2年前より,神戸のトンボをよく観察されているO氏から,神戸にアサヒナカワトンボの橙色翅オスがいる,との情報を得ていました.そこで今日は,その調査に出かけてきました.
▲調査地の風景.
さて,現地に着きますと,アサヒナカワトンボが川面に出て追いかけ合いをしていました.しかし肝心の橙色翅のオスは見つかりません.ただ,1頭だけ,妙に翅の色が曇ったオスがいました.水にでも濡れたのか? あるいは人に捕まって手の脂でも付いたのかと思いましたが,少し黄色みがかっても見えました.とりあえず写真を撮っておきました.
▲上:普通の透明翅オス.下:翅のくもったオス.
家に帰って写真をよく見直してみましたが,判然としません.そこで,画像処理ソフトの手を借りて彩度をかなり上げてみましたところ,翅には明らかに黄色い色が混じっていることがはっきりとしました.上の明らかに透明翅オスと考えられる個体にはそのような兆候は出ませんでした.
▲上の写真と同じものを彩度を高くして色を強調した.
O氏の言うとおり,ここには黄色く色づく翅のトンボがいるのかもしれません.ただ,高知県産や和歌山県産の橙色翅のものと比べると,このカワトンボは翅脈が黒い点で異なっていますし,この程度の色づきなら,神戸市の他の産地でも採集しています.
▲上:高知県産の橙色翅アサヒナカワトンボ.
下:神戸市産の,翅にやや色づきがある個体.
ということで,残念ながら今日の私の調査では結論は出ませんでした.O氏の発表を期待したいと思います.なおO氏の発表前ということもあり,産地に関する情報は神戸市内ということ以外は一切伏せています.
今日飼育していたイトトンボの幼虫からアジアイトトンボが羽化しました.見立てはアジアイトトンボでしたので正解ということになります.同定困難種については,時々こうやって自分の見立てを確認しておかないと,腕がにぶってしまいます(笑).
▲アジアイトトンボの羽化殻(左)と羽化個体(右).
まもなくセスジイトトンボらしい幼虫も羽化しそうです.はたして当たっているやら...