No.604. トンボは端境期….2018.6.22.

今日は,6月に是非確認しておきたい,キイロヤマトンボを見に行きました.実をいうと,昨日も兵庫北部のキイロヤマトンボの産する川へ確認に行ったのですが,まったく何も飛ばず状態でした.今日は,もう少し確実なところへ行きました.着いてすぐ,オスが1頭水面を行き来して飛ぶのを見ました.あと1時間以上じっと待ちましたが,全くの鳴かず飛ばずでした(トンボは鳴きませんけど).キイロヤマトンボは数が減っているのでしょうか.兵庫県では見るのが難しいトンボになってきつつあるような気がします.

ということで次はいまだに諦めていないヤマサナエの産卵観察へ.観察場所にはまだオスが頑張っていました.仲良く並んでメスを待っていました.

▲道の上に止まっているヤマサナエのオスたち.

メスの方も1頭樹上から降りてきて地面に止まりました.以前はこの形から産卵に突入したので,しばらくじっと待ったのですが,樹林の中へ戻って行ってしまいました.

▲上から少し離れたところにメスが樹上から降りてきた.

▲結局メスは樹林の中へ帰って行った.

最後に,コフキトンボの状況を見に行きました.以前より数が増えている感じがしました.コフキトンボは6月のトンボのように感じていましたが,7月のトンボと言った方がよいかもしれませんね.若い個体が混じっていて,これからまだ数が増えるような気がします.大好きなコフキトンボは,満を持して観察を決行する予定です.

▲午後1:00の強い日差しを受けて,腹部を下げて暑さに対処しているコフキトンボのメス.

▲以前は2頭しか見なかった池だが今日は10頭以上が池に出ていた.若い個体もいてまだ羽化が続いている.

3カ所を回りましたが,目につくトンボはシオカラトンボ,オオシオカラトンボ,チョウトンボ,コシアキトンボなど,夏のトンボ科のトンボたちで,それ以外は,キイトトンボやモノサシトンボなどが飛んでいましたが,まだ数が少なく感じます.アカネ属の未熟なトンボもまだほとんど目立ちません.季節は夏に確実に移りつつはありますが,あの夏独特の賑やかさはもう少し先になりそうです.

▲モノサシトンボのオス.数がまだ少なく,2頭いただけであった..

▲モノサシトンボのオスが飛び立った瞬間.

今日は特に大きな成果なしの一日でした.でも,キイロヤマトンボを見るのが難しくなったことは確認できたようです.

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No.603. キイロサナエの産卵観察.2018.6.21. Part-2.

今日のもう一つのメインの観察対象は,キイロサナエの産卵です.キイロサナエの産卵については,ヤマサナエの産卵を観察に行った6月7日にすでに見ています.ただこれは偶然ともいえるものですし,産卵方法が静止して卵塊をつくってから打水するというものでした.今日は,連続打水または連続打泥産卵を観察しようと,ねらいを設定しました.

▲最初に迎えてくれたのはヤマサナエのオスであった.

現地に着いて,まず出迎えてくれたのは,なんと上の写真のヤマサナエのオスでした.まだ頑張っているんですね.さて,キイロサナエの方は,まだ朝が早くて空も雲がおおっているせいか,オスは1,2頭が止まっているだけでした.

▲キイロサナエのオスは,このように下を向いて止まることが多い.

メスはあまり早い時間には来ないだろうと思いながら,流れに沿って歩いて行きました.オスは,少しずつ数が増えていきました.観察範囲を2往復くらいしたときでした.メスが産卵に入ってきました.9:18でした.オスに見つかりにくい,草におおわれ,コンクリートの壁のあるコーナーでした.流れを上からのぞき込んでいるような位置でしたので,はじめは上からのショットです.

▲上から見下ろしながら産卵を観察.

▲上から見ていると打水の瞬間はこんなふうになってしまう.

1分ほど産卵を行ったあと,このメスは姿を消しました.簡単に終わったと思いながらも,早速産卵を観察できたことに喜びを感じながら,撮影画像を点検していました.すると,9:21,またメスが入ってきました.まったく同じところで産卵を始めています.これは先の個体と同じかもしれませんが,また後日検討することにします.

▲先の個体が去ったあと,すぐに次の個体が入ってきた.

今度は草の中にもぐり込むようにして産卵する場面が多くなりました.上からでは陰にもなるし,同じような写真ばかりになってしまうので,流れに降りることにしました.驚かせると逃げてしまうので,慎重に水に入りました.この個体ヒトをあまり恐れないようです.全然動じることなく産卵を続けています.産卵場所が狭いので大きな移動もなく,狭い範囲を,往ったり来たりというよりは向きを変えながら,連続打水産卵しています.

▲草の茎などに腹端を打ちつけて産卵をするメス.

草の茎や葉に腹端を打ちつけるようにして何度も打水しています.キイロサナエには下向きに突き出した産卵弁があります.前回観察した静止して卵塊をつくって打水する方式では,静止中につくった大きな卵塊を,産卵弁で挟むようにして保持していました.このような連続打水の場合は,ゆっくりと卵塊をつくる暇はないはずです.そこで,腹端が明瞭に写っているコマを探してみました.

▲連続打水産卵中のメスの腹部先端部.水滴のようなものがついていて,中に何かがあるように見える.

卵塊とまではいきませんが,水滴の中に卵があるように見えます.あくまで「あるように」ですけど.

産卵は植物の中だけでなく,泥の岸辺近くでも行われました.チョンチョンと打水しながら泥のそばへ寄っていきます.数回ですが泥を打ったようなときもありました.

▲泥の水際で連続打水産卵するメス.

キイロサナエは,その水辺の環境に応じて,いろいろな産卵方式を採用することができるトンボに見えます.あと,記録できていないのは,広い範囲を速い飛翔で往復して連続打水する方式と,泥面を専門に打って産卵する,連続打泥産卵です.そうそう,顔シリーズを忘れていました.今回はレンズの至近距離近くで,オートフォーカスで撮影ができましたので,ピントが来た写真を山のように量産することができました.その中から顔にピントが来た一枚を!

▲キイロサナエメスの顔.

産卵が終わると,メスは私の股をくぐって,岸辺の草に止まりました.そしてしばらくして飛び去りました.

▲産卵が終わってしばらく止まっていたメス.

今日はこれ以外にももう1頭産卵を見ました.こちらはホバリングして卵塊をつくり打水するという,ヤマサナエ流の産卵方式でした.ただこの個体はヒトが嫌いみたいで,私のストロボを嫌がったのか,すぐに飛び去ってしまいました.

▲腹部先端に卵塊がわずかに見える.

▲長い時間このようにホバリングしていた.卵塊をつくっているのだと思われる.

▲下に突き出た産卵弁(白矢印)で挟むように卵塊(水色矢印)を保持しているのが見える.

さて,流れの方は賑やかになってきました.空からは薄日が差し,気温もおそらく25℃を超えていると思います.オスが水面を往ったり来たりしています.止まっているオスの前を飛ぶと,そのオスがスクランブルをかけます.流れはオスの世界になりました.こうなるとたいていメスは来ないんですね.オスってむなしいなぁ.

▲流れに止まっているオスたち.今日は個体数が多かったので,それに比例して写真も多い!?.

今までキイロサナエの産卵をなかなか見ることができなかったのですが,今年,前回も含め,やっとゆっくりと観察できました.あちこちにいて個体数も多いヤマサナエの産卵が見られないのが不思議です.まだヤマサナエのことがよく分かっていないのでしょうね.さて,明日も晴天,どうしましょうか...

