続 トンボ歳時記
No.620. セスジイトトンボを探しに.2018.8.5.

今年は意外なトンボに苦労しています.今まで何かのついでに観察してきたセスジイトトンボの姿になかなか出会いません.西日本集中豪雨のため,川に生えていたコカナダもなどの沈水植物がほとんど流されてしまい,そういうところによく集まるセスジイトトンボが見られないという印象を受けます.豪雨の前までは,1,2頭は見かけることがあって,本格シーズンが来たらまた来ようと算段していました.一つ心配なのは,二化目を目指して成長していたセスジイトトンボの幼虫が,これらの沈水植物とともに流されていってしまったのではないかという可能性です.

ということで,今日は池にセスジイトトンボを探しに行くことにしました.池の場合,彼らは平地の皿池で,沈水植物が繁茂しているところが好みですが,最近そういった池が意外と少なくなっています.外来生物による食害,池の濁りなどの影響が大きいように感じます.

▲ガガブタ,スイレン,ヒシなどが繁茂する今日の観察池.チョウトンボが産卵している.

8:30ころから探索を始めました.ガガブタ,ヒシ,スイレンなどが池いっぱいに広がり,その間をタヌキモが埋めているような池です.やや小型の二化目と思われるクロイトトンボはそれなりに飛んでいました.セスジイトトンボはやっとの事でメスが1頭だけ.なかなか見つかりませんね.ちょっと浮葉植物が茂りすぎているようです.ただ,セスジイトトンボも二化している可能性があるので,この時期一時的に姿が少なくなる時期でもあります.以前の観察から考えると,9月に入るころに数が増えるかもしれません.

▲クロイトトンボに混じってやっとの事で姿を確認したセスジイトトンボのメス.

たくさんいたのはタイワンウチワヤンマでした.このトンボ,意外と私のブログでは取り上げていません.温暖化のせいか,1991年から神戸市内で見られるようになり,北上傾向があるトンボです.たくさんいるトンボを観察対象にするという鉄則で,タイワンウチワヤンマを観察することにしました.今まで午前中に産卵するのを見ていますので,待つことにしました.でも,池には日陰がなく日向の土手に座っているので,10:30ころにこちらがもたなくなりました.気温は35度になっています.この酷暑,トンボ観察も命がけです(笑).

▲暑い日向をものともせず活動している南国のトンボ,タイワンウチワヤンマ.

結局産卵を見ることもなく,今日の観察を終えました.いやはやまいりました.クマゼミが池近くの桜の木で大声で鳴いていました.今日のゲストです.

▲大きな声で合唱していたクマゼミ.