No.693. アオハダトンボの観察.2019.6.6.

いよいよ梅雨入りも近いとの予報.今日はその前の晴天.いろいろと行ってみたいところはありますが,アオハダトンボにしました.アオハダトンボは梅雨の時期のトンボですので,曇った日の記録が多いのです.太陽が射して水に透明感があるような絵があまりありません.

▲朝の日差しを浴びて翅を開閉するアオハダトンボのオス.
▲同じく朝日を浴びて翅を開閉するアオハダトンボのメス.

現地に入りますと,水位がものすごく低い.最近あまり多く雨が降っていないのと,田んぼに水を引いているためでしょうか.ツルヨシの茎や葉がが水に洗われるといった風景がありませんでした.その代わり底に根を下ろしているコカナダモが水面に姿を見せている状態で,アオハダトンボはそこに集まっていました.あまりきれいじゃないのですねこれが...

▲9時過ぎにすでに産卵を始めていたアオハダトンボ.
▲いくら水に透明感が出ても,薄汚いコカナダモでは,清流のイメージはしません.

アオハダトンボはお昼頃産卵すると思っていたのですが,9時過ぎにはもう産卵を始めていました.オスの縄張りの中で,オスの警護を受けながらの産卵です.この後ビデオを回し,12時ころまで頑張りました.すると,雲一つなかった空がいつの間にか全天雲だらけに.でもこのころに再び繁殖活動が活発化しました.しきりにメスに対するディスプレイが行われ,メスの方も産卵意欲が高まってきているようでしたので,すぐに交尾,産卵へと進みました.

▲さっと入って産卵を始めたメスに,オスが腹部を上げて誘いをかける.
▲オスは思い切って飛びたち,メスに接近を試みる.
▲素面に浮かぶような姿勢もちょっととったりして...
▲メスが高い位置に飛ぶと,ホバリングしながらそれを追いかけていき...
▲メスがさらに高いところへ逃げるとそれを追いかけ,...
▲ついに捕まえて,移精から交尾へ(草にうまくつかまることができず飛んで石の上に止まった).
▲メスを高く持ち上げるようにしてうまく位置を合わせて交尾にいたる.
▲そしてオスの縄張り内で,オスの警護を受けながら産卵を始める.

これで,このメスは,交尾オスの縄張り内で安心して産卵を続けることができます.他のオスがこのメスを奪いに来るような気配があると,縄張りオスは猛然と飛び立って,闘争を挑み,たいがい他のオスを追い払ってしまいます.

▲左が縄張りオス.右のオスが産卵をしていたメスを見つけ,近寄ろうとしている.
▲両者の闘争が始まった.左が縄張りオス.
▲闘争の途中オスの体がメスに触れたようで,思わず飛び上がったメス.

まあ,いつものことですが,こういった闘争があちこちで行われていました.観察は14:00まで続けました.メスは黙々と産卵し,オスは闘い続ける.初夏の昼下がりでした.この場所も浚渫されると一気にダメになってしまうように思えます.ここより下流は浚渫が行われているからです.まあ,今年も無事を確かめたというところです.

▲黙々と産卵に集中するメス.
▲警護しながら,他のオスやさらなるメスを監視する,オス.

さて,アオハダトンボにつきものなのがグンバイトンボです.今日はグンバイトンボの姿が少なかったように思います.アオハダトンボは,広く分散せずコカナダモのあるところに集まっているため,密度が高く感じられました.グンバイトンボはちょっと違う植物に卵を産むようです.

▲グンバイトンボの若いオス.

グンバイトンボのオスはちらほら飛んでいるのですが,タンデムになったペアがなかなか見つかりませんでした.やっとのことでワンペア見つけ,記録を撮ることができました.

▲タンデム態のグンバイトンボのペア.
▲ペアは飛んで産卵基質を探している.
▲ややっぱりコカナダモには産卵していないみたいだ.

これ以外にも,いくつかのトンボたちが姿を見せていました.アオサナエ,クロイトトンボ,セスジイトトンボなどのこの時期のトンボたちと,ニホンカワトンボの生き残りメスです.