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No.602. ハラビロトンボの観察.2018.6.21. Part-1.

観察に少し間が空きました.所用と好天の日がうまくマッチせず,先週末の快晴の日には,ひたすらお仕事をしていました.やや欲求不満気味の状態でしたが,今日は予報では晴れるとのこと.梅雨前線から遠い北の方がいいだろうということで,兵庫北部へ出かけてきました.ねらいはたくさんあって,モートンイトトンボの交尾観察,キイロサナエの産卵観察,ハラビロトンボの繁殖活動観察,ヒヌマイトトンボの状況調査,アカネ属の状況調査などです.このうち,キイロサナエについては Part-2.で紹介します.

まずはハラビロトンボから.ハラビロトンボは春早い時期から出現しています.いつ生息地を訪れてもたくさんいるので,かえっていつでもよいなどと考え後回しになってしまいます.今日は繁殖活動を記録することを第一のテーマにしました.ハラビロトンボは今日もたくさん羽化しており,まだまだシーズンたけなわといった感じでした.

▲羽化直後のハラビロトンボのオス.

▲未熟なハラビロトンボのオス.

▲色が黒くなり始めたハラビロトンボのオス.

▲青灰色の粉を吹いたハラビロトンボのオス.

オスは,黄色いうちは未熟で,繁殖行動を見かけることはありません.しかし,黒くなってくると,青灰色の粉を吹く以前であっても,交尾を行っています.一方,メスは黒くならないので,淡い色が濃く地味になっていくだけの変化です.

▲未熟なハラビロトンボのメス.

▲成熟したハラビロトンボのメス.

休耕田にはものすごい数が飛んでいました.これは他のハンターたちにとってはおいしい餌場になります.案の定,アブに捕まったテネラルなメスがいました.

▲ムシヒキアブに捕まったテネラルなハラビロトンボのメス.

10:30を過ぎたころから,ぼちぼち交尾態が飛び始めました.繁殖活動が始まったようです.交尾態のペアは,オスに追い立てられながら飛び回ります.しつこいオスをやり過ごすと,草の間に止まります.交尾は数分で終わってしまいます.

▲オスがメスを捕まえると,まず移精行動をとり,続いて交尾態で飛び回る.

▲しばらく飛んだあと,邪魔が入らなければ止まって交尾を継続する.

交尾を解くと,メスはしばらく止まってじっとしています.その後産卵場所を探して,産卵を始めます.オスは初めのうちはメスのそばに止まったり,周辺を飛んだりして警護しています.他のオスの干渉が激しいと,メスを警護する暇がなくなり,結局他のオスに取られてしまったりします.

▲まだ粉を吹いていないオスがメスを捕まえ交尾を行った.

▲メスはしばらく止まったあと,水たまりで打水産卵を行った.

打水した瞬間はうまく撮ることができませんでした.ピンボケの写真を見ると,水滴が前方に飛んでいるのが分かります.オオシオカラトンボなどと同じように,飛水産卵を行っているようです.

▲最初に交尾したオスが他のオスを追いかけ回しているうちに,このメスは別のオスに捕まった.

▲交尾したあとしばらく止まる.

▲産卵を再開したメス.草の間にもぐり込むようにして産卵をする.

さて,今日はこのハラビロトンボと同じ場所に生息しているモートンイトトンボの交尾を観察するのも目的の一つです.そのため自宅を早く出て,この休耕田に着いたのは8時過ぎでした.モートンイトトンボは,もう減り始めたのか,意外と個体数が少なく,交尾を見つけるのに時間がかかりました.

▲朝早くに交尾するモートンイトトンボ.たくさんいるときは,歩くとあちこちから交尾態が飛び出る.

本当に朝にしか交尾しないという変わった習性のトンボです.生物時計と交尾のシグナルが連関しているのでしょうか.産卵は以前に観察しましたので,今日はこのあと,ヒヌマイトトンボの状況を見に行くことにしました.

ヒヌマイトトンボの観察に来る人は,もうほとんどいないような感じです.生息地は私の背の高さをはるかにしのぐ丈の高いヨシが密生し,歩くだけでも嫌になるほどです.木道が整備されているのですが,あちこちボロボロになっていて,歩きにくくなっていました.なんとかヨシを踏み倒して水面が見えるところまでたどりついて,やっとオス2,3頭と,羽化直後のメス2頭を見つけただけでした.まだ時期が早いのでしょうか? それとも個体数が減少しているのでしょうか.また7月に入ってから再調査をすることにして,今日はここまでとしました.

▲ヒヌマイトトンボの生息環境.

▲ヒヌマイトトンボのオス.個体数が少なかったのが懸念材料である.

▲おそらく羽化直後のヒヌマイトトンボのメス.

最後に,アカネ属の幼虫を調べに行きました.ネキトンボが2頭ほど採れました.その池にはオオイトトンボがたくさん集まっており,産卵を行っていました.そこで,これを観察することにしました.

▲タンデム.単独で飛んできたメスをさっと捕まえたオオイトトンボのオス.

▲たくさんのペアが,様々の姿勢で産卵を行っていた.

よく観察していると,あちこちで潜水産卵をやっていました.オオイトトンボはよく潜水産卵をやります.水に少し色がついているので,潜ったペアは茶色っぽい色になってしまいます.

▲たくさんいたので,時にこのように同じ場所に集まってくる.

▲潜水産卵をするオオイトトンボのペア.

ということで,順調に観察を終えることができました

(Part-2.に続く)

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No.601. ヤマサナエの探索.2018.6.11/13.

11日は曇りのち雨の予報でしたが,朝から日が差している状態でした.まあダメ元で,近くのヤマサナエの産地へ出かけてきました.長い間見ていないので,ヤマサナエの産卵を見たくて,一応攻めてみたのです.

▲路上に止まるヤマサナエのオス.

ときどき雲間から太陽が顔を出すので,ヤマサナエも出てきてはいました.後で気づいたのですが,オスは上の一枚.後は全部メスでした.たくさんのメスが出てきていたのですけれど,産卵行動をとるメスにはお目にかかれませんでした.

▲この上の2枚はすぐに飛んで逃げたこともあり,撮ったときはオスだとばかり思っていた.ダメですねぇ.

▲この3枚はメスだと認識して撮影したもの.このうち上2枚は同一個体なので,4頭出てきていたことになる.

ただ,これだけメスの比率が高いと,天候のよい日には,産卵が見られるかもしれません.今日は12:00ころになって雨が本降りになったので,観察を中止しました.まあ下見としてはよかったかもしれません.


続いて,6月13日にも,同じ所へ,ヤマサナエの産卵探索に行きました.13日は,近畿中部・南部は晴れの予報でした.観察地はやや北の方にあるせいか,ほとんど曇り状態で,ときどき日が差すといった状況でした.日が差したときだけトンボが飛び回りましたが,あとは静かな状態でした.

▲日が差すとさっと降りてきて木漏れ日のあるとことに止まる.ヤマサナエのオス.

▲葉上に止まり日に当たって休むヤマサナエのオス.

相変わらずメスが出てきていました.しかし,産卵に移行する個体はありませんでした.流れから少し離れた同じ場所に1時間以上止まっている個体もいましたし,流れのすぐ横に降りてきて,ときどき流れの上を飛んだりして移動しながら止まっている個体もいました.通常メスは産卵時以外は水辺に現れないように思っていましたが,メスのこういった行動もあるのだということを知りました.

▲流れのそばに降りてきて,流れの上を飛んだりして憩うヤマサナエのメス.

