No. 1034. ナニワトンボの未熟個体探し.2025.7.14.

6月12日以来,ずっとナニワトンボの未熟個体を探しに出かけていました.例年であればアオハダトンボやヒメサナエなどを見に行く時期なのですが,それらをすべてキャンセルしてこれ一本に絞った探索を続けました.生息地の池を訪れ,枝先を見て回ります.今日は到着と同時にやっとナニワトンボを見つけましたが,なんと,もう青白い粉を吹いていました.実はこの場所は6月12日以来で,今までは別の場所へ行っていました.


▲ナニワトンボのオス.もはや粉を吹いている.▲

その後も丹念に探しましたが,ナニワトンボ自体が見つかりません.しかしリスアカネが結構たくさん止まっていました.リスアカネとナニワトンボはだいたいセットですから,これがたくさんいるということは,可能性は十分あります.しかしリスアカネも,すでに腹部が赤くなっている個体もいて,ちょっと時機を逸したかなと思ってしまいました.


▲リスアカネたちもすでに羽化をしていて,腹部が赤い個体もかなりいた.▲

1時間以上探索しても見つかるのは粉を吹いた青白いオスばかりです.6頭ほど見かけました.ダメかと思ったとき,遠くの樹間に止まる未熟個体を見つけました.


▲池に張り出した木の枝の中に止まるナニワトンボのメス.▲

しかしこれはメスです.オスの未熟な個体が見たかったのです.しばらくこの個体を見ていると,飛び立って姿を消しました.池の反対側へ行ったかもしれないと思い,移動しました.そして慎重に木の枝の先を探すと,いました.オスが,それも2頭,さらにメスが1頭も.ほぼ同じ場所に止まっていました.


▲ナニワトンボの未熟個体.上2つはオス,下がメス.▲

枝の高い位置に止まっているので,どうしても見上げたようなアングルになります.いつも思いますが,1つ見つけると,次々に目に付くようになるのが不思議です.1時間以上見つけることができなかったのに.そこで,もう一度戻りつつ,青白い粉を吹いたオスがいたあたりを丹念に探しました.すると,本当に不思議,次々と見つかります.


▲上からメス,オス,オスの未熟なナニワトンボ.▲

いずれも見上げるようなアングルですが,一番最後のだけは目の高さに止まっていました.といってもいずれも水面に延びた枝先なので,近づくことができません.ただ一番下の個体は摂食でしょうか,時々飛んで止まり直しますし,一番近い距離に止まっています.そこで,なんとかふつうの高さのアングルの写真を撮れるよう待つことにしました.オス君との我慢くらべです.そしてついにチャンスが訪れ,飛んで止まった瞬間に横を向き,写真をテイクすることができました.


▲腹部背面が黒みを帯び,粉を吹き始めようとしているのかもしれない.▲

粉を吹いている個体がすでにいることを考えると,未熟な個体を見ることができるのはとても短い間のような気がします.あと1週間もすれば,全部粉を吹いているかもしれませんね.いずれにせよ,ずっと心のどこかにくすぶり続けていたナニワトンボの未熟個体の探索,やっと答えを出すことができました.

全然別の話ですが,6月4日にキイロヤマトンボを探しに行った時に見た,コヤマトンボのように見えた個体が実はキイロヤマトンボだったことも判明し,いまのところ最近調査していないトンボの調査に成果が出ており,やっと気持ちが晴れたような気がしています.

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▲2025.6.4. キイロヤマトンボ.兵庫県北部.▲

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No. 1033. キイロヤマトンボを見に行った.2025.7.9.

最近あまりにも暑くて,出かける気がしません.前回の報告後アカトンボの羽化を見に行ったりしましたが全く姿がないので写真も0枚.ということで記事にもなりません.そんな中,兵庫県では見るのが難しくなったキイロヤマトンボを,県外へ出て見に行きました.6月4日に県内のかつての産地へ出かけはしたのですが,残念ながら飛んだのはコヤマトンボだけでした.

川の堰堤に砂がたっぷりとたまった流れの上をオスが飛んでいました.久しぶりにキイロヤマトンボを見ました.ただ,オスが飛ぶだけで,写真を撮っても同じようなものばかりになります.また飛ぶのが速いので,ピントがほとんど来ません.成功率1%以下でした.


▲砂がたっぷりとたまった緩い流れの上を飛ぶキイロヤマトンボ.▲


▲トリミングで拡大.キイロヤマトンボのオス.▲

キイロヤマトンボの最盛期はもう過ぎており,シーズン的には終わりに近い状況です.夕方になるとメスが来るかもしれないと言われましたが,県外で遠いですし,午前中で観察を終えました.

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No. 1032. ベニイトトンボ調べと,2025.7.3.

