No. 929. ヒメサナエの観察。2023.1.17.

満を持してといいますか,今日は日付的にヒメサナエの観察にもっとも適した時期ですので,ヒメサナエの観察に出かけました。熱中症危険情報が出ていますが,だいたい本種は山中の日陰の川でじっと座って観察するので,ほとんど問題はありません。


▲ヒメサナエのオス.▲

「満を持して」などという書き出しをすると,たいがいあまりよくない結果が出ているのですが,全くその通りで,今日見かけたヒメサナエは,写真のオス1頭,そして飛び去る小型のサナエ1頭だけでした。昨年と同じ場所へ行ったのですが,昨年の賑わいはまったくありませんでした。さらに流程に沿って少し範囲を広げて探しても見つかりません。明らかに激減しています。上の写真の成熟状態から見て時期を間違っているとも考えられません。

ヒメサナエの幼虫期間は2年と考えられています。昨年はたくさんいたので来年また同程度出てくれば,この奇数年(今年が2023年なので)の繁殖個体群が著しい減少をしていると考えることができるかもしれません。生活史に興味がある私にとっては非常に興味深い現象に出会ったといえます。

この繁殖場所付近は大規模工事が行われたので,その工事が奇数年繁殖個体群の繁殖活動の時期または若齢幼虫の時期に大きな影響を与えたということが考えられます。というのは,この幼虫は川を流下することが知られており,実際この川で羽化殻が採れるのはずっと下流です。したがってまだ流下を始めていない小さな幼虫は繁殖場所にとどまっていて工事の影響を受けることが考えられます。

どのような形で影響したかは分かりませんが,とにかく来年の状況を見て,さらに再来年の状況を見て,判断するのがいいようです。もし増減が年毎に繰り返されるような状況が見られたならば,これは非常に面白い事例になります。トンボの生活史には年齢群分割という現象があるので,1ないし3年で羽化する個体もあると仮定すると,この状況は次第に平坦化されてくる可能性もあります。

ヒメサナエがいなかったことは残念でしたが,面白い研究テーマが見つかるかもしれません。

さて,まだ時間があったので,ヤンマの状況を見に行きました。そろそろ薮の中でトンボを探す季節になり始めているからです。結果はカトリヤンマのメス1頭を見つけただけでした。


▲薮の中に止まっていたカトリヤンマの未熟なメス。▲

ストロボを炊くと飛び立ちましたが,この場所が気に入っているのか,周辺をぐるっと回って戻ってきました。今日は暑いので,温度が適している微小環境の場所を感じ取っているのかもしれません。


▲舞い戻ってきたカトリヤンマ(上).その後1時間以上止まり続けていた(下).▲

いよいよ夏本番,夏のトンボたちを探しに行く季節が到来しました。熱中症と闘いながら観察を続けることになりそうです。今日も実はヤンマを探しているとき,妙に呼吸数が上がり,身の危険を感じました。皆さんもお気をつけください。

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