▲1時間以上もこのまま止まり続けていたヤマサナエのメス.

まあ,いずれにしても,ヤマサナエもだいぶん日齢が進んでいるようで,今年のヤマサナエの産卵観察も難しくなってきたように思います.帰りに,タベサナエのメスの生き残りに出会いました.まだ頑張っていますね.

▲タベサナエのメス.

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No.600. ウチワヤンマの観察.2018.6.9.

今日は梅雨の間の晴れ.ヤマサナエのリベンジに行こうかとも考えましたが,やはり心配なコフキトンボの探索に行くことにしました.本当にコフキトンボが少なくなっているのです.まず,近くの池で,周辺植生が豊かな,水のきれいな池に行ってみました.ここは以前からウチワヤンマの数の多い池です.だいたいウチワヤンマとコフキトンボはセットになっていることが多いので,コフキトンボに期待を寄せてみたわけです.池に着いたのが,8:30ころでした.池に入るなり,ウチワヤンマの交尾態が飛んでいました.

▲コフキトンボの下見に入った池で,いきなりウチワヤンマの交尾態の飛翔に出会った.

ウチワヤンマは結構朝早くから繁殖活動をしているようです.これを見てしまったら,今日はここでまずウチワヤンマをねらおうと方針変更しました.オスもたくさん止まっていますし,見込みは十分です.

▲ウチワヤンマのオスは10mおきくらいに止まっていたようだ.

オスは止まっているだけでなく,結構よく飛びます.今日は風がそれなりに強いので,オスは風に向かってホバリング状態で飛ぶことになります.こういう時は写真を撮るチャンスです.

▲止まりたそうに飛ぶウチワヤンマのオス.がこれは細すぎて止まれない.

▲急降下したり,急旋回したりと,自由奔放に飛び回るウチワヤンマのオス.

▲朝のうちだけだろうか,ウチワヤンマのオスはよく飛ぶ.

▲風に向かって飛ぶと,ほとんどホバリング状態になる.大型だし写真には撮りやすい.

交尾態は次々に入ってきます.はじめのうちは土手の上を走って追いかけたりしました.でもなかなかいい所で産卵を開始しません.遠くの方へ行って見失ってしまうばかりです.そこで,池の周囲を少し歩いて,ウチワヤンマが好きそうな産卵基質のある場所を探してみることにしました.すると,柳の木のかなり太い枝が切り落とされたものが,池に転がっているところがありました.直感がここだと指し示しています.

▲柳の枝の切れ端,称して「柳ポイント」.葉のついた枝が直立しているのでかなり以前からあるようだ.

そこで,ここで待つことにしました.相変わらず交尾態が入ってきて飛び回っています.もう,5,6ペアくらいは飛んだでしょうか.でも,私の待っているところへはまったく近づきもしません.

▲交尾態は池の周囲に沿ってよく飛ぶが,縄張りオスがそれを追いかけるので,交尾態は逃げ回る.

▲交尾態は私の立っているところを微妙に避けて飛んでいるように思う.

ウチワヤンマを待つ間に,柳の木にクロイトトンボ属のオスが止まっているのを目にしました.近づいてみると,ムスジイトトンボです.ムスジイトトンボは最近あまりお目にかかっていません.近くにはセスジイトトンボもいました.やはり,氾濫原の皿池には,こういったトンボたちが集まってくるんですね.

▲ムスジイトトンボのオス.眼後紋が細い.水色がオオイトトンボやセスジイトトンボと微妙に違う.

▲セスジイトトンボのオス.こういったイトトンボは沈水植物があると大発生するのだが….

そのうち,交尾態もあまり飛ばなくなりました.時刻は10:00を過ぎました.まだこの池の隅々までは調べていないので,柳ポイントを離れて,池の全周を回ることにしました.草刈りをしていないところにニセアカシアの幼木が茂り,棘に悩まされながら回っていきました.タイリクアカネのテネラルな個体が数頭草の中に隠れていました.ここは海岸近くの池ではありませんが,以前から指摘している通り,タイリクアカネはかなり内陸部で繁殖しているようです.

▲タイリクアカネのオス.今日羽化したところのようである.翅の前縁が黄色い.

▲タイリクアカネのテネラルなメス.メスは全部で4頭ほど見かけた.翅の黄橙色が美しい.

それ以外には,ウチワヤンマに混じってギンヤンマが飛んでいました.ウチワヤンマとあちこちで追いかけ合いをしていました.また,足元から交尾態も飛び出しました.

▲ギンヤンマのパトロール飛翔.池の上を広く飛んでいた.

▲ギンヤンマの交尾.草の中に潜り込んで交尾をしている.

池の裏側の草地にはオスのウチワヤンマが憩っていました.そうそう,肝心のコフキトンボですが,池を訪れた時に3頭見かけただけで,今はその姿も消えています.本当にコフキトンボは数が激減しています.ウチワヤンマはこれだけ残っているのに.

▲池の堤防の外側の草地で憩っているウチワヤンマのオス.

池を回って,しばらく柳ポイントで待ちました.でもほとんど変化はありません.観察を終えようかと思って,池の入り口の方に向かいました.すると,交尾態が草むらから飛び出しました.しばらく見守っていましたが,2度ほど私の前を通り過ぎた後姿が見えなくなりました.

▲池の入り口近くに止まるウチワヤンマのオス.一番ウチワヤンマらしい止まり方である.

その場で止まっているオスを眺めながら待っていると,また交尾態が2ペア入ってきました.どうも私が座っているところを避けて交尾態が飛ぶようです.縄張りオスが飛ぶ時も,私の立っている位置の前では微妙に距離を取って飛びます.ウチワヤンマは人間の姿に微妙に反応するようです.交尾態は向こうの方に行って見えなくなりました.

▲11:30ころに,交尾態の飛翔が,また活発になりだした.

そのとき,ふと思いました.先ほど柳ポイントの前で待っていた時も,交尾態は私の立っているところを避けるように飛んでいました.人がいるとダメなのかもしれない.柳ポイントは,この池では一番おいしい産卵ポイントだと私の直感は告げていました.ひょっとしたら今の交尾態は…,という思いで,急いで柳ポイントへ行ってみました.

いました.産卵していました.直感は大当たりです.ウチワヤンマは,産卵を始めると結構大胆になり,近づいて行ってもほとんど逃げるそぶりはありません.ゆっくりと,記録を撮りました.

▲やはり柳ポイントで産卵をしていた.人がいない方がいいみたいなので,次回からは隠れて待つことに!.

▲打水するポイントを見定めるかのようにホバリングする.

▲水面に近づいて目標を定めた後….

▲柳の枝に腹端を打ち当てるようにして,すぐに飛びあがる.

▲ほとんど同じ場所でホバリングしながら産卵を続ける.

▲打水した瞬間にはなかなかタイミングが合わなかった.

▲少し横を向いたところ.

ウチワヤンマの卵には細い糸のようなものが折りたたまれてついていて,水に触れると一気にほどけて様々な基質に絡みつきます.産卵時にも,この糸を引くように,腹端から基質へと細い糸が伸びることがあります.帰ってから写真を確認すると,たくさんのコマにこの糸が写っていました.

▲腹端の生殖口から糸のようなものが出ており,その少し下に卵が着いているのが見える(白矢印).

▲白い糸は産卵基質と腹端とをつないで伸びている.途中には2粒ほど卵が見える.

▲上とは異なるストローク.やはり,途中に卵が着いているのが見える.

