続 トンボ歳時記
No.569. コサナエの羽化が最盛期.2018.4.21.

一昨日,コサナエを探しに行きました.羽化殻があちこちに付いていたので,まだ羽化が続いていると判断し,今日,もう一度兵庫北部へコサナエの羽化を見に行きました.現地に着いたのは9:00過ぎ.池の岸近くで,1頭が羽化をしていました.

▲本日最初に見つけた羽化個体.コサナエのオス.腹部を高く持ち上げるような姿勢をとる.

▲羽化している場所の微小環境.岸辺(左下)のすぐ横で,落ち葉の堆積している上で羽化している.

フタスジサナエと同じように,池の岸近くの落ち葉の上などの位置で羽化しています.コサナエは,フタスジサナエに比べると,羽化の終わり近くになると,腹部を高く持ち上げるような姿勢をとっている個体が多かったように思います.

この池には,たくさんの羽化殻が残されていて,片っ端から採集してみました.ざっと採っただけで55個ありました.探しているときにクロスジギンヤンマの羽化殻も見つけましたもう羽化しているんですね.

▲羽化殻は落ち葉の上で半分水につかっているものが多かった.意外と倒木などには這い上がらないようだ.

▲ざっと採集した結果.左がコサナエで55個.右はクロスジギンヤンマ.左右で倍率は異なるので注意.

この池では,別に1頭羽化していたようで,処女飛行に飛び立つ姿を見ることができました.あといくら探しても羽化途中の個体はなく,もう時間的に羽化が終わったか,あるいは時期的にもう終盤で,羽化個体数が少なかったのか,そんな印象を持ってしまいました.ところが,少し離れた小さな湿地状の人工池の横を通り過ぎたとき,足下から1頭のコサナエが処女飛行に飛び立ちました.

▲湿地状の小さな池から飛び立って止まった個体.この個体のおかげでたくさんの羽化が観察できた.

池をのぞいてみると,あちこちに羽化殻が付いています.羽化している個体がいないか目を凝らしましたが,全然見つかりません.しかししばらくすると,1頭,羽化している個体が目に入りました.この個体は池のど真ん中で羽化しているのに,全然見えていないんですね.そして1頭見つかると,すぐにその少し横で,また池岸の近くで,と次々目に入るから不思議です.

▲見つけたときには翅の伸張過程に入っていた.

▲翅が伸び終わり,腹部ももうほとんど伸びきっている.

▲羽化の終盤,このように腹部を高く持ち上げる個体が結構多い.

例によって,コサナエもフタスジサナエと同じで,翅を開くやいなや飛び立ってしまいますので,開翅した瞬間を撮ることが非常に難しいです.幸い翅を開いてしばらくじっとしている個体がいましたので,それをゆっくりといただきました.

▲翅を開いてしばらく止まっていた個体.おかげで,こういう姿勢の写真が撮れた.

ここに写真を紹介した以外にも,数頭,処女飛行に飛び立ったのを見ていますから,まあ,10頭は羽化していたでしょうね.時刻は大体11時少し前でしたから,羽化時刻はフタスジサナエなどと大差ないような感じです.

▲岸近くで羽化していたオスのコサナエ.

▲これも池の中央で,見つけたときには休止期に入っていた.

▲もう1頭は日陰で羽化していた.やはり休止期の状態であった.

▲腹部を抜くところ.この瞬間が好きなのでいつも撮影している.

▲腹部を抜き取った瞬間.

▲処女飛行に飛び立って樹上に止まったコサナエのメス.羽化していたのは池の真ん中だったが気づかず.

十分楽しめましたので,あとは別のトンボの未熟個体を探しに草地や林縁を歩いてみました.いたのは,シオカラトンボのオスと,ハラビロトンボのメスでした.

▲シオカラトンボの未熟なオス.メスと同じ麦わら色をしている.

▲ハラビロトンボのメス.ハラビロトンボも結構早くから出現するトンボだ.

シオヤトンボは十分成熟し,あちこちで縄張り活動や追尾行動を展開していました.いよいよトンボシーズン開幕という感じです.それにしても,この時期に気温30度は,異常としか言いようがないですね.