■見分けのチェックポイント
羽化殻全長20mm前後.表皮は比較的薄い感じで,泥をかぶって汚れている.側棘は第8,9腹節,背棘はない.側面から見ると,第5腹節には背棘と見間違えそうな「ひだ」が見えるので注意を要する.側刺毛は7本前後,腮刺毛は10本前後である.尾毛の先端部は肛上片の先端部の位置くらいの長さである.
■分布と類似種
小笠原群島(姉島,母島,父島,弟島,兄島に記録がある)にのみ生息し,分布は非常に限られている.類似種のリュウキュウトンボ,ミナミトンボとは分布域がまったく重なっていない.
■生態
苅部(2004)によると,渓流の淵の部分,貯水池,ハス池,ダムなどに多産したという.トンボ類の増殖を目的としたコンテナの人工池にも幼虫が見つかっている(苅部・須田,2004).杉村ら(1999)によると,2×4mほどのコンクリート枠で囲まれた他水たまりに多数の終齢幼虫がひしめいていたという.多様な止水域を求めて発生を繰り返しているようである.