最後は例によって顔シリーズで締めくくります.産卵中のメスの顔です.なかなか怖そうな顔をしています.髭のような黒斑があるのがユニークです.

▲ウチワヤンマのメスの顔.

さて,ほぼ午前中をこれに費やしました.観察を終えることにしました.池の入り口まで戻ると,また交尾態が飛びました.まさか「柳」の下にドジョウは二匹いないと思いながらも,もう一度柳ポイントへ行ってみました.もちろんいませんでした.でも,これで,決心がつき,今日の当初の目的であるコフキトンボの探索に行くことにしました.

一つ目の池は増水していて入ることもできずパス.二つ目の池は,もう10年も前になるか,コフキトンボが大発生していた池です.この池は町中にあるので,混雑を覚悟で行きました.コフキトンボはこういった開発がどんどん進んでいく,氾濫原の平地の池に生息しているトンボだと思います.それゆえ,生息地の消滅や悪化で数を減らしているのだと考えています.

さて,二つ目の池に着いてすこし覗くと,それなりの数がいました.町中なので少し離れた駐車場に車を止めてから池に行きました.この池は周りを柵で囲っており入りにくいのです.どこから入ろうかと思案をしていると,ウチワヤンマの交尾態が池の裏側にやってきて止まりました.

▲まず鉄管の支柱に止まった.薄暗い木陰の下である.

▲近づくと逃げて移動し,少し明るい木漏れ日のある木陰に移動した.器用に細い枝の先に止まっている.

▲交尾中に向きを変えた.オスとメスの上半身は重連の機関車のように見える.

ウチワヤンマの交尾態は,このように目立たないところで結構止まっています.池の周囲を飛び回るのは,こういった目につきにくいところでの静止交尾が終わってからのような気がします.交尾態で飛ぶのは産卵場所を探すのが目的かもしれません.

さて,コフキトンボは,暑さの中,日なたで止まっている元気者もいましたが,日陰で止まっているものも結構いました.繁殖活動はとても期待できそうにありませんので,後日ということにして,今日はいたコフキトンボを記録して終えることにしました.実はこちらの方が暑さで参りかけていたのかもしれません.

▲コフキトンボはオスの方が目立ったように思う.上の個体はすべてオスである.

▲この個体は,この池の前に寄った,一つ目の池で撮影したもの.

▲二番目の池でメスが写っていたのはこれ1頭だけであった.

コフキトンボの写真,無駄に多く並べた気がします.私の最も好きなトンボの一つがコフキトンボなので,こうなりました.最後にこの池での10年前の写真を一枚.これは7月の下旬に撮ったもので,今はまだ6月上旬,もう少しすればコフキトンボの数が増えてくることを期待して,今日の観察を終えます.

▲2008年,この池にいたたくさんのコフキトンボ達.こういう止まり方こそコフキトンボなのだ.

明日はまた雨,台風5号が接近するとの予報です.台風が通り過ぎたら,ヤマサナエのリベンジと,コフキトンボの観察といきたいところです.そうそう,この時期,キイロヤマトンボという難物も残っています.こちらは雨の後は川が増水するので不可です.また天気と相談することにしましょう.

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No.599. ヤマサナエからキイロサナエへ.2018.6.7.

今日は梅雨の間の晴れ,前線が南の方にあるので,北部の方が安定した天気になりそうで,北部へ出かけて,ヤマサナエの産卵観察にチャレンジしました.ヤマサナエは6月中旬までは観察ができますので,産卵観察はまだ大丈夫だと考えて行きました.思惑は大当たりで,真夏のような真っ青な空でした.

▲今日の観察ポイントにきっちりとやって来たヤマサナエのオス.流れの横の草に止まっている.

樹林に隣接した細流が観察ポイントです.上の写真のように,きちんとそこにはオスがやって来ています.観察は朝の9:30から始めました.太陽の日差しは強いのですが,梅雨前線の北側に入っていますので,風はからっとしていて心地いい感じです.10:57,少し離れたところにメスが入ってきました.早速近づいて行きましたら,ホバリングの高度を上げました.あっ,逃げるか,と思い,体を硬直させました.すると流れの上に高度を下げ産卵の体勢に入りました.ホバリングしているところをまずは,…と,思いきや,草の上に止まりました.

▲産卵ポイントを決めているのだろうか,流れの上でしばらくホバリングをしていた.

▲すると対岸の草に止まった.上の写真の右隅の草である.背中を向けているので卵塊形成は分からない.

ヤマサナエが産卵時に止まる? 産卵前に少し離れたところに止まるのは見たことがあるのですが,こういう産卵ポイントに止まるのは見たことがありません.まあ止まることもあるのかもしれないと思い,記録を撮り続けました.ところが,しばらく止まったあと,飛んだかと思うと打水してすぐにまた止まるのです.

▲飛び立った後すぐにチョンと打水して,再び岸の草の上に止まった.

▲2回目の静止.この時点で,卵塊を形成しているのが確認できた.

▲すると,また飛んで,打水する.打水の瞬間の写真は頭がフレームアウト(笑).

▲3回目の静止.私に対して横を向き,さらに少し向こうに傾いて,卵塊形成がもっとも見やすいアングル.

ヤマサナエは,今までの観察では,ホバリングしながら卵塊を形成し,その後打水して放卵,これを繰り返すという形式でした.これではまるでオジロサナエの産卵のようです.私はホバリングするところを撮影するつもりでカメラを構えているので,飛ぶ時間が余りに短くとても飛翔の記録がとれません.変だなと思っているときでした.足下に止まった3回目の静止写真を撮っているときに,これは本当に大サービスともいえるアングルに止まってくれたのですが,産卵弁が下に突き出ているのに気づきました.キイロサナエだったのです.

キイロサナエの産卵といえば,水面上のやや広い範囲をせわしなく往き来しながら間欠的に打水する方法,往ったり来たりしながら泥面に腹端を打ちつける打泥産卵,連続打水産卵(これは昨年初めて見ました),などを観察してきました.しかし,静止して卵塊をつくって,ちょっと飛んで打水放卵,また止まって卵塊をつくって打水放卵,という産卵形式は初めて見ました.ただ,上の写真のように,下に突き出た産卵弁は,卵塊を保持するのに都合のよい形であるように見えます.とすると,今日見た方法がある意味本来的な産卵方法なのかもしれません.ちなみに,図鑑類には,この産卵方法はきちんと記載されています.

▲また飛んで,打水する.幅30cmほどの細流であるのが分かる.

▲再び止まって,卵塊形成を行う.4回目の静止.

▲そして,また打水のために短時間飛翔する.

▲最後の5回目の静止.このあともう一度打水して,止まることなく飛び去った.

産卵は約3分間続き,11:00に飛び去っていきました.5回卵塊づくりのために止まりました.もうキイロサナエが産卵を始める季節になっていたのです.私は来週以降にキイロサナエの産卵観察を予定していましたから,ある意味前倒しで観察ができたといえますが,ヤマサナエの方がここではもう手遅れかもしれないと思ってしまいました.

そこで,周辺を,広い範囲に渡ってオスの出ている状態を調べてみました.すると,ヤマサナエは確かにまだ優勢でしたが,キイロサナエが出始めていました.

▲ハラビロトンボを食べているヤマサナエのオス.もぐもぐタイムである.

▲キイロサナエに混じって止まっていたヤマサナエのオス.

▲キイロサナエのオス.ほんの少しだけ,淡色斑にまだ黄色みが残っている.

▲キイロサナエのオス.尾部下付属器の方が上付属器より長いのでキイロサナエと分かる.

