペアに干渉しようとしている.
▲岸に近づきたいのだろうが,私がいるから来ないのか?.
この一番乗りのキトンボの産卵ペアの後,入ってくるのは,オオキトンボの産卵ペアばかりでした.今日はオオキトンボの方が多いように,そのときは思えました.オオキトンボを追いかけているとき,ふと,足下で,キトンボのペアが,打水−打泥の産卵を行っているのを見つけました.このペアは,本日もっとも私に貢献してくれたペアでした.まず,逃げない.近づいても全然逃げずに産卵を続けてくれます.次に,順光の位置で産卵をしていて,太陽は雲に隠れずさんさんと日射を産卵ペアに与えていることです.おかげで成功率の高い記録になりました.
▲打水−打泥産卵その1:まず水面に打水して,卵に水を含ませる.
▲打水−打泥産卵その2:飛び上がって身体を水平にし,ねらいを定める.
▲打水−打泥産卵その3:水際の泥などに卵を貼り付ける.
▲ほんの少し場所を移動するペア.
▲少し引いて打水−打泥産卵の1サイクルを撮影.まず打水する.
▲打水位置より飛び上がり,少し後ろに引いてねらいを定める.
▲水際の地面に打泥する.
▲そのまま後ろに引くようにして離れる.
▲この時期のキトンボは,オス・メスとも赤みが少なくて「キトンボ」の名にふさわしい.
▲打水して上昇したところ.
▲打泥の瞬間.やはり順光だときれいに写る.
▲メスの黄色味のなかに,うっすらと黄緑味が出ているのが,若々しい証拠.
▲打水の瞬間.メスの腹部先端に水滴ができているのが分かる.
▲打泥の直前の姿勢をやや背面よりから見たもの.
▲打泥の瞬間.岸辺に草が生えているので,草の葉の上に腹部先端が当たっている.
▲オスがメスを放した瞬間.途中から単独産卵を警護する形に変わった.
▲単独産卵をするメス.
▲上空で警護飛翔するオスと産卵を続けるメス.
▲メスが草の中に紛れ込んでもオスはしっかりと見ている.
▲産卵を終えたメスは,一気に上空へと飛び去っていく.
このキトンボのペアを撮影できたことで,多分今日はこれ以上の写真は撮れないという感じでした.打水−打泥産卵という,典型的な産卵をしていたこと,途中でメス単独のオスの警護産卵に移行したこと,など全部やってくれました.しかし,キトンボは,オオキトンボと違って岸辺で産卵してくれるので,どうしても見つけてしまうと撮影に集中してしまいます.次のキトンボは10:56に入ってきたペアです.初めのうち日が陰っていたので,日が当たり始めてからの記録です.
▲10:56,向こうの方で産卵をしているのを見つけ,ゆっくりと近づく.
▲打泥前のねらいを定めているところ.このペアも打水-打泥産卵であった.
▲打泥の瞬間.
▲オスがメスを振り回し始めた.
▲再び打泥.
▲打泥して離れていくところ.
▲打泥の直前.
▲そして打泥.以上打水の瞬間はうまく写っていませんでした.
11:00ころからは,オオキトンボよりキトンボの方が数が多くなってきたように思えます.あちこちでキトンボが産卵をしています.とりあえず近くのペアに絞って記録を撮りましたら,もう1ペアがやって来て,ダブル産卵になりました.キトンボは,個体数が多いときには,同じ場所で複数のペアが産卵することはよくあることです.
▲11:00,太陽が雲に隠され,日陰の時間が長くなってきた.
▲打泥する場所を探っている.
▲産卵途中,岸辺の草むらに上がって飛び回る.
▲飛んでいる途中で,一度だけ草に腹端を打ちつける動作をした.
▲もう一組の産卵ペアがやって来て,一時的にダブル産卵となった..
▲打泥直前の姿勢.
▲産卵を続けるペア.
▲打泥食前の姿勢.
▲打泥直前の状態.
▲若いペアできれいである.
次のペアは11:08です,と言いたいところですが,カメラを向けたのが11:08だというのが正しい言い方です.複数のペアがあちこちで産卵しているので,もう何組目のペアかは分からない状態です.さて,次のペアは,打水産卵専門です.この池のキトンボは打水産卵の専門家も結構多い.キトンボの複数の産卵戦術が見られる面白い生息場所といえるでしょう.
▲11:08,打水産卵をするキトンボのペア.
今日はもう食傷するくらいキトンボとオオキトンボを観察できました.キトンボはこれからまだ2ヶ月ほど観察ができるトンボです.この時期にこれだけ観察すると,11月に入ると見るトンボがないような気になります.
ところで,ギンヤンマに襲われるオオキトンボのペアを紹介しましたが,今日は,キトンボも食べられるところを見ました.産卵が終わって,オスがメスを放したところ,そのメスを複数のオスが追いかけて,ぐるぐる回るように飛びました.メスは逃げるのに必死でしょう.その隙を狙ってギンヤンマがメスを捕まえて飛び去ったのです.メスはオスに気をとられていたのでしょうね.