No.543. トンボ観察はじめ-タベサナエの羽化 2017.4.16.

今年は春先に冷え込んだために,まだ桜が散り始めというような状態.こんなときにサナエトンボと出会えないかと思い,出かけてみました.

0416-000▲まだ桜はこんな状態.今年の桜は遅くて,咲く期間も長く続いている.

まだ春のトンボには少し早いのですが,オグマサナエなどの気の早いサナエトンボがいるかもしれません.オグマサナエはまだでしたが,タベサナエが羽化をしていました.羽化途中が1個体,羽化殻が2個体分見つかりました.

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▲タベサナエの羽化.上2枚:羽化途中のオス,中:羽化殻,下:処女飛行後の静止.

別の池ではホソミイトトンボがぺアリングをしていました.しばらく待ちましたが,産卵は始めませんでした.

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▲ホソミイトトンボのペア.このほかにオスは数頭飛んでいた.

フタスジサナエ,オグマサナエなど,春のコサナエ属はもうあと1週間以内という感じです.

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No.542. 続 オオキトンボの観察.2016.10.15.

今日は,特にオオキトンボが目当てというわけでもなかったのですが,結局オオキトンボしか面白みのあるトンボがいないということで,足が向いてしまいました.本当はミルンヤンマを見ようというのが狙いでしたが,ミルンヤンマは姿かたち全くなし! でした.

1015-008▲池のほとりに止まっているオオキトンボのオス.

よく晴れていて結構気温が高く,アカトンボ類の観察には条件は最高です.現地には10時過ぎに入りました.池にはタイリクアカネ,オオキトンボの数が多く,ほかにはナニワトンボ,リスアカネ,ナツアカネが少数見られました.

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1015-101▲リスアカネのオス(上)とメス(下).

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1015-103▲ナニワトンボのオス(上)とメス(下).ナニワトンボのメスはあまり顔を見せない.

1015-104▲タイリクアカネのオス.今日のタイリクアカネは近づきがたかった.

1015-105▲ナツアカネのメス.

オオキトンボは,10時半ごろから産卵に入ってきました.タイリクアカネも産卵していました.一昨年だったかの観察でも,かなり内陸部の方で,オオキトンボとタイリクアカネが同じ池で産卵していました.この2種,環境の好みが近いのでしょうか.

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1015-004▲産卵するオオキトンボ.どちらかといえば連結打水産卵.

産卵を終えたメスは,オスと離れて,一気に上空へ舞い上がります.オスたちがそれを追いかけて上空へ上がっていくこともたびたびです.メスはオスから逃れると,樹木の陰に止まって産卵の疲れを癒すようです.

1015-005▲産卵を終えて上空へと舞い上がっていくメス.

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▲上空へ逃げるメスを追いかけるオスたち.
1015-007▲オスを振り切ったメスは樹木の陰に止まり休息.

簡単な観察でしたが,やはり,オオキトンボの数が他のアカトンボを圧倒しているという兵庫県南部の平地の池の違和感が残りました.

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No.541. マダラナニワトンボは生き残っているか? 2016.10.10.

この三連休,最終日の今日は朝から晴天.やっと秋らしい晴れの日がやってきました.この最高条件の日に,兵庫県から消え去ろうとしているマダラナニワトンボの生き残りの確認に出かけることにしました.昨年の調査では,単独産卵のメス1頭と,草地で休むメス1頭を確認しただけで,池は本当に静かでした.

1010-992▲2015年に観察したメス.これを含めて2頭だけを観察した.

2012年に観察に行ったときには,次から次へと産卵にやってくるマダラナニワトンボを見ました.コバネアオイトトンボもたくさんいて,まだこんなところが兵庫県にも残っているんだと喜んだものでした.

1010-991▲2012年の観察.たくさんのペアが産卵にやってきていた.

そして3年ぶりに昨年行ったときにはほぼわずか2頭.その前の年,2014年にはまだたくさんいたという情報を得ていますので,激減したのは,2015年のようです.ことしは,これが一時的減少かなにかであることを祈りつつ,最高条件の日を選んで,観察に出かけました.

