トップ写真の解説
オツネントンボの活動開始時期がだんだんと早くなってきているように感じます.最近の気温上昇,特に暖冬の影響かもしれません.とうとう産卵開始時期が3月に入ってしまいました.この年は3月11日からオツネントンボの姿を周辺の草地で見ていましたが,池面に進出したのは3月30日が初めての確認になりました.この前日も午後から晴れていたので,ひょっとしたら産卵活動が始まっていたかもしれません.春の早い時期は抽水植物もまだ伸びていなくて,通常水面より高い位置で産卵するオツネントンボも,水面に倒れた抽水植物の枯れ組織に産卵しています.
早春の産卵.2024.3.30.
成虫
成虫で冬を越すトンボの一つです.春の活動は一番早いといってもよく,年にもよりますが,3月の末から繁殖活動を行っています.その後比較的短期間で姿が見られなくなり,6月下旬に次の世代の成虫が羽化してきます.それから夏,秋,冬を越して,翌春に成熟します.未成熟成虫はかなり広い範囲を飛び回っているのではないかと思われます.ビオトープ池などを造成すると,その初めての初夏に大量にオツネントンボが羽化することがあります.そういう意味で,パイオニア種的な要素が感じられます.
メスの単独植物組織内産卵.2010.4.17.
幼虫
オツネントンボの幼虫はアオイトトンボ属の幼虫とよく似ていますが,下唇が細くなく,かつ短いので簡単に見分けられます.またホソミオツネントンボとは,本種の方が倍くらい大きいので,終齢になると簡単に見分けられます.春に産下された卵は,短期間で孵化し,幼虫は急速に成長して羽化に至ります.
亜終齢幼虫,スタジオ写真.2011.6.11.