トンボ観察記
No.556. オジロサナエの観察.2017.7.16.

例年のごとく,今年もオジロサナエとヒメサナエの観察にやってきました.この観察地一帯は開発中で,今年は観察できないものとあきらめていましたが,なんと,オオタカの営巣が確認され,雛が巣立つ8月末まで工事が止まるということを地元の人から聞きました.オオタカさまさまですね.現在この観察地の30mほどのところまで工事が進んでいますので,オオタカの雛が巣立ったら,オジロサナエもヒメサナエもこの場所を繁殖に使えなくなるでしょう.


▲9時を過ぎたあたりから,日が差すと降りてくるオジロサナエのオス.

朝8:00頃に現地に入りました.残念ながら雲が厚く,気温は高いのですが,オジロサナエもヒメサナエも出てきません.9:00ころだったと思いますが,ヒメサナエのメスが産卵に入りました.いつもと違って,畳半畳ほどの範囲をすばしこく飛び回りながら,時々打水するような産卵でした.これまでの観察でも結構動く個体はいましたが,これほどの動きは始めてみました.とても記録できるような速さではありませんでした.


▲日が差しても日向に出ることは少なく,木漏れ日の中の日が射すスポットによく止まる.

さて,9時を過ぎて,日が時々差し始めると,オジロサナエのオスが様子を見に降りてきました.この中にはメスも混じっていましたが,この個体は産卵はしませんでした.


▲オスの集団に追いかけられていたメス.この後飛び去った.

オスは日が射すと降りてきて止まったり,闘争をしたりしていますが,日が陰ると多くの個体が樹上へ逃げていきます.そんなオスを観察しながら待っていると,10:00過ぎに足元にメスが入り産卵を始めました.あまりに近くで動くと刺激しそうなので,その場で上から見下ろすようにして記録を撮りました.


▲卵塊をつくり(上),飛び立って打水する産卵方法.


▲途中何度も止まって卵塊をつくる.打水した瞬間(中).この位置だとこういったアングルになる.

今日は産卵に降りてきたのはこれ一頭だけでした.ヒメサナエの方は朝一の飛び回り産卵以降,全く姿を見ませんでした.オスは3頭ほど縄張り活動に降りてきました.11時を回って太陽の日差しがやや強くなった頃でした.


▲日向に止まるヒメサナエのオス.

オジロサナエの個体数は今までとあまり変わった感じはしませんでしたが,ヒメサナエは激減しているように感じました.今日はこれら4頭以外は個体を見ることがありませんでした.工事の影響で摂食活動をする草原がほとんどなくなっており,これが影響しているのかもしれません.長い間楽しませてくれたポイントでしたが,この後はヤンマを探す予定にしていますので,今日でお別れになるかもしれません.長い間ありがとう.