池に着いたのは10:00ころ.空は晴れて太陽の日差しは暑いほどです.でも池にはトンボは何も飛んでいません.アオイトトンボが1頭だけ横切っただけです.先日のオオキトンボの観察でも感じたことですが,このトンボの減少というか,何もいない田園地帯というのをどう解釈したらよいのでしょう.「もうトンボ観察もやめたくなるなぁ」などと独り言を言っていると,ネキトンボが池を飛び始めました.10時半くらいです.

1010-006▲池の上をホバリングするネキトンボのメス.

ネキトンボは次第に数を増やし,産卵ペアも何組か入りました.やっと池がにぎやかになった感じです.遠くにキトンボらしいのが飛んでいましたが,逆光で遠すぎてよく分かりません.12:00まで待つつもりでいました.2012年の時にも,最初マダラナニワトンボは全然姿を現さず,12時前頃に一気に産卵にやってきたからです.しかし,今日はオスすら全く姿を見せません.11時59分,もうあきらめて帰ろうかと思ったとき,1頭のオスが目の前を飛びました.なんと,帰る決心をする1分前のことです.時計をみていましたから時間は正確.こうなると帰るわけにはいきません.もうしばらく待つことにしました.

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1010-003▲マダラナニワトンボのオス.左後翅がうまく前に倒れないようだ.

さっきのオスはまたすぐに戻ってきて,あちこち止まったりホバリングしたりし始めました.ひょっとしたら産卵にも来るかも…,などと考えながら,このオスのパフォーマンスを撮影していました.

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1010-005▲あちこち移動してパフォーマンスするオス.

しかしながら,12時半になっても,ほかの個体は現れません.2012年の時にも12時45分にはすべての個体が産卵を終えていました.やはり,数は少ないようですね.まあ,今日は,まだ消えていないということだけが確認できたということで良しとすることにしました.また,来年,見に来ることにしましょう.兵庫県下での絶滅がないように祈るばかりです.多分,この場所が最後の生息地だと思います.

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No.540. オオキトンボの観察.2016.10.2., 6.

10月2日,6日と,オオキトンボの観察に出かけました.オオキトンボは結構早くから池に出てきています.早い時期のオオキトンボはまだ黄色みが薄く,どちらかといえば黄緑がかっています.遅い時期のオオキトンボが赤茶色になるのとは対照的です.まず2日,池をのぞいてみますと,もうオオキトンボがやってきていました.

1002-001▲コンクリート護岸の池に止まるオオキトンボのオス.

ここはヒシがびっしりと生えたコンクリート護岸の池なのですが,その護岸壁の水際に産卵をしていました.オオキトンボといえば,水落をした池の水際に産卵するというのが典型的なのですが,こんな産卵をやられると,この絶滅危惧種何を考えているのだろうと思ってしまいます.

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1002-003▲コンクリート護岸の水際に「打泥?or打石?」産卵するペア.

しばらくすると,交尾態になったペアが,池の護岸堤の上に飛び上がってきました.産卵に来たメスを捕まえたのでしょうね.写真を撮ってみると,まだ胸側部や腹部に白っぽい色が残る,やっと成熟したばかりのようなメスでした.まだオオキトンボとしては時期が少し早いのでしょうね.

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1002-005▲交尾.メスの胸側部がまだ白っぽく,成熟したばかりのような個体である.

場所を変えて,いつも観察している池に行きました.こちらは,最近の雨のせいか満水状態.曇っても来ましたので条件が悪く,簡単でしたが引き上げることにしました.

続いて,6日.昨日通り過ぎた台風一過でしょうか,よく晴れていました.この日は遠方から来客があって,オオキトンボについてお話をしながら観察に出かけました.先日の池に行きましたところ,やはり池にはオオキトンボが出ていて,オスだけで10頭ほどがいたように思えます.

1006-003▲2日と同じように池に出ているオス.

この日もやはり,コンクリート護岸壁に産卵をしていました.今回は単独産卵をオスが警護するという形でした.

1006-004▲コンクリート護岸の水際で打水産卵する単独メス.