もう梅雨が明けてしまって,今日の外気温は37℃.体温越えです.こんなに暑ければトンボたちも大変だろうなと思いつつも,元気にしているか近所の公園へ見に行ってみることにしました.幸い薄雲が多く直接の日差しはあまり強くありません.ターゲットはベニイトトンボの産卵です.

いやはやトンボたちは暑い日差しの中,元気に活動しています.特に元気なのはチョウトンボとショウジョウトンボ.強い日差しが射す公園の池の上を,なわばりを防衛しメスを獲得するために飛び回っています.メスの方も次々に産卵しに来ています.


▲産卵に来たチョウトンボのメスたち.下はオス型色のメス.▲

シオカラトンボはちょっとバテ気味で,日陰に入っています.コシアキトンボはもともと日陰が大好きなヤツですから日向には遠慮がちに出てきています.ショウジョウトンボは腹部挙上をして太陽と戦っています.


▲オスが仲良く並んで腹部を持ち上げている.ショウジョウトンボ.翅はボロボロ.▲

さて,ねらいのベニイトトンボは,日向で頑張っていました.ただ,まだ時間が早いのか,オスが単独で飛び回っているだけです.キイトトンボも含め,こういう色が派手なトンボたちは,本当に日差しをものともせず日向で活動しています.


▲オスたちは単独で水際の草に止まっている.▲


▲しばらく探すと,産卵しているカップルに出会った.▲


▲運良く,岸に近づいてきた.▲


▲やがて産卵を再開したが,手前の草が邪魔で,引っこ抜こうとしたら産卵を止めた.▲

このペアは岸近くが好きなようで助かりました.もう1ペア産卵していましたが,こちらは岸から離れるように移動していきました.ということでこの子たちに付き合うことに決めました.オスはかわいそうに翅がちょっと傷んでいますね.


▲30分ぐらい待つと,やっとオープンなところで産卵してくれた.▲

ベニイトトンボは37℃の炎天下でも元気で活動していることが分かりました.これで予定は終わりというところですが,そろそろヤブヤンマが出てくるころなので,林の中にぶら下がっていないか見に行くことにしました.暑いときは薄暗い林の中でのトンボ探しが最高です.

ヤブヤンマはぶら下がってはいませんでしたが,薄暗い池の周囲を飛んでいました.オスです.ヤンマがぶら下がりそうな周辺の木の枝をつつくように見回る仕草が観察できました.これきっとメスを探しているんですね.しばらくすると姿が見えなくなりました.どこかへ行ってしまったか,止まったのでしょう.

ほどなくすると,もう1頭ヤブヤンマが入って来ました.黄色い縞模様が見え,今度はメスのようです.少し飛ぶと池に突き出た枝に止まりました.撮影のチャンスです.近づくと飛び立ちました.するとどこかに止まっていたのですね,先ほどのオスが体当たり,メスをつかんだ状態で道ばたに置いてある枯れ枝の束の中に落ちました.そのまま動きが見られなくなりましたので近づいてみると,枝に絡まるように2頭が引っかかった状態でじっとしています.それでもオスはしっかりと交尾をしていました.


▲枯れ枝の束に引っかかった交尾態.2頭にピントが合う角度では細枝が邪魔になる(下).▲

なんとまあ,ちょうど交尾している部分が細枝に引っかかっているようです.これ下手に動くと交尾が外れそうですね.しばらく観察していると,やがて意を決したように飛び立ち,遠くの木の方へと飛び去っていきました.

以前もヤブヤンマのオスがメスを捕まえたとき,木の枝の中に落ち込んだのを見ました.その後交尾が外れたとき,メスがオスの腹部先端に噛みつきました.いやはやオスも体を張った交尾なんですね.

さてこれを見てしまったので,産卵にも来るかもしれないということで,可能性のある場所へ行ってみますと,きちんとメスが産卵にやって来ていました.当たるときは予想がすべて当たるんです.


▲産卵に来ているまだ若いメス.▲

ヤブヤンマのメスはどこで産卵しようか迷っているような飛び方をしていました.こういうときは追いかけてはダメで,じっと池の畔にしゃがんでいるのが正解です.ヤブヤンマに限らず,メスはオスに見つからないように物体の陰に隠れて産卵するのがが好きなのです.つまり私自身がその陰になる物体と化すのです.思惑通り足下に止まって産卵を始めました.こうまで計算が当たるとなんか恐ろしい感じですね.


▲本当に足下すぐで産卵しているので写真にはむしろ撮りにくい.▲

写真を撮りやすいような位置に少し体を動かすと,このメスはさっと飛び上がってしまいました.まだ若いので,敏感なのでしょう.こうなるともう近づけません.次の場所に止まっても,ちょっと動いただけでさっと産卵を止めてしまいます.やがて,オスが入ってきて追い回し,このメスは逃げていきました.

