トンボ歳時記
No.096. 神戸市北区の河川と六甲山地. 2009.8.16.

今日は午後から晴れてきましたので,近場ということで神戸市内のトンボ調査に出かけてきました.目的は,市内に生息するオナガサナエの確認と市内未発見のミヤマサナエの探索です.そして思い立って六甲山へ上がり,コシボソヤンマの生息状況も確認しに行きました.

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▲第一地点:神戸市北区の川.

まずは北区の川へ出かけてきました.ここは市内で唯一幅の広い川に砂が分厚く堆積している川原があるところです.キイロヤマトンボの幼虫が採集された場所でもあります.ミヤマサナエがいるとしたらここしかないと考えています.しかし,この夏の豪雨による増水で,堆積していた砂がほとんど流され,川原は石がごろごろした状態でした.

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▲北区の川で見られたトンボたち.
 上:オナガサナエ(本流),下左:ハグロトンボ(支流),下右:コオニヤンマ(支流).

ミヤマサナエを見つけることはできませんでしたが,本流にオナガサナエが健在であることを確認できました.支流の方にも入ってみましたが,そこも豪雨で川原が削り取られ,葦が根こそぎ流失しており,荒れた感じでした.ここにはコオニヤンマ,ハグロトンボ,コシボソヤンマがいました.


先の支流でコシボソヤンマを見たこともあり,ちょうど時刻も午後2:00を過ぎていて産卵によい時分なので,帰りがてら六甲山地西部にあるコシボソヤンマのポイントへ出かけることにしました.

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▲第二地点:下左:六甲山地の西部にある小さな流れ.
 下右:コシボソヤンマがよく産卵にくる切り株.
 上:人が近づいたため,産卵をやめて飛び上がって止まったメス.

流れに入っていくと,いつも産卵している木の切り株の所からさっとメスが飛び立ってしまいました.やはり産卵に来ていたようです.すぐ上に覆い被さっている木の枝に止まりましたので,また降りてくることを期待し30分ほど粘りました.案の定降りてきましたが,気が立って警戒してしまったのか,別の場所へ行ってしまいました.

そこで,もう一つのポイントへ行ってみました.ここはコンクリート三面張りになっているところで,切られた丸太が2,3本転がっていて,砂防堰堤から吹き出る水がそれに降り注いでいるような場所です.とても暗いところなので目を凝らしてみましたところ,メスが水しぶきを浴びながら産卵していました.

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▲水しぶきを浴びて産卵するメス.

よく見ると,水面近くをオスも飛んでいます.オスはメスのすぐ横を飛ぶのですが,メスに気づかないようです.オジロサナエの時にも感じましたが,オスはメスが見えないのでしょうか? 何枚か写真を撮ると,こちらのメスも飛び立ってしまいました.

そこで今度は,狭い範囲を往復飛翔するオスの写真を撮ることにしました.コシボソヤンマは飛翔するトンボを撮る練習にはもってこいの対象です.同じ範囲を行き来しますし,あまり人を恐れません.何十枚も撮って,数枚ピントが合っている写真がありました.

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▲コシボソヤンマオスの飛翔.
 下左の上から撮った写真では,腰のくびれ(腰細)がよく分かる.

今日は午後にちょっと出かけただけでしたが,オナガサナエの生息確認,コシボソヤンマの生息確認と,まあまあ成果があったと思います.ミヤマサナエはまた川の状態が回復する来年ねらうことにします.