オオキトンボは絶滅危惧種ですから,それなりに環境選択がシビアなのかと考えがちですが,実際は,この池のように,水の濁った,ヒシがいっぱい生えた,コンクリート護岸の池にやってきて毎年のように産卵しているのですから,何がこのトンボを減らしているのか,本当にわかりません.今日もこの池では,絶滅危惧種,それもランクの最も高いⅠ類のトンボ「だけ」が飛んでいたのです.本当に不思議なくらいほかのアカトンボ,ナツアカネ,アキアカネ,マユタテアカネ,コノシメトンボなどはまったく姿がありません.これをどう解釈すればよいのでしょうか.いや,「だけ」はウソで,キトンボがいましたね.こちらは産卵もやっていました.

1006-013▲オオキトンボ以外の唯一のアカネ類,キトンボの交尾.

さて,今日は先日満水だった池にも出かけてみました.ここにもオオキトンボがいました.オスがホバリングしており,交尾態が飛びあがっても来ました.そしてそのあと産卵です.最初は連結産卵.

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1006-009▲満水なので,植物が生えている水際での打水産卵.

個体数が少ないせいでしょうか,この連結産卵のペアは,やがて離れ離れになって,オスが飛びながら警護する単独産卵に変わりました.

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1006-012▲珍しく警護飛翔をともなう単独産卵.

来客はナニワトンボも見たいとおっしゃるので案内すると,そこにもオオキトンボがいました.まだ若くて,黄緑色の感じが残る個体です.この色彩のオオキトンボが私は好きです.老熟した赤茶色も渋いんですけどね.

1006-002▲黄緑味が残るオオキトンボの若いオス.

6日は,一日中池を回って,オオキトンボを17頭ほど見ましたが,それ以外のアカトンボは,ナニワトンボ2頭,リスアカネとマユタテアカネ数頭,キトンボ3頭だけでした.本当にアカトンボはどこへ消えたのでしょう.晴れた秋の日,田園地帯を回ってもたったこれだけの成果です.オオキトンボだけが目立つ世界!!??

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No.539. マイコアカネの観察.2016.9.24.

マイコアカネを見るのが最近は難しくなってきたような気がします.No.523の記事で紹介したように,友人からの情報でマイコアカネがまだ生息しているところを教えてもらいました.前回は幼虫での確認でしたが,ついに時期がやってきましたので,成虫の確認に行ってきました.

0924-001▲マイコアカネのオス.こんな感じで結構な数は見られた.

0924-002▲朝着いた時には上の写真のように晴れていたのに,ご覧のようにすぐに曇り.

現地に着くと,オスが盛んに縄張り活動をしていました.活発に追いかけ合いをしたり,ホバリングを交えてパトロールしたりしていました.今日は出かけるときは晴れだったのに,現地に着くと雲が出てきて太陽を遮るようになりました.その直前に3頭ほどが産卵にやってきました.マイコアカネの打水のストロークは,マユタテアカネと似ていて,非常に大きく,30cmくらいの高さから一気に打水に降りてまたそれくらいの高さに戻ります.ですから,どこに打水するか見当をつけるのが難しいのです.

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0924-006▲少しの晴れ間をついて産卵にやってきたカップルたち..

そんな間に交尾態になったペアもいました.これはいけると,今日は粘ろうと思いましたが,残念なことに天気は悪くなる一方.産卵にも全くやって来なくなりました.それでも,曇り空の中,2,3ペアは産卵に入りました.

0924-003▲交尾.交尾のカップルもいくつか見られたが敏感だった.

交尾になりながら,オスが一生懸命打水の動きをしようとするのですが,メスが逆らっているのか,水面をたたくことができず,かなり高いところで打空のような動きを続けるカップルもいました.これはきっと,メスが産卵が終わった後か,産卵意欲がないかのどちらかで,産卵拒否の行動だと思います.

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0924-008▲曇っていても産卵に入ってきたカップルたち.悪条件でも産卵に来るのは,数が多い証拠.

まあ,まだシーズンは続きますので,よく晴れた日にもう一度攻めることにしました.続マイコアカネの観察までひとまず今日はこの辺で.