この付近は,もう,ヤマサナエからキイロサナエへとサナエトンボが移り変わり始めているんですね.ということで,結局ヤマサナエの産卵観察は叶いませんでした.しかし,ヤマサナエについては,遅く出現する産地が別にありますので,この後も時間的にはもう少し余裕があると思っています.

ところで,メインのヤマサナエ -転じてキイロサナエ- の観察の合間,あるいは終わってから,いろいろなトンボの状況を調べました.まずは,ヤマサナエの産卵を待っているときに,目の前で交尾してくれたシオカラトンボからまとめていきましょう.

▲9:40ころ.ヤマサナエの産卵を待っているときに,目の前にシオカラトンボの交尾カップルが現れた.

▲12:00過ぎ,シオカラトンボの警護産卵を見つけた.寄り添うようにオスは警護していた.

▲警護中のシオカラトンボのオス.腹部の灰青色の粉は,まだ透き通って見えるくらいうすい.

▲オスに警護されながら飛ぶシオカラトンボのメス.

▲打水した瞬間.これから水を掻くようにして,飛ばす.

▲メスの動きに合わせて体をくねるようにして飛ぶ.

▲打水したとき,やはり水滴が前方に飛んでいる.いわゆる飛水産卵といえる.

シオカラトンボもよく見るとまだまだ若くて新鮮な個体でした.オスに警護されながら産卵していました.打水の瞬間をよく見ると,前方に水滴が飛んでいるのが分かります.いわゆる飛水産卵ですね.

▲9:54.警護なしで単独で産卵するシオカラトンボのメス.

▲打水直後の状態.水滴が丸くなって点々と前方に続いている(白矢印).

上の2枚は単独産卵していた別の個体ですが,やはりメスの先端からは水滴が飛んでいます.水滴ははじめは細長いですが,すぐに表面張力によって球形になるようです.

ヤマサナエの産卵を待っているときに,林縁で,コヤマトンボが摂食し始めました.先日コヤマトンボの飛翔を撮影したので,もう一度試してみました.1枚成功しました.

▲薄暗い林縁で摂食飛翔するコヤマトンボのオス.

キイロサナエの産卵を見た後,ハッチョウトンボを見に行きました.ちょっと早いかな,という心配は杞憂でした.何頭かのオスがもう湿地の水辺に止まっていました.メスは周辺を探してみましたが,見つかりませんでした.

▲ハッチョウトンボのオス.私の感覚では少し早い気がするが,図鑑類では出現シーズンに入っている.

▲全部で5,6頭のオスを見つけた.

ハッチョウトンボのいる湿地に続く池には,たくさんのショウジョウトンボが飛んでいました.珍しく,ショウジョウトンボとハッチョウトンボのツーショットが撮れました.

▲上がショウジョウトンボのオス,下がハッチョウトンボのオス.どちらも赤い.

ショウジョウトンボのメスが産卵に来ていました.複数のオスに次々と追いかけられながらも,見事にそれをかわして数回打水し,また逃げて数回打水しを繰り返していました.また,小径には未熟なショウジョウトンボもいました.

▲ショウジョウトンボのオス.

▲ショウジョウトンボのメス.1/1600のシャッター速度でもぶれるほど動作が速い.

▲ショウジョウトンボの未熟なメス.翅のうす黄色がとてもきれいで,独特の体色である.

イトトンボ類では,クロイトトンボとオオイトトンボが産卵をしていました.もちろん,オス単独で飛び回っているクロイトトンボの個体は無数にいました.オオイトトンボもたくさんいましたが,クロイトトンボほどではありませんでした.

▲クロイトトンボの産卵.池のコカナダもに群がるように産卵を行っていた.

▲オオイトトンボのタンデムペア.

▲オオイトトンボは数が少し少ないせいか,敏感に私を察知して逃げ回った.

▲このメス一体何に産卵をしているのだろう.オオイトトンボのカップル.

驚きはコサナエです.コサナエのオスは,まだ5頭ほどを見ましたので,生き残っているんですね.もう,淡色部は,灰緑色で,複眼も「白内障」的な色になっています.もちろんトンボには白内障などはないと思います.元気にホバリングして周辺をパトロールしていました.そしてシオヤトンボもまだまだ元気に縄張り活動を行っていました.これらの老熟したトンボを見ていると,私も頑張らねばという気になります.

▲4月下旬に産卵を観察に来た.まだ元気に夏のトンボに混じって縄張り活動を行っている.

▲シオヤトンボのオス.なんとなく翅まで白っぽくなっている.真っ白に粉を身にまとっている.

翅が白く光る大型のトンボが飛びましたので近づいてみると,ギンヤンマでした.メスの翅が泥でドロドロ.オオヤマトンボの羽化殻も見つかり,大型のトンボも本格的に出現してきました.

▲ギンヤンマの産卵.メスが翅がボロボロで,泥がいっぱい付いている.

▲ギンヤンマの羽化殻.

▲オオヤマトンボの羽化殻.

今日の最後は,モートンイトトンボの観察です.これは午後が産卵タイムですので,ちょうどよい.ただ,これもキイロサナエと同じで,少し早いかなと思いながら休耕田湿地へ入ってみました.昨日の雨で全体に水が広がっている状況で,ポイントが絞りにくく,ちょっと探すのが大変でした.

▲モートンイトトンボのオス.眼後紋が笑い顔に見える.

▲モートンイトトンボの未熟なメス.

▲モートンイトトンボのテネラルなオス.

▲橙色からグリーンに体色が変化中のモートンイトトンボのメス.

オス・メス,未熟・成熟,雑多な個体が入り交じって生活していました.でも産卵には少し時期が早かったようです.緑色のメスはそれなりにいるのですが,産卵しているのは1個体だけでした.この個体も,非常に敏感で,私の動きを嫌がったのか,すぐに産卵を止めてしまいました.

▲産卵する成熟したモートンイトトンボのメス.まだ黄緑がかっていてコバルト色にはなっていない.

▲モートンイトトンボの産卵.ほんの少し移動して別の植物に産卵をした.

季節は確実に夏に移行しています.今日はニホンカワトンボやアサヒナカワトンボを見ませんでした.残された春のトンボたちも,「元気な後期高齢者」状態になっているようですね.この時期,たくさんの種類のトンボが見られるので,報告する写真の枚数も多くなっています.そういう季節ということですね.

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No.598. グンバイトンボの観察.2018.6.2. Part-2.

さて,本日のPart-2.はグンバイトンボの観察です.この場所は以前からグンバイトンボがいたのは知っていましたが,数が少なかったのです.ただ,今年は5月20日の予備調査でそれなりの数が見られましたので,今日ここでは初めての産卵観察を行うことにしました.

▲産卵するグンバイトンボのカップル.オスメス両方にピントを合わせるのは結構大変です.

このグンバイトンボは,Part-1.の最後で紹介した,アオハダトンボのオスがしきりに求愛ディスプレイをしていたカップルです.Part-1.からの場面転換にまず登場してもらいました.グンバイトンボはどこで産卵しているのか?.オスは結構あちこちでついつい飛んでいました.何しろここでは初めてですので,あちこち結構探し回りました.

▲流れの横の草むらを飛ぶグンバイトンボのオス.

▲流れの上に枯れ枝に止まるグンバイトンボのオス.色づきが成熟を示す.

そしてやっと見つけることができました.10:51のことでした.今日は川の水が少なかったので,所々で水が伏流しています.そんな流れの切れた下流側の,ワンド的な雰囲気のあるところで産卵していました.

