■見分けのチェックポイント
羽化殻全長35mm前後.下唇側片に5本程度の長刺毛(1),その基部よりに短刺毛(2)がある.可動鉤上には短刺毛が列生するが長刺毛はない.下唇側片内葉片は幅広く,可動鉤基部から前縁までの長さと,内葉片前縁の幅がおおよそ等しい.腹部背面は正中線に沿って濃褐色条が走りその両側はやや不明瞭な淡色条となる.側棘は第5−9腹節にある(腹部腹面図でははっきり見えないので,全形補助図矢印を参照)が,時にに第5腹節の側棘が不明瞭な個体がある.背棘はない.原産卵管は第9腹節の後縁を越え,羽化殻では第10腹節の中程にわずかに届かない程度で,生きた終齢幼虫では第10腹節の中央をわずかに越える.尾毛は長く肛上片または肛側片先端部よりわずかに短い位置にくる.肛上片先端部と肛側片先端部はほぼ同じ位置にくる.肛上片先端部は背面から見ると浅く二叉になっている.
■分布と類似種
トカラ列島渡瀬線以南の南西諸島各島に分布する.カトリヤンマが酷似し,沖縄本島以北の南西諸島で分布が重なる.♀の場合は,原産卵管先端の位置が,終齢幼虫ではリュウキュウカトリヤンマの場合第10腹節中程,カトリヤンマの場合ほぼ第10腹節後縁に達することで区別できる.羽化殻では腹節が伸びた分位置がそれぞれ少し手前になる.♂の場合(または♀でも)は,下唇側片上の長刺毛が,リュウキュウカトリヤンマの場合5本の場合が多く,カトリヤンマの場合5本で少し離れてもう1本ある場合が多い.ただし,カトリヤンマでも片側が5本のものが結構ある.第5腹節の側棘の有無で見分けるのは実際上困難であることが多い.
■生態
沖縄本島では,樹林の縁や中にある小さな水たまりで幼虫が採集された.西表島では,木陰にある樹枝や落ち葉が沈積した浅い水たまりで多数採集できた.杉村ら(1999)によると,生態はカトリヤンマに似ているという.