▲アオサナエは,朝一番に見つけた.
▲セスジイトトンボはコカナダモのような沈水植物が好きなのに,数が少なかった.
▲クロイトトンボの交尾.水位が低く,川の一部が水たまりになっているところで.
▲ニホンカワトンボの老熟メス.まだ結構元気道に活動していた.

そして,次の季節の足音も聞こえ始めていました.オナガサナエが羽化していました.成虫は2頭,羽化殻は5,6個見つけました.また,もうハグロトンボが出ていました.10頭以上はいたように思えます.まだ羽も柔らかく,羽化してそれほど日にちが経っていない個体ばかりでした.アオハダトンボが消えるころには,この川はすっかり夏の景色になっていることでしょう.

▲処女飛行に飛び立ち,止まったオナガサナエのメス.
▲オナガサナエの羽化殻.石の上や草についていた.
▲ハグロトンボのテネラルなメス.

ニホンカワトンボ-アオハダトンボ-ハグロトンボ,と,順に出てくる3種のカワトンボが一同に観察できました.オナガサナエは夜に羽化し,朝が来るころに山へ飛び立つと思っていましたが,日が昇った後にも川にいることもあるのですね.

さて,明日からは雨の予報.梅雨入りするかも知れませんね.今年は,雨のシーズンは,幼虫の観察をしようと思っています.今日はここまで.

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No.692. 今日は空振り.2019.6.4.

先週は私用の連続で,まったくトンボを見に行くことができませんでした.というのは嘘で,私用の合間を縫って5月30日,アオヤンマを見に行ってきました.今年も元気に飛んでいました.そしてこの場所では初めて見るサラサヤンマの産卵も目撃しました.私用の合間ですので,写真はありません.

そしてやっとの事で今日,トンボ観察に行くことができました.日曜日が天気が悪く月曜日が好天,今日はその次の晴れ(といっても曇りベースの晴れ),私には,悪天候の二日後の晴れはあまり成果が出ないというジンクスがあります.悪天候の直後の晴れはとてもいい結果が出ることが多いのですが,一日置くと結果が出ないという...今日はまったくその通りの結果になりました.朝早くから,三本立てのコースです.まずは午前中,アオサナエの観察に行ってきました.

▲今日やってきた2頭のアオサナエのオス.今日はこれだけ...

現地では結構雲が切れて,よく日が射してくれたと思います.でも,メスの姿は全くなく,オスも,2頭やって来ただけでした.このうちの1頭は,私と縄張り争いを続けました.産卵にやって来るメスを持って行かれては困るので,オスの止まっているところをガサガサと歩き回り,オスをどこかへ追いやろうとしたのですが,飛んでは,私の足下へ戻ってきます.人間が怖くないのでしょうかね.写真の上の方のオスです.しまいにこちらが諦めてしまいました.でもメスが来なかったので,結局は人間のオスとアオサナエのオスは待ちぼうけでした.待っている途中,ヤマサナエがちょっと顔を見せました.

▲ヤマサナエのオス.

11:00に切り上げることにしました.次はムカシヤンマです.ムカシヤンマはだいたい正午を挟んでメスがやって来ます.去年観察した所へ行きました.ここは最近水が滲み出てくるようになったところです. ちょっと水の出方が少ないのであまりよい環境とは言えません.しかし開けているので写真が撮りやすいという利点があります.現地に着いたときは曇っていて,風も止み,まったくトンボがいませんでした.しかし日が射すと,ムカシヤンマのオスが1頭,この水の滲み出し斜面一帯をあちこち飛んでは止まるようになりました.

▲あちこち飛んでは止まるムカシヤンマのオス.

このムカシヤンマ,まだ体がきれいで若い感じがします.途中,もう1頭オスが入ってきましたが,激しく闘争を繰り返し,とうとう,どこかへ追いやってしまいました.水のしみ出す範囲は15m程度あるのですが,これをオス1頭が縄張りとして占有しているようです.結構広いですね.

