■見分けのチェックポイント
羽化殻全長27mm前後.前肢,中肢の脛節に毛が列生する(幼虫写真参照).側棘は第8,9腹節にあり,背面から見た場合,第8腹節の側棘は第10節の後縁に達し,第9腹節の側棘は肛上片の先端部あたりまで伸びる.背棘はないが,細かい毛が第2−3腹節の正中線後縁に束生している.肛上片先端は肛側片先端より基部よりに位置する.肛上片背面正中線上の後半部に小さな棘が数本列生する.側刺毛は9−10本程度,腮刺毛は11−13本程度である.
■分布と類似種
先島諸島の宮古島,石垣島,竹富島,西表島,波照間島,与那国島に分布する.沖縄本島と奄美大島でも見つかっているが,これらは飛来したものと思われる.ハネビロトンボとは幼虫や羽化殻の形態が酷似しておりまず同定できない.本種の場合,側刺毛や腮刺毛の数がやや少ないこと,側棘がやや短いことなどが区別点になりそうだが,これらの数値の安定性についてはまだ確信が持てない.また杉村ら(1999)によると,肛上片上の棘が本種の場合4本,ハネビロトンボで6本であるという.
■生態
沈水植物のある池を好むように感じられるが,成虫はいろいろな池の上を飛んでいる.石垣島では,抽水植物が倒れた部分や沈水植物をすくったときに採集された.水生植物が繁茂している場合は,その中に潜り込んで生活しているものと思われる.