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No.538. 真夏のトンボたち 最終回 その他のトンボ.2016.9.11.

今日は9月の11日.もはや「真夏のトンボたち」というのは,合わない季節になってしまいました.今日は,真夏のトンボたちの観察の合間に見た,その他のトンボたちをまとめて記録しておくことにします.まずはタイワンウチワヤンマ.1990年代の初めころから兵庫県で観察されるようになり,25年ほどたった今,完全に兵庫県のファウナの一員になってしまいました.最近は特にタイワンウチワヤンマを観察しようということがほとんどなく,いつもついでに見ているだけです.産卵もあまり見かけません.これも私にとって残された普通種の一つです.実はこの写真を撮った場所が産卵観察に適していたので,本気で観察に行こうと後日出かけていきましたら,水位が下がって,この場所は陸地状態になっていました.

0911-013▲タイワンウチワヤンマのオス.木漏れ日の射す日陰で縄張り活動をしている.

次はコシアキトンボ.コシアキトンボも,真夏のトンボですね.こちらは日陰をパトロールすることが多いので,過去にも結構観察しています.今年はコシアキトンボを観察しに出かける暇がありませんでした.タイワンウチワヤンマの隣で活動していました.

0911-014▲コシアキトンボオスどうしの闘争行動.

次はシオカラトンボ.シオカラトンボの繁殖活動が一番多くみられるのは秋口の今です.でも,タイワンウチワヤンマ同様,暑い日なたで活動する普通のトンボ,なかなか観察するには気合がいります.で,ついでの観察になってしまいます.コンクリート護岸でも産卵をしています.

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0911-012▲シオカラトンボの単独産卵.

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0911-016▲シオカラトンボの警護産卵.真ん中は警護するオス.

オオイトトンボのメスは,産卵時以外は周辺の樹林や草地に隠れています.ヤブヤンマを観察したとき,木漏れ日の日かげに止まっていました.

0911-003▲林の中の木漏れ日に止まるオオイトトンボのメス.

ホームページの改訂にあたって,セスジイトトンボのまともな写真がないことに気づき,どこにでもいるだろうという感じで探しに行きましたが,真夏には意外と見つかりません.やはりこれも夏の終わりころに再び数が増える感じがします.ムスジイトトンボも同じような感じです.

0911-002▲真夏の昼間,流れの中央でなわばりを形成するオス.

そして,いよいよオオルリボシヤンマの季節.先日のタカネトンボの観察の9月4日です.久しぶりに神戸市内の観察地を訪れ,観察しました.11時ころから観察を始めましたが,着いたときにメスが1頭,そして15時を過ぎてからもう1頭入ってきただけでした.この日は良く晴れていて,陽が射している間はオスのオオルリボシヤンマが飛ばないのですが,曇ってくると突然数頭のオスが出てきて縄張り活動を始めるといった具合に,どうも陽が射さない方が好きみたいです.小さな池ですので,縄張りは,オス1頭で満員.闘争行動のあと順位が決まると,負けた方のオスは少し高い木々の梢付近を周回飛翔しています.時々下がってきてなわばりオスと闘争行動が引き起こされますが,順位はそう簡単には覆らないようです.この日は3頭目のオスもいて,さらに高いところで周回飛翔していました.以前にやったことがあるのですが,一番池に近いところを飛んでいる順位1位のオスを取り除くと,すぐ上のオスが池に入ってくるのです.またこのあたりを記録に撮りたいものです.

0911-008▲弱弱しい飛び方をするオスが杭に止まった.

ちょっと弱っているのか,ふらふら飛ぶオスが,池の横の木の杭に止まりました(上の写真).さらに今日のオスは,いろいろと変わった行動を見せてくれました.それは時々止まるという行動です.オオルリボシヤンマのオスは飛び続けるのが普通ですが,今日は時々止まっていました.少し高くて池が見下ろせる位置に止まります.

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0911-006▲縄張り途中に静止するオス.毎回ほとんど同じ位置に止まる.

