トンボ観察記
No.547. 源流域のサナエトンボたち.2017.5.20-21.

この土日は二日とも快晴の予報.20日,朝起きたら朝焼けがきれいな晴天.ただ,昨夜暑くて寝付かれず,やや睡眠不足気味.先週ムカシトンボを観察に行ったときには,まだ源流域のサナエトンボは早い感じがしていました.あれから一週間.そろそろ出てくる頃かと思い,ヒメクロサナエとクロサナエを見に行くことにしました.いつもの観察ポイント,苔むす源流域です.

▲クロサナエの産卵ポイントだったが….

20日は,クロサナエの産卵のビデオをメインにして上の写真のところにビデオをセットして待ち構える作戦です.ここにクロサナエがよく入るのです.まあ,結果は完全に裏切られました.この日は違ったポイントにばかり入ってきて,ビデオカメラを振ってピントを合わせようとするころには産卵が終わるといった失敗が2度ありました.またあと1回は,ムカシトンボに気を取られ,産卵に入ったのを見逃し,見つけた時には飛び去るところでした.そう,クロサナエの産卵の方は成果なしでした.なお産卵に入ったのは,9:13,10:12,12:47でした.

▲ヒメクロサナエのオス.まだ淡色部が黄褐色をしていて未熟さが残っている感じである.

ヒメクロサナエの方は,上の写真のオスを2度見ただけで,こちらもほとんど成果なし.ヒメクロサナエの産卵は午後の方がいいのですが,昨夜の不眠がたたって体調もすぐれず,13:30頃に引き上げることにしました.空は快晴なのに残念です.

そこで,21日,「No.548のホンサナエの観察」の午後,もう一度チャレンジすることにしました.今日は,この記録を書くために,違ったポイントに入ったクロサナエはスチル写真で撮ることにしました.12:30ころ到着したところ,すぐにクロサナエが,やはり違ったポイントに入ったので,記録用にスチル写真を撮っておきました.昨日と同じ,岩の上に生えている禾本科植物の間に入って産卵をしていました.今年はここがいいのでしょうか?

▲クロサナエの産卵.禾本科植物の間に潜り込んで産卵をしている.落ちる卵が見える.

ヒメクロサナエの方は,オスすら姿を見せません.ホンサナエの夕方の観察をしたいので,14:30に切り上げる予定でした.まさにその直前に,さっと岩の裏側のすき間に入るメスを見ました.案の定産卵していました.今日は腹端がはっきりと見えるた位置でしたので,産卵後の卵も撮影しておきました.ピンクというかロゼワイン色のきれいに輝く卵です.

▲岩の後ろ側の狭いすき間に入り込んで産卵するヒメクロサナエ.

▲ヒメクロサナエの典型的な静止接水産卵,いや接地産卵というべきか?.

▲腹端部から卵が放出され,落ち葉の表面に付着していく様子.

▲ヒメクロサナエの産卵直後の卵.薄いロゼワイン色に透き通っていて美しい.

実はこれが入る少し前に,やはり同じ位置に一瞬トンボが入ったのを見たのです.今日はムカシトンボのメスが3頭も同じ場所に潜り込みましたので,またムカシトンボという先入観で岩の後ろをのぞき込みましたが,ムカシトンボはいなかったのです.どこに見失ったのだろうと思っていたのですけれど,一瞬見た姿といい,あれもヒメクロサナエだったように思います.ムカシトンボとは産卵する基質が違うので,のぞき込んだとき産卵しているのに気づかなかったのでしょうねきっと.ということで,源流域のサナエトンボたちもしっかりと活動を始めているようでした.今年は遅い感じなので,来週の方がもっと良いと思っています.