新 トンボ歳時記
No.377. オジロサナエの観察 2012.7.22.

今日は朝から薄日が射し,昨日と同じような状態の空模様でした.昨日はやや消化不良でしたので,今日はもう一度オジロサナエを中心に,昨日と同じ所へ出かけました.

ヒメサナエは流れの中央部に転がっている大きな石の上流側で産卵することが多いのですが,オジロサナエは,岸よりの,水がちょろちょろと小石の間を流れるような所で産卵をします.この場所は,細流が川に流れ込み,その上をおおうように樹木が葉を広げていて,そこがオジロサナエの産卵ポイントになっています.

オスたちはメスがやってくる場所を本当によく知っていて,このポイントにはオスが6,7頭は集まってきます.そして今日も2頭,3頭がしょっちゅう闘争を繰り広げていました.かと思うと,上の写真のように,翅がふれあうほど近くにオスが並んで止まることもあります.今日はこういったシーンが3回見られました.

また今日はオスの数が多かったせいか,この産卵ポイントから離れて,日向で静止しているオスも少なからず見られました.

さて,メスがやってくるのを待つのですが,今日は雲が太陽を遮ることが多く,そうなるとトンボたちはすっと姿を消してしまいます.メスもあまりやってきません.日が射すと,川の上をものすごいスピードでオスが飛んで来て,止まる場所を探すような飛び方をしてから,静止します.そんな時メスが1頭入りました.メスにしてはポイントの上空を探すような飛び方をします.普通メスは一気に産卵を開始すべく,ピタっと位置を決めて舞い降りてくるのですが,こいつは少し違いました.それでも岸辺の浅いところに止まって,卵塊をつくるような姿勢を取りました.とりあえず写真を撮りました.後でよく見ると卵塊をつくっている気配はなく,単なるひやかしメスであることが分かりました.

そしてしばらく待って11:42,ついに本当に産卵メスが入りました.オジロサナエは,普通止まって卵塊をつくり,飛び立って打水して放卵します.でも飛び立った後の位置がつかみにくく,写真はなかなか難しいです.結局打水の瞬間はまたお預けになりました.

このメスの産卵位置から20cmほど離れたところにオスが止まっていて,産卵しているのは見えると思うのですが,オスは反応しません.このオスたちは何のためにここに止まっているのだろうと思ってしまいます.

さて,今日のねらいはオジロサナエだったのですが,来た早々に,ヒメサナエが1回だけ産卵にやってきました.今日はそれをゲストにして観察記録を閉じたいと思います.