極めつけは,オオルリボシヤンマオスの自然死です.トンボの自然死はめったにお目にかかれません.落下するところは見逃してしまいましたが,さっきまで何もいなかったところに,遺体が転がっていました.目が青く,死んだ直後です.この個体,多分,先ほどふらふら飛んで杭に止まった個体だろうと思います.

0911-009▲珍しいオオルリボシヤンマの自然死個体.

そして次はオニヤンマ.オオルリボシヤンマの観察地は池ですので,これは単なる通過個体.杭の日陰部分に止まって一休みといったところでしょうか.すぐに飛んで行ってしまいました.

0911-005▲一休みするオニヤンマのオス.

いよいよ秋の到来を感じさせたのは,昨日9月10日,もう一度オオルリボシヤンマを観察に行ったときです.オオルリボシヤンマはだめでしたけれど,久しぶり,10年以上ぶりだと思います.神戸市内でルリボシヤンマを見ました.まだ生き残っているんですね.細々と世代をつないでいるのでしょう.これはちょっとしたニュースです.

0911-010▲久々の神戸市内での目撃,ルリボシヤンマのオス.

ということで,ルリボシヤンマが飛ぶようでは,夏のトンボも終わり.真夏のトンボシリーズはここまでです.最後に秋の終わりの方に見られるオオアオイトトンボの活動開始を告げる写真-移精行動-を紹介して,次回からは本格的に秋のトンボたちを紹介していきます.

0911-004▲ヒメコウホネの陰で移精行動を行うオオアオイトトンボ.

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No.537. 真夏のトンボたち その十 タカネトンボの観察.2016.9.4.

台風の接近で雨の予報,それが曇りに変わり,結局はほとんど快晴状態.ということで今日はヤンマ観察の続きで,市内のオオルリボシヤンマを見に出かけました.しかし,オオルリボシヤンマはほとんどやってきませんでした.代わりにタカネトンボのオスが飛んだり,メスが産卵に来たりと,こちらの方で十分楽しめました.臨機応変にその日一番のトンボを観察するという鉄則で,タカネトンボの観察に切り替えました.

0904-000▲今日の観察地.ヒメコウホネの植生があって,樹林に囲まれている.

現地に入ったのは11時ころでした.空は青空.でもこういうときってタカネトンボは意外とやってこないのです.1時間ほどしたとき,オスが池の周りを飛び始めました.また,樹木で陰になっているところでは,ゆっくりと飛びます.

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0904-002▲薄暗いところでホバリングしながらパトロールするオス.

暗いところだけでなく,開けたところでも,摂食を兼ねているのでしょうか,ときどき子虫を追いかけたりしながら旋回しています.背景が暗い樹林なので夜の写真みたいになってしまいました.珍しく,時々木の枝に止まるのも観察しました.

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0904-004▲日向で摂食しながらのパトロール.樹林が背景で夜のようになった.

0904-005▲稀に静止する.このシーン,生まれて初めてタカネトンボを採集した時を思い出した.

ハイカーが私の隣でお弁当を食べ始めました.その方が,真っ黒のトンボがいる,と言ったので目を向けると,タカネトンボのメスの産卵でした.ハイカーに見られていたので緊張し,全ピンボケでした.でも,産卵に来ることが分かったので,こちらに集中しました.待つこと2時間以上,結局15時過ぎまで産卵には来ませんでした.でも,この産卵個体は結構長い間産卵を続け,近づいても逃げない個体でした.

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0904-009▲2頭目の産卵メス.長い間産卵してくれた.

その後,16時前に,またメスが目の前で産卵を始めました.やたら身体が赤く感じられる個体で,複眼も赤い感じに写っていました.

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0904-011▲5頭目の産卵メス.あちこち移動しながらヒメコウホネの間で産卵した.これも結構長い間産卵した.

この間にも,2個体ほど産卵に入ったのですが,ヒメコウホネの間に潜り込んでの産卵で,典型的な「岸辺」に水を飛ばす産卵ではありませんでした.ヒメコウホネの茎に水を飛ばしていたようです.