▲この川で始めて遭遇したグンバイトンボの産卵カップル.

▲オスはまわりを監視しながらメスの産卵を警護している.

クロイトトンボが産卵ペアにちょっかいをかけますと,オスは,軍配のように広がった脚の部分を大きく広げて見せ,威嚇?します.メスはメスで腹部を上に曲げて反応します.これはどういう意味があるのでしょうか? 交尾拒否姿勢に似ていますが…

▲クロイトトンボが産卵カップルにちょっかいを出した.グンバイトンボのオスは軍配脚を広げる.

▲しつこくクロイトトンボが飛ぶので,これ以上開かないというほどに脚を広げて威嚇?する.

産卵ペアがこれ1組だけのせいなのか,とても神経質で,私の動きに敏感に反応します.すぐに移動して別の場所へと,落ち着いて産卵しようとしません.だいたいトンボは,個体数が少ないと敏感になる傾向があるような気がします.

▲神経質にあちこち移動して産卵する.

▲移動中のカップル.

▲翅を震わせてオスが警護している.

そんなとき,第2のカップルがやって来ました.最初のカップルのオスは,例によってグンバイの脚を広げて威嚇しました.第2のカップルは,このカップルとすれ違うような感じで飛んで,少し離れたところまで移動してから産卵を始めました.このカップルは神経質ではなく,多少のことに動じず産卵を続けてくれました.

▲突然,また軍配脚を広げたと持ったら,もう1組のカップルがやって来たからだったのだ.

▲すれ違うように飛ぶ2組の産卵カップル.今度のオスは淡色部が水色になって成熟度がより進んでいる.

▲2組目のペアを追うことにした.どんどん飛んで移動していく.

▲やっと産卵を始めた.ここでゆっくりと産卵を続けた.

ということで,グンバイトンボの産卵観察は終わりました.

今日は午前中時間があるので,この川にいるトンボをできるだけ多く記録しようと考えました.例によってトンボ歳時記特集の「移り変わるトンボたち」です.まず,コヤマトンボが飛んできましたので,これを今後のオオヤマトンボやキイロヤマトンボの撮影に備えての,ヤマトンボ科の飛ぶ姿の撮影練習としました.

▲コヤマトンボのパトロール飛翔.写真撮影の練習も兼ねてしばらく観察をした.

結構成功した枚数が多くて,今後に役立ちそうかな.では続いて,春のトンボたちの生き残りです.まだ結構生き残っています.まあ,いっても6月2日ですから,いても不思議ではありません.まずはサナエトンボ類以外のトンボから.

▲老熟したシオヤトンボのメス.とても渋い感じがするトンボになっている.

▲ニホンカワトンボの交尾.老熟したオスメス,まだ産卵をすることができるのだろうか.

シオヤトンボはもう老熟して黄褐色のくすんだ色になってしまっています.別種かと思うほどです.ニホンカワトンボはこの川でほとんど姿を見ないのです.5月20日もまったく見ませんでした.しかし,1頭のオスが,そのまわりの数頭のメスとともに,流れの一角で頑張っていました.次は,なんといってもここは川ですので,サナエトンボの類いです.タベサナエ,ホンサナエがまだ頑張っていました.ホンサナエはメスが道路に落ちていました.事故でしょうか? 寿命でしょうか.

▲春一番に現れるタベサナエのオス.

▲ホンサナエのオス.

▲路上に落ちていたホンサナエのメス.まだ息はあった.今年は変なところでホンサナエのメスに出会う.

ホンサナエのメスが見つかったことで,この場所で繁殖している確信が持てました.ホンサナエの好む砂泥環境があまりないのですけどねぇ,ここは.さて,次に,今の時期に一番活動が盛んなサナエトンボ,ヤマサナエとアオサナエ.どちらも数頭いました.

▲ヤマサナエのホバリング飛翔.

▲アオサナエは数頭見られた.

最後がこれからのサナエトンボたち.オジロサナエとコオニヤンマです.オジロサナエは写真に撮っただけでも5頭以上が羽化をしていました.コオニヤンマは成虫の姿は見られませんでした.でも羽化殻がひっそりと残っており,もう出現していることは間違いないということです.

▲オジロサナエオスの羽化.処女飛行の直後.

▲オジロサナエのメス.川岸水面近くから飛び立ったので,今日羽化していたのだと思う.

▲コオニヤンマの羽化殻.合計3個みつけた.成虫は山の方に上がっているのだろう.

今日は5時間ほどの観察でした.たくさんのトンボたちが見られました.今の季節はもっとも多くの成虫を見ることのできる時期です.ということで,今日は終わりにします.

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No.597. アオハダトンボの観察.2018.6.2. Part-1.

今日はアオハダトンボとグンバイトンボの観察に行ってきました.この2種は,毎年行く場所が決まっているのですが,今年はその場所が浚渫されてしまい,植生が全部剥ぎ取られてしまいました.まだアオハダトンボは飛んでいるようですけど,ちょっと嫌気が差したので,第二候補の地へ出かけることにしました.ここは5月20日の記事で紹介したところです.もう2週間ほど前になってしまいましたので,アオハダトンボもかなり消耗し始めているのではないかと,それが心配でした.この川はトンボの出現が半月ほど早い感じのする川です.アオハダトンボは普通,6月中旬が見ごろです.でもここのアオハダトンボは,ゴールデンウィークに羽化しているのを見たことさえあります.ということで,早速紹介を始めましょう.

▲アオハダトンボのメスの顔のアップ.直前まで摂食していたせいだろうか,顎が横に開いている.

まずはいきなりいかつい写真からです.今年は,何度も書いていますが,顔のアップで攻めることにしています.これはアオハダトンボのメスの顔のアップです.私もじっくり見るのは初めてです.かなり怖い顔をしていますね.さて,現地に着いたのは8:30ころでした.まだ草は露に濡れていました.アオハダトンボはもう水辺に出ています.2週間前に見たときより数が減っていると感じるのは気のせいでしょうか.結構探すのに歩き回らなければなりませんでした.オス・メスともすっかり成熟しています.

▲朝一番出会ったアオハダトンボのオス.

▲流れの中の石の上に止まるアオハダトンボのメス.透き通った翅が朝日に当たってきれい.

今日の目的は,アオハダトンボの求愛ディスプレイを記録することです.午前中はあまり繁殖活動をしないので,お昼近くまで待たなければなりません.でもこの間にいろいろなトンボたちの観察をしました.これはPart-2.で紹介します.11:30ころになると,オスの動きが活発になり始めました.しきりにメスに接近をしようとしています.しかし,メスは産卵意欲がないのか,交尾拒否の姿勢で対応しています.

▲交尾拒否姿勢を取るアオハダトンボのメス.翅を開いて腹部を上げる.オスは一気に交尾意欲を失う.

交尾拒否するときは,上の写真のように,オスが来たときに翅を開いて腹部を上に突き上げます.これが多分鍵刺激になっているのでしょう,通常オスはそれ以上メスに求愛をしようとはしません.アオハダトンボは,オスとメスが繁殖場所でいっしょに生活していますから,生理的に産卵準備ができていないメスは,こうやってオスにそのことを知らせているのだと考えられます.では,オスの交尾成功例を一連の写真で紹介しましょう.

▲オスの縄張り内にメスが入ってきて,水面の位置に止まる.オスは精一杯腹部を持ち上げアピールする.

▲オスの求愛ディスプレイに対し,メスは逃げずにそばを飛び回る.

