トンボ歳時記
No.197. オオサカサナエを求めて. 2010.8.28.

急に思い立って,オオサカサナエを見たくなって,滋賀県まで出かけてきました.赤トンボさんのHPに先週でもまだオオサカサナエが羽化していたとの情報が掲載されていて,そういえば,今年はStylurus属を見に行っていないと気がつき,朝4:15に家を出て,目的地に向かいました.ひょっとして羽化が見られるかも,というほとんど絶望的な?期待を抱いて出かけました.

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▲オオサカサナエのメスの羽化.7:07に発見.

ところが,事実は小説より奇なりとはこのこと,たった1頭だけでしたが,メスの羽化に出会いました.出来過ぎとはこのことですね.写真を撮っている途中で,羽化の支持物である竿竹に身体が触れてしまい,ちょっと脅かしてしまいました.でも羽化は無事完了,しかし驚いたのは,上の下の写真を撮ったあと,翅を開いたと思ったら直ちに飛び立ってしまったことでした.ちょっと目を離した隙にいなくなっていました.ヤラレタ!

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▲上:メガネサナエの羽化殻,下:オオヤマトンボの羽化殻.

さて,これ以外に羽化はないかと探し回りましたが,やはり神様は必要最小限だけ私にチャンスを与えてくれただけでした.あったのはメガネサナエの羽化殻とオオヤマトンボの羽化殻でした.メガネサナエの羽化殻はまだ湿っていました.おそらく今日羽化したものだと思います.

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▲セスジイトトンボ,上:オス,中:メス,下:テトラポットの間に浮かぶ流れ藻.

羽化を探して岸辺を歩いていると,セスジイトトンボがたくさん群れていて,また処女飛行に飛び立つ個体もいました.今がセスジイトトンボの二化目の羽化時期のようです.でも,セスジイトトンボ,こんな何も植物のないところでどうやって繁殖しているのだろうと,それが気になりました.湖岸を歩くと,流れ藻が浮いていました.きっとこれに産卵するんだと一人で納得しましたが,少し沖合にも沈水植物が水面に浮き出ているところがあり,ひょっとしたらこういったところかもしれないなどとも考えたりしました.結局調べず...,だめですね.ただ,流れ藻はすくってきましたので,幼虫が入っているかどうかまた調べてみたいと思っています.

さて,羽化の探索が一区切りしたので,次は成虫の写真です.湖岸を歩き回りましたが,メガネサナエが数頭飛んでいるだけでした.9:00過ぎまで粘りましたがオオサカサナエが飛ばないので,場所を移動しました.


場所の移動は大正解でした.ついたとたん目の前に止まったサナエトンボはオオサカサナエでした.これはピンぼけに終わりましたが,オオサカサナエらしいトンボが飛んでいます.止まるのを待ちましたが,飛び続けるばかり.そこで,飛んでいるのを撮ることに決めました.

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▲移動した場所とメガネサナエの飛翔.
 止まっているメガネサナエは,最初の場所で撮ったもの.

岸近くを飛ぶ個体を選んで撮影しました.ところがよく見るとこれはメガネサナエ.でも,オオサカサナエらしい個体も飛んでいます.これは岸にあまり近づきません.観察を続けていると,メガネサナエは水際に平行に飛びますが,オオサカサナエは沖の方に出ていって帰ってくるといった飛び方をしています.岸に近づいたときがシャッターチャンスです.しかし何度やってもうまくいきません.そこで,今は夏だということを思い出しました.水に入って撮ればいいのだ,と30分以上も経ってから気づきました.水着を持ってきていないので半ズボンで裸足というスタイルで入りました.でもこれ足が結構痛い.既にあまりの暑さに上半身は裸になっていたのですが,それにウェーダーを履いて入ることにしました.裸にウェーダーという何とも怪しげな姿で,岸から20mくらい出て撮影をしました.何人かの人が湖岸を通りましたが,きっと不審人物と思ったに違いありません.

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▲飛翔するオオサカサナエのオス.
 上:オオサカサナエは沖の方を飛ぶ.かなり沖に出て行く個体もある.
 その他は,岸から離れたところを飛ぶオオサカサナエのオス.入水撮影.

まあ,それでもあまりいい写真にはなりませんでしたが,岸で待つよりは近くでシャッターは切れました.遠浅でよかったです.