神戸市内でタカネトンボの姿が見られなくなってきたと感じていましたが,今日の観察で少しは安心しました.また,タカネトンボは産卵のストロークが大きく,写真に撮るのが難しいと感じていましたが,今日はやっと産卵メスにピントがあった写真が撮れほっとしました.

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No.536. 真夏のトンボたち その九 ハネビロエゾトンボ.-  2016.8.6, 9; 9.3

夏のトンボといえば,毎年観察に出かけているハネビロエゾトンボを忘れるわけにはいきません.今年も観察に出かけました.トンボの数はそれなりにいたのですが,産卵に入ってくるメスに出会ったのはたったの3回でした.そのうち1回はビデオカメラで記録しまし,もう1回はオスにつかまって交尾態となりました.

0809-201▲木の枝でなく岩に静止するオス.8月9日.

繰り返し出かけて,合計3回の観察になりました.観察の中心は9月3日,産卵の記録は8月6日になっています.そう,このトンボ,1カ月以上も繁殖活動をしているのですね.あまり今まで気にしたことはありませんでしたが,夏のトンボとしては,ヤンマの仲間に比べて繁殖活動をやっている期間が遅くまで続いているようです.ヤンマはだいたい8月中には繁殖活動を終えているようですが,ハネビロエゾトンボ,タカネトンボ,エゾトンボなどは,8月から9月にかけて繁殖活動が続いています.ヤブヤンマやネアカヨシヤンマは,7月から繁殖活動が始まっているので,継続期間としては同じくらいになりますか…

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0903-203▲水溜りが小さく,ほとんど移動しないで停止飛翔するオス.

オスたちは,毎回の観察で出会うことができました.オスの数は今年はやや多い感じで,しょっちゅう出会っては,追いかけ合いをやっていました.水が豊富で小川全体を流れているときは,オスはあちこちに分散して飛んでいます.しかし,水が減って,あちこちで伏流するようになると,水が表面に出ている場所だけにオスが集まるので,どうしてもぶつかり合いが多くなります.でも,こういうときが写真を撮るチャンスです.オスは狭い範囲でかなり長時間停止飛翔を続け,停止飛翔間の移動もわずかです.

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0903-202▲ときどき静止しながら,長時間停止飛翔を続ける.

そんなとき,メスが入ってきました.と思ったらすぐにオスにつかまり交尾態に,そしてそれにさらにオスがつかみかかり,一時的に三連結状態となって飛び回っていました.最終的に,多分後からつかみかかった方のオスだと思いますが,あきらめてメスを放し,残ったペアは近くに木の枝に止まって,交尾を始めました.

0903-206▲交尾.途中で驚かせてしまい,飛び去ったので,最後まで観察はできなかった.

この日,9月3日は,産卵を1回観察しました.下の記録は8月6日のものです.メスの警戒心が強く近寄ることができませんでした.

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0806-201▲産卵にやってきたメス.短時間で飛び去ってしまった.

ということで,今年もハネビロエゾトンボは健在です.幼虫は水が枯れても,石の下で生き延びていると聞きます.なかなか強いトンボですね.

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No.535. 真夏のトンボたち その八 コオニヤンマの観察.2016.8.9.

公開が後先になってしまいました.真夏のトンボたちその八です.コオニヤンマの産卵を観察しました.コオニヤンマは夏の川の代表選手で,大きくよく目立ち,また上流から下流までどこにでもいるトンボです.でも,体の大きさに比べて頭が小さく,また獰猛で,他の小さく可憐なトンボたちを容赦なくとらえて食べてしまうので,好感を持つにはちょっと抵抗感があるトンボでもあります.オナガサナエの観察に合わせて,観察しました.

0809-101▲朝早くより「出勤している」コオニヤンマのオス.

コオニヤンマも,オナガサナエに負けず朝早くから出勤しています.オスはサーッと川に入ってきて,適当な位置に止まり,なわばりを形成します.他のオスが入ってくると激しく追尾して追い払います.またちょっと驚かせると,さっと飛び立ち,ホバリング飛翔して様子を見ます.ヤマサナエなんかもこういう行動はよく見られます.

0809-102▲驚かせると,ぱっと飛び立ち,しばらく停止飛翔して様子をうかがう.

