トンボ歳時記
No.303. エゾトンボの産卵. 2011.8.11.

今日は,オニヤンマの産卵を求めて,朝のうちに出かけてきました.

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▲観察地の湿地

オニヤンマのオスはしきりにパトロールをするので,メスが必ず来るとの確信のもとに待ちましたが,来ませんでした.しかし,待っている間に,エゾトンボのメスが入り産卵を始めました.

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▲エゾトンボの産卵.

しかしうす暗いところで黒っぽいエゾトンボが敏捷に飛びながら産卵するのを撮影するのは至難の業です.レンズが暗いと,もうほとんどトンボが見えません.勘でピントを合わせながらの撮影でした.

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▲オオシオカラトンボの産卵.

その後オオシオカラトンボが産卵に入りました.でもこれも暗くて結構難しい.あとヤブヤンマのメスが産卵したそうに4回ほど湿地に入ってきましたが,結局産卵はしませんでした.

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▲オニヤンマのパトロール飛翔(上)と静止によるなわばり監視(下).

4時間近くに渡ってオニヤンマのなわばり行動を観察したことはありませんでした.オニヤンマオスは勤勉ななわばり監視者でした.湿地を2,3周パトロールすると,湿地全体を見渡しやすい場所に,後肢で体を起こすように斜めに止まって,メスの来訪を待ちます.しばらくすると自発的に飛び,湿地を1,2周したかと思うと,また止まります.他のオスが入ってくると,落ちるように湿地の表面ぎりぎりにまで高度を下げて飛び立ち,相手の下側にもぐりこみます.お互いが向き合うようにして数回旋回したあと,たいがいはなわばりオスが侵入オスを一気に上空へ追い払います.こういった活動を淡々と続けてメスの来訪を待っていました.

結局,私もこのオスも,午前中はメスには振られてしまいました.