▲いろいろなところに止まるムカシヤンマのオス.

13:00まで待ちましたが,メスが来そうな気配もなく,次の予定のサラサヤンマを見に行くことにしました.しかし,サラサヤンマの湿地に入ると,空はどんより曇り,しばらく太陽が顔を出しませんでした.やっとの事で顔を出したとき,1頭のメスが入ってきて地面に止まりました.近づいて行くと飛び,はいそれま~で~よ.てな感じで,終わりました.あと,待てども待てども,オスもメスも姿を見せません.空はますます重たい感じになってきますし,15:00で切り上げることにしました.ここにいたトンボは,老熟したシオヤトンボのメスだけでした.彼女独りで産卵をしていました.

▲サラサヤンマを待っている間,このシオヤトンボだけが「動く」物体でした.

ということで,今日は7時間ぐらい観察を続けました.しかし結果はこの通りでした.本当に何も飛ばない一日でした...明後日晴れそうなので,新しいところを開拓しにでも行こうか...今日はここまでです.

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No.691. ヒメクロサナエの観察.2019.5.26.

先日クロサナエを観察に行ったとき,ヒメクロサナエはほんのちょっと早いような気がしていましたので,今日行ってみることにしました.クロサナエの時は9時ころにヒメクロサナエが産卵に来ていましたので,ちょっと早めに着くように早朝に家を出ました.

▲ヒメクロサナエのオスたち.下りてきては2,3分で樹上に上がっていく.

早く出た成果は特にありませんでした.でもヒメクロサナエたちは7時台には活動を開始していることが分かりました.気温は20度くらいになっていたようです.

9時を過ぎてから活動が活発になり,オスたちは時々樹上から下りてきては,上がるといった行動を繰り返していました.しかしよく見ていると,オスが下りてくるところは,だいたい3カ所でした.つまり決まったところへ下りてくるのです.個体識別ができないので,同じ個体が同じ所へ下りてきているかどうかは分かりません.そして今日産卵に来た4頭のメスは,このオスがよく下りてきて止まる3カ所で産卵をしたのです.つまり,オスはメスが産卵に来るところを的確に押さえているのです.

では,その3カ所の産卵を紹介しましょう.まずは10:40に産卵に入ったメスです.典型的と言ってよい産卵場所です.このメスは飛んでくると,ほとんど躊躇なくピタッと止まって,すぐに産卵を開始しました.産卵終了後は ,腹端をこするように体をくいっくいっとひねって飛び去ります.

▲石の上に止まって,水のないところに卵を置く,ヒメクロサナエの産卵メス
▲腹端からピンク色の卵が出てきているのが分かる.
▲放卵している腹端部の拡大写真.ピンク色の卵が押し出されるように生殖口から出てきている.
▲産卵が終わって,腹端を少し左にずらして体をひねった.

実は,この産卵場所のすぐ横の石の上に,すでに早朝,オスが来て様子を見ているのです.オスメスの飛来のタイミングが合えば,オスはメスをゲットできるんでしょう.本当にオスはメスが来るところをよく知っています.

▲上の産卵場所のすぐ横に下りてきてしばらく止まっていたヒメクロサナエのオス.

この産卵ポイントは,以前からメスがよく下りてくるところで,微小環境がメスを引きつけやすい形になっているのかも知れません.この場所には,この後すぐにもメスが産卵に入りました.しかしこちらは,私の近づき方が乱暴だったせいか,産卵を中断して飛び去ってしまいました.上のメスですが,産卵が終わって飛び立とうとしたとき,どういうわけか転がって落ちてしまいました.

▲産卵を終えて飛ぼうとしたが,飛べずに転がり落ちたメス.

次にメスが入ったのは11:40でした.ここは,私にはあまり好適な産卵環境ではないと思っていたところです.でも,オスはよく樹上から降りてきて,この周辺に止まるのです.

