H038.ウチワヤンマ Sinictinogomphus clavatus clavatus
ウチワヤンマの数が最も多くなるのは6月です.真夏の池でも見られるトンボなので,夏のトンボのように見えますが,初夏にもっとも個体数が多くなります.多産する池では,池の周囲に5mおきぐらいにオスが止まっていて,ときどき飛び回っては追飛行動を見せます.交尾は主に池の外で行われ,交尾が終わると交尾態のまま池の周囲を飛んで,産卵場所をさがします.そしておもむろにメスを放し,しばらくオスは警護を行います.メスは浮遊物に腹端を打ち当てたり少し滑らせるようになでたりして,卵を絡みつけます.ウチワヤンマの卵には,糸状の構造物が付いていて,これが水に触れると伸び,腹端から産卵基質に向かって糸を引くようになることがあります.メスは産卵を終えると一気に上空へ飛び上がり池から離れます.このときオスが追いかけることがあります.