でも,今日は珍しく,2頭のオスのコオニヤンマが,仲良く? 隣り合わせで止まりました.あとから来た方が先住者に気が付かなかったのだろうと思いますが,先住者の方も止まるのは見えたはずですのに,追い払おうとしませんでした.とても珍しい縄張りオス同士のツーショットです.

0809-103▲珍しい,なわばりオスのツーショット.ある意味どちらも食われる危険が!.

さて,時刻は9時過ぎ.川岸に座ってトンボたちを待っていると,目の前に,本当に目の前にメスが産卵に入ってきました.

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0809-105▲目の前に産卵に入ってきたメス.腰かけたまま楽々の撮影.

産卵しているメスは結構警戒心が強くて,遠くで産卵しているときに近づこうとすると,ちょっと産卵を中止して様子を見ることがあったりします.でも,これは向こうから入ってきたメスです.メスは草陰などに隠れて産卵するのをよく見かけます.きっと,私を岩かなにかと勘違いして,私の陰に入って産卵しようとたくらんだに違いありません.

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0809-112▲細かく移動しては打水場所を探す産卵メス.腹部は胸部と同じくらい太く感じられる.

コオニヤンマの産卵は,しばらくの停止飛翔のあと,1回打水して放卵します.停止飛翔中に卵塊をつくっているようです.打水とはいうものの,コカナダモの密生しているところをねらって腹端を打ちつけています.

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0809-106▲打水の瞬間.チョンと腹端を当てるような感じで,ある種のトンボ科のように水をかくような動作ではない.

産卵は約2分間続き,飛び去って行きました.成熟メスの腹部は本当に太く,その産卵を目の前で見ていると迫力があります.本当に獰猛でなければ,好きになれるんですけど,….羽化して飛び立ったばかりの小さなオジロサナエやオナガサナエ,美しい翅をもつアオハダトンボ,そして同種のコオニヤンマにさえにぱくりと噛みつきムシャムシャやる姿は,いやはや,これが肉食者だというべきすごい捕食者というよりほかはありません.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ観察記 | No.535. 真夏のトンボたち その八 コオニヤンマの観察.2016.8.9. はコメントを受け付けていません。

No.534. 真夏のトンボたち その七.コシボソヤンマ.2016.8.14.

シリーズ「観察 真夏のトンボたち」もいよいよ終わりに近づきました.お盆が過ぎるともう夏も終わりに近づきます.これからは夏のトンボも衰退の時期を迎えます.本当に夏は短いです.今日は,真夏のトンボたちの最終回を飾るべく,コシボソヤンマの観察に行ってきました.最近はコシボソヤンマも,数が減ったのか,見づらくなってきました.今回の観察はついていて,うまくコシボソヤンマが集まっているところに遭遇することができました.

0814-013▲産卵するコシボソヤンマ.背後の光は流れる水にストロボが反射したもの.

コシボソヤンマは朽木に産卵をします.朽木といっても,何でもよいのではなく,結構選んでいるように思えます.好きな状態は,水にぬれていて,適当に朽ちていて,組織が柔らかくなっていることです.そして水が必要なようです.一般的には,朽木が半分水に浸かっているようなところに止まって,腹部だけを水中に沈めて水面下に産卵していることが多いです.水面上に産卵する場合は,十分木が水を含んでいることが大切なようです.今回は後者の状態の場所でした.

0814-007▲朽ちた木に産卵管を突き立てようとするメス.

コシボソヤンマは夏の午後に産卵をします,今日は,午後1時くらいに観察を始めました.着いた時にはコシボソヤンマはいませんでした.折り畳みの小さな椅子を持って行ったので,それに座って,ビデオとカメラを準備して待ちました.ビデオに録りやすいように,朽木をカメラのすぐ前に並べて,撮影トラップも用意しました.あとでよく分かったのですが,この朽木トラップは,いろいろな意味で,失敗でした.

0814-008▲朽木のすき間に腹部を差し入れて奥の方に産卵する.

