■見分けのチェックポイント
羽化殻全長19mm前後.表皮は比較的薄い感じで,身体の大きさに比して肢が細く感じられる.側棘は第8,9腹節,背棘は第6−9腹節にある.側面から見ると,第5腹節には背棘と見間違えそうな隆起が見えるので注意を要する.側刺毛は5本程度,腮刺毛は7-11本程度である.尾毛先端部は肛側片先端部の位置くらいの長さである(rc/rp=0.95前後).手元の標本を見ると,ミナミトンボの背棘は個体によって発達の程度が異なるようで,ここに記した背棘配置と異なる個体が採れる可能性があるように思われる.
■分布と類似種
宮崎県,種子島,屋久島,中之島,石垣島,西表島に生息し,分布は限られている.類似種のリュウキュウトンボ,オガサワラトンボとは分布域がまったく重なっていない.背棘配置が第6−9腹節にある種は,本種の分布域には生息していなくて,これだけを確認できれば本種と同定できる.
■生態
杉村ら(1999)によると,植物沈積物の多い池沼や,ゆるやかな流れに生息するというから,リュウキュウトンボとほとんど変わらない生息環境だと思われる.