7月3日にヤブヤンマの産卵を観察したのは初めてでした.帰りにウチワヤンマのメスが池の畔で休んでいるのに出会いました.


▲ウチワヤンマのメス.▲

37℃の中,3時間ほどの観察でした.体重が1kg減りました.汗のせいでしょうね.こんな日はこの辺が限度です.

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No. 1031. 下越地方のトンボ調査.2025.6.30-7.1

下越地方へトンボ調査に行きました.目的は,オオセスジイトトンボ,オオモノサシトンボ,カラカネイトトンボでした.前二者は多分いないだろうという予想で,後者が本命というところでした.しかし結果は目的達成率0%という残念なものでした.

オオセスジイトトンボ・オオモノサシトンボの生息地には,イトトンボの姿すらなく,池を一周してアオモンイトトンボ1頭という状態でした.あとはコシアキトンボ,コフキトンボ,シオカラトンボが少々飛んでいただけでした.気温は35℃という厳しいものでした.この池もイトトンボがいないのです.最近イトトンボの姿を見かけない池が増えつつあるように感じます.

翌日,天気は曇で時々雨がぱらつくあまりいい状態ではありませんでした.調査する身には暑すぎなくていいのですが...かなり歩いて目的の湿原に着きました.息を切らせて山を登ったので,少し休憩と木陰で腰を下ろしましたら,ヤマビルの爆撃にあいました.最初カメラのビューに1頭のヤマビルが落ちてきて,気がついたら手の甲に5,6匹のヤマビルがうろついていました.やられましたね.熊との出会いを警戒していてヤマビルにまで気が回りませんでした.急いで取り除きましたが,3ヶ所血を吸われてしまいました.

あわてて湿原のほうに入って,爆撃を逃れました.トンボはというと,ハッチョウトンボがやたら多く,これまたイトトンボがいません.やっとの事で見つけたのは,オゼイトトンボでした.


▲オゼイトトンボ.最初ホソミイトトンボかと思ってしまった.▲


▲ハッチョウトンボは非常にたくさんいた.▲

ゆっくりと池塘周辺を探索しましたが,本当にイトトンボがいません.2時間近く時間が経ったとき,少し薄日が射してきて,イトトンボも姿を見せるようになりました.まず見たのが青い色をしたメス.これ,エゾイトトンボかとも思うのですが,オオイトトンボにも青色のがいるので,ちょっと保留です.


▲エゾイトトンボ(だと思う)の青色メス.▲


▲オオイトトンボのオス.オスはこちらで見るのと変わりがない.▲

写真にはなりませんでしたが,エゾイトトンボはオスが飛んでいました.あと,キイトトンボ,モノサシトンボの姿がありました.しかしカラカネイトトンボの姿はとうとう最後まで見ることがありませんでした.そもそもイトトンボの姿が少なすぎる感じです.エゾイトトンボなどもっと群れていてもいいのに,と思うようなよい環境です.

空模様は次第に悪くなり,雨が降り始めました.クロスジギンヤンマ,カラカネトンボ,コサナエ,チョウトンボなどが飛んでいましたが,それらも姿を消しました.


▲カラカネトンボのパトロール.▲


▲7月になっても,コサナエがまだいる.▲

ということで調査を終えました.羽化の時期は過ぎていると思うのですが,こんないい環境で,他のトンボたちはいるのに,見つからないのが不思議です.私の探索力が落ちたのかもしれません.

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No. 1030. ベニイトトンボの観察.2025.6.20.

先日ベニイトトンボが活動を始めていることを見たので,マクロレンズをひっさげて,今日はベニイトトンボの状況を見に行くことにしました.


▲ベニイトトンボの数は増えていたように思えた.▲

はじめはオスが飛ぶばかりでしたが,11時30分ごろからタンデムペアや交尾ペアが見られるようになりました.


▲タンデム個体が飛びだした.▲


▲交尾ペア.▲

13時頃まで産卵開始を待ちましたが,34℃を超え始めましたので観察を中断しました.しかし,夏のトンボたちは,まだまだ元気に日向で活動していました.


▲シオカラトンボの産卵.上は警護するオス,下は産卵しているメス.▲


▲コシアキトンボ.オス同士の闘争とメスの産卵.▲


▲強い日差しの日向に止まるチョウトンボのオスたち.▲


▲クロイトトンボの成熟オス.こういうアップで見るのは久しぶりの気がする.▲

単焦点のマクロレンズは,やはりズームレンズと違い,描写力が高いことが分かります.飛んでるトンボもかっちりと写ります.

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