現地に着いて10分もたたないうちに,メスが入ってきました.明らかに産卵に来たようですが,やや上空を旋回して飛んで,私の存在を気にしているようでした.まずは,少し高いところに止まって産卵管を突き立てました.

0814-002▲様子見に,高いところに止まっての産卵ポーズ?.

ストロボを炊くと,気に入らなかったのか,すぐに上空に飛んで,木の枝に止まりました.これはよくある行動で,待てば必ず産卵に降りてきます.仕方なく,根比べとなりました.だいたい木に止まって様子を見るのは20分と相場が決まっています.

0814-014▲最初のストロボで驚いたのか,とりあえず木の枝に止まって様子見.

本当に計ったように,20分後に舞い降りてきて,水にぬれた木材に止まり,産卵を始めました.この木材は常に水がかかっていて,水がその表面を流れています.朽ちた状態も適切.メスは産卵を始めました.しばらくは驚かさないように慎重に写真を撮りました.ストロボを炊いても逃げようともしません.もうここで産卵すると決心したのでしょうね.

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0814-012▲降りてきて産卵を始めた.迷うことなく産卵に精を出している.

こうなってくると,こっちのものです.急激な動きにだけは注意を払って,どんどんシャッターを切っていきました.このメスは,この木材の裏側(下面)に入るのが好きなようで,側面から下に潜り込んで水浸しになりながら産卵をします.さすがにこれは撮影しにくく,カメラを天地逆さまにして,下からねらいました.カメラを新しくしたので,ライブビューができ,アクロバティックな撮影も可能になりました.下の写真は,撮影後,180度回転させています.

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0814-011▲木材の裏側で産卵するメス.大きな水滴が翅の横を1つ落ちているのが写っている(上).

撮影を十分に済ませると,次はビデオカメラの出番です.とにかく産卵を始めると,2時間近くは産卵を続けるトンボなので,時間はたっぷりとあります.ただ,材木の木目の方向と材木の位置が悪く,真横から撮れる位置にトンボがほとんど止まりません.産卵管を突き立てるときに,木目の方向に沿っての方がよいのでしょう.木材の側面に木目に平行に止まることが多く,真横から撮ろうとすると,上からか下らしかねらえないのです.

0814-004▲材木の側面で木目にそって止まる.これはま上から撮影した状態.

上面に止まってくれればいいのですが,これは不思議と全くありません.逆に下面に潜り込んで産卵することは,先に述べたように,非常に多く,写真ならカメラを天地逆さまという手がありますが,ビデオは無理な相談です.思いきりローアングルからカメラを上に向け,ライトを手にもって下から照らして,何とか撮影しました.記録を撮るのも大変でしたが,こんな日のために用意した超小型三脚が活躍してくれました.

そんなこんなで,時間がどんどん過ぎていきます.時々飛び立って,周辺を飛んで次の産卵場所を探す行動を見せます.コンクリートの壁にさえ止まって,一応産卵管を突き立てたりするのに,私の仕掛けた産卵トラップには見向きもしません.高いところが好きなんでしょうかね? これは完全に失敗でした.

0814-009▲コンクリートの壁に産卵管を突き立てる動作をするメス.

0814-003▲上の方にある枯れ木に産卵ポーズ?.

そこで,十分記録が取れた時に,このメスが大好きな木材をおおうように立ちはだかり,トンボが止まれないように邪魔してみました.そうして何とか撮影トラップに誘導しようとしてみたのですが,なんと,彼女,私のおでこに止まって,目に!,目にですよ! 産卵管を突き立てようとしたのです.昨日,ロケハンにここを訪れたときには,腕に止まって産卵管を突き立てられましたが,今日は目! さすがにこれは危険なので手で追い払うと,びっくりしたのか,産卵を止めて飛び去りました.そして今日の観察はお開きです.時刻は15時少し前.産卵観察は1時間30分以上に及んでいました.驚かさなければまだまだ産卵していたでしょうね.

では最後に,木材の裏側で産卵をするコシボソヤンマのビデオを紹介しておきます.YouTubeからの配信です.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ観察記 | No.534. 真夏のトンボたち その七.コシボソヤンマ.2016.8.14. はコメントを受け付けていません。