▲2カ所目の産卵場所近くに止まる,ヒメクロサナエのオス.
▲上のオスの止まっていたクレソンにつかまって産卵するヒメクロサナエのメス.11:40.

こんな格好をしてでも産卵するんですね.そしてオスは本当によく知っています.私が来ないだろうと思っていたところに,メスはきちんと産卵に来ているんですから.上の産卵場所のすぐ横に苔むす石があるのですが,そこにもオスがよく止まります.23日の写真ですが掲載しておきます.

▲このすぐ向かいに上のメスの産卵場所がある.2019.5.23.撮影.

さて,3カ所目が面白いところです.以前紹介したことがあるのですが,私の長靴の踏み跡に産卵に来るパターンです.上の2件と違って,泥の中に産卵をしています.ここには,オスが何度も下りてきます.また産卵はしませんでしたが,朝の時間帯に,2頭のメスがこの場所の上を低空で往き来し,いかにも産卵しそうな飛び方をしました.それはこんな場所です.

▲白矢印:産卵場所,黄矢印:下の写真のオスの位置,橙矢印:二つ下の写真のオスの静止位置.
▲靴の踏み跡の産卵場所に集まるヒメクロサナエのオスたち

この場所に産卵に入ったのは11:53でした.踏み跡の上を慎重に数回旋回した後,おもむろに着地しました.しかし腹端で探った感じが会わないのでしょう,すぐに飛んで,別のポイントで産卵を始めました.

▲この最初の着地点は腹端の触感でダメだったようだ.すぐに飛んで,着地点変更!.
▲私の座っているすぐ足下に止まって産卵を始めた.
▲位置を変えて横から撮影した.腹端からピンク色の卵が出て,泥に混じっていく様子が分かる.

この,卵を泥の中に置くというのは,典型的な産卵とちょっとスタイルが違うに見えます.でも卵を泥に混ぜてしまうという方が,石などの上に置くよりも,天敵から護りやすいように思えます.

さて,ヒメクロサナエの観察は12:00ころに終わりました.その間にクロサナエも2回産卵に来ました.こちらはビデオで記録しました.それでも,下りてきたオスの数は23日とは全然違ってかなり数が少なかったようです.またムカシトンボも複数やって来て,メスは産卵をしていました.今年はムカシトンボが本当に遅くまで活動しています.羽化数が多いのか,羽化が遅れたのか,...多分両方でしょう.

▲クロサナエのオス.

ここで源流域とはお別れし,帰りにちょっと平地の池をのぞいてみました.コサナエはまだ生き残っていました.ヤマサナエが活動を始めているようでした.オオイトトンボやクロイトトンボも活発に活動していました.その他クロスジギンヤンマ,ヨツボシトンボ,シオヤトンボなど,春のトンボもいました.気温は34度でしたが,春のトンボのくせに,結構頑張って日向で活動していました.

▲コサナエのオス.
▲コサナエのメス.もう黄色味はなくなっている.
▲ヤマサナエのオス.川で繁殖活動を行っていました.
▲クロイトトンボの交尾.キイトトンボらしい羽化殻が付いている.
▲小川で産卵しているオオイトトンボのカップル.

ということで,今年もムカシトンボ,クロサナエ,ヒメクロサナエと,春の源流域のトンボたちを観察し終えることができました.今日はここまで.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No.691. ヒメクロサナエの観察.2019.5.26. はコメントを受け付けていません。

No.690. クロサナエの観察.2019.5.23.

約一週間前にムカシトンボを観察に行きました.そのとき,クロサナエやヒメクロサナエはまだ早いように感じました.そこで,今日はこれらのトンボの状況を見に行ってきました.結果は,ヒメクロサナエは活動は開始しているもののまだ少し早い感じで,クロサナエは最盛期,そしてムカシトンボはまだまだ頑張っているといった状態でした.

▲今日はクロサナエがたくさん下りてきた.

クロサナエはかなり動いていて,樹上から降りてきたかと思うとまた飛んでいく,といったことを繰り返していました.ちょっと枚数は多いですが,たくさん見たということで,写真もたくさん掲げてみます.

