オガサワラトンボは背棘がなく,他の2種との区別が容易であるが,ミナミトンボとリュウキュウトンボは背棘配置の違い,または尾毛先端の肛側片先端に対する位置の違いにより見分けるしかないようである.背棘配置は決して安定した形質ではないと思われるので,これだけに頼ると誤同定をまねく可能性がある.結局は分布域で見ることになるであろう.石田(1996)は,この2種を,第9腹節背棘が第10腹節後縁に達するものをリュウキュウトンボとしたが,少なくとも羽化殻ではそうなっておらず,幼虫でも必ずしもそうでない個体がある.
01.背棘がない.側刺毛は7本前後である.小笠原諸島(父島,母島,弟島,兄島)のみに分布する.・・・
オガサワラトンボ
− 背棘がある.側刺毛は5本前後である.・・・
02
a,b.オガサワラトンボ,c.リュウキュウトンボ,d.ミナミトンボ.
02.背棘としてはっきりとしたものは第6−9腹節にある(a)が,第5腹節に背棘的な隆起が見られる個体がある(矢印の位置).尾毛先端部の位置が肛側片先端部の位置とほぼ同じくらいになる(c).宮崎県,種子島,屋久島,中之島,石垣島,西表島などに分布する.・・・
ミナミトンボ
− 背棘としてはっきりしたものは第5−9腹節にある(b)が,第4腹節に背棘的な隆起が見られる個体がある.尾毛先端部の位置が肛側片先端部の位置に明らかに届かない(d).奄美大島と沖縄本島に分布する.・・・
リュウキュウトンボ
a,c.ミナミトンボ,b,d.リュウキュウトンボ