▲メスは,オスを誘うように少し高いところに止まって,オスが来るのを待つ.

オスはメスが自分の縄張りに入ってくると,低い位置に止まり,腹部を大きく反らせてその先端部腹面の白い部分を目立たせます.メスはそれに反応して,近くに止まります.オスはそっとそのメスに近づきます.このとき交尾拒否姿勢を取らなかったら,しめたものです.メスはオスを誘うように,少し高いところへと移動します.オスは慎重にメスに近づきます.

▲オスが近づくとさらに高いところへ移動し,オスを引きつける.オスは慎重に近づく.

▲いよいよ大接近.メスは腹部を持ち上げることはなく,許容の姿勢でオスが上に乗るのを待つ.

上の写真のようにオスがうんとメスに接近しても,メスは腹部を上に突き上げません.翅を開いても閉じても,腹部はまっすぐ後ろに伸びたままです.そして,そのことを確かめたオスは,メスの背中に乗って,タンデム形成を行います.

▲翅のつけ根あたりにランディングする.時には縁紋のあたりにランディングし,下がっていくこともある.

▲前胸をつかんでタンデムになろうとしている.

▲少し場所を移動した.そして移精行動.タンデムになるとすぐに移精行動を行う.

▲そして交尾.翅を開閉させながら行うことが多い.なかなか交尾は難しそう.

タンデムになったらすぐに移精行動,そして交尾を行います.交尾は2,3分程度で終わります.メスはオスとの連結が解けたら,少し間を置いて産卵を始めます.

▲交尾したオスの縄張り内で産卵するメス.

▲オスは少し高いところからメスを警護している.

オスは近くでメスを見守ります.他のオスが産卵メスに近づいたら,激しく追飛して追い払います.くるくる旋回しながら,どこまでも,いつまでもやっていました.またかなり遠くまで追っていくこともあるようです.侵入オスは隙を見て産卵メスの前で腹部を持ち上げて求愛することもあります.しかし縄張りオスはそんなオスを激しく追い払います.下の写真は,この縄張りオス以外に,他の縄張りオスの追飛活動も合わせて,追飛行動として紹介しています.

▲オス同士の闘争.追飛行動.激しくくるくる旋回しながら飛び回る.

では,これ以外の,オスの成功例を紹介していきましょう.まずは12:30ころに見つけたペアから.

▲メスに接近するが,メスは許容の姿勢でオスを迎えている.

▲これだけ近づいてもメスは反応しない,いや許容姿勢のままで反応しているのか?.

▲翅のつけ根につかみかかり,タンデム形成を始める.相変わらずメスはされるがままを許している.

▲お酢は向きを変えて,上に乗るようにしてタンデム形成へ.

▲移精行動が終われば….

▲交尾に入る.

▲上の反対側から撮ったもの.

続いて,13:16ころに始まったペアです.この頃になると,暑さのせいもあって集中力が切れ,写真はかなりピントが甘くなりました.よってちょっと引いたアングルで紹介しましょう.

▲オスの縄張り内にメスが入ってきて止まった.腹部を下に曲げていて,産卵意欲はありそうだ.

▲オスは早速メスを追飛する.メスは誘うかのように飛ぶ.

▲例によって,メスは少し高い位置に止まる.

▲オスはすぐにはメスに近づかず,いったん水面の位置に止まる.目線は上を向いている.

▲腹部を持ち上げ,求愛信号を送る.メスは左上白矢印の位置.

▲求愛信号を送ったオスは,徐々にメスに近づいていく.

▲メスのすぐ後ろに止まって,メスの反応を見る.メスは交尾拒否の姿勢を示さない.

▲また例によってメスは一段高いところへ止まり場所を変える.オスはそれを追っていく.

▲オスの接近.やはりメスは許容の姿勢である.

▲オスはメスの上につかみかかるようにして乗る.

▲体の向きを変えて,タンデム形成に移る.相変わらずメスは動かずなされるがままである.

▲移精行動に移る.移精の瞬間はミスショット.

▲13:19’16″,交尾態を形成し,交尾開始.

▲13:20’42″,交尾継続中.

▲13:21’22″,交尾オスの縄張りで産卵開始.交尾継続時間は約2分程度であることが分かる.

実は,今日一番初めに産卵を見たのは,まったくオスの警護なしの単独で産卵するメスでした.川の中央で,コカナダモの組織に一人で卵を産み付けていました.翅は破れ,かなり日齢の経っているように見えるメスでした.川の中央で目立つように産卵しているのに,オスっていうのは気づかないんですね.

▲今日最初に見つけた,警護なしの単独産卵個体.11:30ころ.

最後にちょっと変わった事例を紹介して,グンバイトンボのPart-2.へ引き継ぐことにしましょう.あるオスが腹部を持ち上げてその白い部分を目だ立たせていました.周りにはメスはいません.どこか私の視界の外にメスが隠れているのかとも思いましたが,いくら探しても見つかりません.どうしたのだろうと,とりあえずいいアングルだったので,写真を一枚パチリ.

▲メスもいないのに求愛ディスプレイを開始した?.

そしてその後よく観察していると,このオス,産卵しているグンバイトンボのカップルに対して,求愛ディスプレイを行っていたのです.そう見えました.産卵ペアの方に向かって腹部を持ち上げ,何度も産卵ペアの方に向かってホバリング飛翔するのです.

▲産卵しているグンバイトンボの方に向かって定位ししている.

▲執拗に産卵しているグンバイトンボに近づいてホバリング飛翔を行う.

いや,これ,アオハダトンボオスの勘違いだったら,何が鍵刺激になっていたのでしょうね?

では最後に,今日の観察のまとめ,オスの求愛ディスプレイの典型的なシーケンスを記述しておきましょう.あくまで今日の観察にのみ基づいていますので,今後修正の余地があるかもしれません.

  1. オスの縄張り内にメスが入ってきて止まる.メスの止まる位置は様々だが,水面またはやや水面から離れた場所で,比較的低い位置である.
  2. オスは飛んでメスに近づくか,または静止したまま腹部先端を曲げて求愛信号を送る.飛びながら求愛信号を送る場合もある.このときメスに産卵意欲がなければ交尾拒否姿勢を取るか,または飛び去って,通常それで一連のシーケンスは終了する.
  3. メスに産卵意欲があれば,求愛信号やオスの接近に刺激されて,少し飛んで,水面から離れたやや高い位置に止まる.
  4. 求愛信号をまだ送っていないオスは,止まったメスの方向に定位し,求愛信号を送ってからそのメスに接近する.求愛信号をすでに送ったオスは,そのままメスに近づいていく.
  5. 交尾を受容する気のあるメスは,オスの接近に気づくと,さらにもう一段高いところへ飛んで止まる.
  6. オスは慎重にメスに近づいていく.このとき交尾拒否姿勢をとらず,腹部をまっすぐにしたままであれば,オスは交尾を受容しているとみて,メスの背中につかみかかってタンデムを形成する.
  7. すぐに移精行動に移る.時間は数秒程度.
  8. 移精行動が終われば,直ちに交尾に移行する.このときオスは翅を大きく開くことが多い.
  9. 交尾時間は2分程度.
  10. 交尾が完了すれば,オスはメスを放し,メスは十数秒間を開けてから,オスの縄張り内で産卵を始める.オスは少し離れた見通しのよいところでこのメスの産卵を警護する.

