ムツアカネは,北半球のほとんどの寒冷な地域に分布する極めて普通のアカトンボですが,兵庫県には分布せず,どうしても信州まで見に行かねばなりません.休みになると元気になるので,早朝というより夜半過ぎに目覚め,思いきってムツアカネを見に行くことにしました.
現地には9:30ころ入りました.信州の高原はさすがに涼しく,長袖でちょうどよい感じでした.台風14号の影響で,空の東半分に雲がかかっており,ちょうど太陽を遮っています.西半分は青空なのに....
▲上:観察地の風景.下:朝,のんびりと止まるオスたち.
ムツアカネはすでに湿原に現れており,オスは,コウホネの葉の上や,ミズゴケの上などに止まっています.まだ動きはないようで,時々飛び立っては止まったりしています.ルリボシヤンマは低い気温をものともせず,水たまりの上をホバリングしています.
▲交尾するムツアカネ.
10:30を過ぎたころでしょうか,交尾態のペアが目の前を横切りました.さて,出動開始です.時折雲の間から日が射すのを待って,シャッターを切ります.交尾時間が結構長いので,このあたりは余裕でした.
▲湿原の水たまりに姿を現したペア.産卵を始める.
11:00を過ぎたころでしょうか,ペアが一つ,産卵に訪れました.しかし,産卵しようとしても場所が気に入らないのか,せわしなく動き回って,すぐ別の場所へ移動してしまいます.11:30ころになって,日が安定して射し始め,やっと落ち着いて産卵を始めました.そしてこのころには,どこからともなくペアが現れ,次々に産卵ショウが開始されました.
▲産卵の方法は,連結打泥産卵.泥以外にミズゴケにも卵を置いている.
小さなムツアカネは結構動きがすばやく,打泥のリズムも速く激しいので,写真に撮るのは大変でした.ピントを合わせているとき息を止めているので,3ペアほどの産卵を連続して撮影するとぐったり疲れてしまいます.
▲左:産卵を終えるとメスはその場で一休みしてから飛び立つ.
右:オスは,午後になっても水場に残っている.
12:30ころには産卵も一段落し,その後は時々,ペアが現れて産卵をしていました.しかし私の方はもうぐったり,集中力がなく,写真になりませんでした.あとは外道を楽しむことにしました.