トンボ歳時記
No.137. トンボの羽化が始まりました. 2010.4.17.

ここのところ低温続きです.まだソメイヨシノが満開状態で,生物季節は4月上旬状態かもしれませんね.ため池の畔にはヤマザクラも咲いていました.今日はそんな中,羽化の探索に出かけてきました.

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▲上:満開状態のソメイヨシノ
 中:調査ため池の畔に生えていたヤマザクラ
 下:調査地のため池の一つ

まずは昨年フタスジサナエがたくさん羽化していた,神戸市北区の池に行ってみました.昨年は4月18日に羽化していましたので,ちょうど同じころの時期になります.しかしまだ羽化の気配はありません.成虫越冬種の姿もなく,池は静まりかえっていました.そこで,水の中を少しのぞこうと,幼虫をすくってみました.フタスジサナエがたくさん入り,他にも,オオイトトンボ,クロスジギンヤンマ,ショウジョウトンボなどが採れました.

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▲採集された幼虫たち(神戸市北区).
 上:オオイトトンボ.尾鰓は典型的なオオイトトンボのもの.
 下左:羽化直前のクロスジギンヤンマ.下右:羽化直前のフタスジサナエ.

さて,ここはまた来週ということにして,今度は定点ポイントへ移動しました.天気は晴れたり曇ったりで,風はまだ冷たさが残っています.水辺を歩いてみましたら,オツネントンボのオスが飛んでいました.そして,足音を感じてさっと舞い上がったやや大きなトンボがいました.目を凝らしてみると,どうやらトラフトンボのようです.3頭羽化して飛び立ちました.羽化殻をさがしてみましたが,残念ながら見つけることはできませんでした.樹林の方に飛び去っていく個体を,とりあえずカメラに収めておきました.

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▲左:オツネントンボのオス,右:処女飛行に飛び立ったトラフトンボ.

さて,次は,先週見られなかったシオヤトンボの羽化を確かめに行きました.いましたいました.池の畔から飛び立った1頭のシオヤトンボ,写真に収めることができました.ただ,見たのはこれ1頭だけでした.

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▲明らかに今日羽化したシオヤトンボのオス(小野市).

最後はホソミイトトンボなどがよく現れる池に行って,様子を見てみました.まだまだ池は静まりかえっていましたが,そっと産卵をする,オツネントンボのメスを見つけました.オスがいないせいか,単独での産卵です.

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▲オツネントンボの単独産卵.

昨年の4月10日には,シオヤトンボがすでに羽化しており,羽化して2,3日経ったと思われる個体が日当たりのよいコンクリート上に止まっていましたし,越冬種も交尾や産卵を行っていました.それに比べると,今年の池畔はまだまだ4月はじめという感じです.

今年はどうやら春のトンボの出現が遅れそうです.来週末もまた寒の戻りがあるという予報で,こういう遅い春のトンボの動き,どうなるか,ある意味楽しみです.