以上,仮説的ではありますが,だいたいこのようなシーケンスで交尾・産卵に至るようです.時に多少のバリエーションが見られることはあります.例えば,2.で交尾拒否姿勢を取られても,オスによっては執拗に求愛信号を送り続け,根負けしたのか,メスが3.の過程に入ることもあるようです.このあたりは,オスやメスの微妙な生理的状態の違いが左右しているのかもしれません.

このような一連のディスプレイが,トゲウオに見られるような,鍵刺激とその反応の連鎖による行動なのかどうかは,まだわかりません.でも,他の個体群の観察でも,ここの個体群の過去の観察でも,ほぼ同様の過程を経て交尾・産卵に至っていますので,かなり固定された連鎖行動であると考えられます.

(Part-2.へ続く)

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No.596. アオヤンマの観察.2018.6.1.

アオヤンマは,かつての生息地からどんどん姿が見られなくなっています.大型で特異な色彩のヤンマで,他に類似種はいません.だいたいどこでも,見た目の環境はまったく変わっていないのに,ある年から突然姿が消えるというパターンです.アオヤンマの数が減っているのは非常に残念な気がします.

現地に入ったのは10:00前.雲が太陽を隠しており,草の葉には露が付いていて,まだなんとなく朝が終わっていないような雰囲気でした.時刻的には,アオヤンマが探雌飛翔をしていてもおかしくない時間帯です.ひょっとしてここもアオヤンマが消えたのか? などと不安に思いながらしばらく待ってみました.程なく太陽が顔を出し,あっという間にアオヤンマのオスたちが飛び始めました.そのとき,メスを捕まえた1頭のオスが飛び立ち,少し向こうの方に止まったように見えました.メスも来ているようです.

▲ヨシやマコモの間を飛び回るアオヤンマのオス.

アオヤンマは,ヨシやマコモの間をついつい飛ぶ,独特の雰囲気があります.入れるところまで池に入って,できるだけ接近して観察をしました.以前の神戸市内の産地の観察では,朝8時ころに,ヨシ原の上で集団で摂食飛翔をするのを見ています.この生息地でも,数は少ないですが,晴れたあとにヨシ原の上で摂食する個体がいました.

▲ヨシ原の上で摂食飛翔するアオヤンマのオス.

私が入った所には,メスの羽化直後の個体が止まっていました.また,飛んでいるオスも止まったりしました.結構ラッキーな場所でしたね.

▲羽化直後と思われるアオヤンマのメス.

▲探雌飛翔で飛んでいるときにふと止まったアオヤンマのオス.

そんなとき,探雌飛翔しているオスが,マコモの茎に付いた何かにつかみかかるような動作をしました.思わずシャッターを切りましたらうまく写っていました.なんと,アオヤンマの交尾ペアに飛びかかったのです.

▲探雌飛翔していたアオヤンマのオスが「何か」につかみかかろうとしていた.

▲つかみかかったのは交尾中のペアであった.おかげで交尾個体を発見できた.

この交尾ペア,今まで目と鼻の先にいたのに,私はまったく気づきませんでした.この場所,先ほど飛び立ったペアが止まったあたりだったので,あのペアに違いありません.

▲私の目の前でかなり長時間交尾していたはず.まったく気づかなかったとは情けないデス.

▲最接近して撮影した交尾ペア.このあと嫌気が差したのか,交尾態のまま樹上へ移動した.

産卵を見たくて,結局15:00まで粘りました.14:00ころ,私の立っている場所の先3mほどの所から,オスがメスを連れ去りました.産卵に来ていたんですね.ヨシやマコモが密生しているので,産卵に入ったことや,産卵そのものを見逃すこともしかたありません.目の前に入ってくれないとだめなんですね.アオヤンマはそういう意味で産卵の記録を撮るのが難しい種の一つです.その後メスは入った気配はありませんでした.今日は結局,2頭のメスが産卵に入っていたことになります.

帰り道,コシアキトンボの未熟個体が,路上で摂食飛翔をしていました.空をバックにすると結構オートフォーカスが効くので,彼らの姿も記録しておきました.今年は,普通種もていねいに記録していこうと思っています.

▲あちこち舞ながら摂食するオスのコシアキトンボ.

▲接食中はオスとメスは入り交じっている.メスのコシアキトンボ.

さて,この1週間ほどの間に,トンボの世界が一気に初夏モードになったような気がします.ついこの間まで,小さな春のサナエトンボを追いかけていたような気がするのですが,ショウジョウトンボ,コシアキトンボ,チョウトンボ,コフキトンボと,どんどん夏のトンボが増えてきています.私的な暦の上でも,6月からを夏と定義していますので,その通りになっています.これからは初夏から夏のトンボを追いかけていくことになります.この2日ほど雨の日が続きましたが,きょうから3日間回復するとのことですので,また忙しくなりそうです.

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No.595. コフキトンボのロケハン.2018.5.29.

今日はどんよりとした曇り.こういった日には普通は調査には出かけません.これから夏の陣が始まりますが,一番不安に思っているのが,極めて普通種のトンボ,コフキトンボです.あちこちの多産地から姿を消しており,観察するのに手強い相手です.いまでも,1,2頭なら,あちこちで見られるものの,繁殖活動を観察できるほどたくさんいるところを今年は探しなおさねばなりません.いくつか候補地はあって,今日はそれを回ることにしました.幸い,空はときどき雲の間から日が差したりしています.

▲コフキトンボのオス.新しい個体は黒いシミがなくてきれいだ.

▲コフキトンボのメス.このメス,オスに水面にたたき落とされたが,逃げていった.

全部で5つの候補池を回りました.どの池でも2,3頭はいました.その中で一番数が多かった池には10頭を超える個体がいると思われました.でもコフキトンボがたったの10頭とは,心許ない.まあ,産卵環境はありましたし観察しやすい池だったので,本番はこの池でまず狙ってみることにします.

▲コシアキトンボのオス.

これらの池を回っているときに,もう夏のトンボが出ていることを知りました.平地の池ばかりですから,暖かくて季節の進行が早いのでしょうね.コフキトンボといっしょに飛び回っていたのが上のコシアキトンボです.今年初めて見ました.見ただけでも4頭いて,もう成熟して縄張り活動をやっているのですから,いや,早い!.羽化したのは多分10日程前でしょうね.この池では,アオモンイトトンボも産卵していました.

▲アオモンイトトンボ異色型メスの単独植物内湾卵.

▲ちょっと驚かせると,ピタッと産卵を止めてしまう.

別の池では,チョウトンボの羽化ラッシュという感じでした.もちろん羽化途中ということではなく,テネラルな個体が飛び回っている状態です.チョウトンボには,オスでは翅の黒色部の大きさやその出方に変異があり,メスでは翅の金属光沢の輝きに変異があります.テネラルなチョウトンボの翅の金属光沢は,成熟個体とはまた別のカラフルさがあります.

▲池横の草地を舞うチョウトンボたち.

▲チョウトンボのメス(上)とオス(下).草の中に入り込んで休んでいる.

▲チョウトンボのオス.前翅の先端部が透明なタイプ.

▲チョウトンボのオス.前翅の先端部にわずかに黒点があり,後翅に透明な部分があるタイプ.

▲チョウトンボのオス.前翅の先端部に広く黒色部があるタイプ.

▲チョウトンボのメス.紫地に金色の翅タイプ.

▲チョウトンボのメス.紫地に青から緑色が混じったタイプ.

▲チョウトンボのメス.このメスは,青地にうっすらと緑色が入っている,オスと同色型である.

ということで,お昼前後の4時間ほどを過ごし,雨もぱらついてきましたので,今日は終わりにしました.トンボの夏は確実に始まっているようです.

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