▲結構退屈しないほどにはクロサナエと出会えた.

この時期の源流域のトンボ観察は,とにかく待つ,これ一つです.同じ場所に陣取って6時間, 今日は粘ってみました. クロサナエは,オスがのべ15頭くらい樹上から下りてきたようです.でも川での滞在時間はせいぜい2,3分.すぐに樹上へ帰って行きます.たくさん下りてきたオスに対し,メスは2回産卵に来たのと,通過したのが1回,そしてオスに連れ去られたのが1回でした.

▲目の前をさーっと通過し,ちょっとだけ止まったクロサナエのメス.

上の写真は通過個体です.どこかで産卵していたのかも知れません.1回目の産卵は発見が遅く,記録は撮れませんでした.2回目は何とか記録が撮れました.

▲2回目の産卵.12:00過ぎ.枯れ枝のたまった場所に卵を落としている.
▲産卵するクロサナエ.一番下の写真では落ちる卵と産卵弁に残っている卵が見える.

クロサナエは,写真のように,一つずつ卵を落とします.落ちる卵は割合写真に写りやすいので,おそらく連続して卵を落としているのだろうと想像できます.そういう意味で面白い写真が撮れました.下の写真には,産卵弁に2個の卵が,続くように並んで写っています.そしてこれをすぐ上の写真と比べますと,卵は,産卵弁から,ベルトコンベアーに載せられているかのごとく,すき間なくつながるように押し出されてきて,先端まで来たら一つずつぽろぽろ落ちていくのではないかと考えることができます.コサナエ属と違って,クロサナエなどダビドサナエ属は,身体全体を振って放卵するという動作はとりません.小さく移動しながら,卵を爆撃機の爆弾のように落としていくだけです.

▲産卵弁に2個の卵がつながるように出てきている.先端の卵は今にも落ちそうである.

クロサナエは,メスが産卵に下りてくると,必ずと言っていいほど,少し後にオスが同じ場所に下りてくるのです.今日もこのメスの後にオスが下りてきました.下のオスです.

▲上の産卵場所のすぐ横の石の上に下りてきて,止まったオス.

ご覧のように,クロサナエは活動最盛期のように見えました.けどメスの数が少なかったのが残念です.これはきっと,雨の後の晴れだった昨日にたくさん出てきていたのではないかと,悔し紛れに解釈しておきました.

さて,クロサナエに負けずよく見かけたのがムカシトンボでした.今年はムカシトンボの発生数が多いように思えます.例年ですとこの時期にはもう数の減少を感じるのですが,今年はまだ感じられません.オスもよく飛んでいましたし,あちこちの葉に産卵痕が見られました.発生が遅いこともあるでしょうが,5年とも8年とも言われる長い幼虫期間を持っているムカシトンボ,個体数の年変動は,同時出生群それぞれの個体群密度の違いを反映しているのかも知れません.今年の出生群は個体数が多い群なのかも知れません.

▲メスを探して飛ぶムカシトンボのオス.右上の葉に産卵痕が見える.
▲流れに落ちている葉に産卵動作をするムカシトンボのメス.これはすぐに飛び去った.

2時を過ぎたころです.待っていた私のすぐそこにムカシトンボが産卵に入りました.本当はクロサナエを待っているのですが,来た獲物はすべていただくと言うことで,しばらくこちらを記録しました.近づいて行くと,もう1頭別のメスがほぼ同じ場所に産卵に入り,ダブル産卵になりました.

▲ムカシトンボのダブル産卵.上の葉と下のコケで,それぞれ産卵をしている.
▲上の方の葉で産卵するメス.
▲下の方のコケで産卵するメス.
▲上の方のメスが左記に場所を移動した.
▲このメスはさらに移動したが,そこはすでに別のメスが産卵していた(別のメスの産卵痕が見える).
▲下のメスは産卵を終えた後しばらく飛べなかった.草にぶら下がっている.

このダブル産卵の途中,1頭のオスがメスを探しながらすぐそばを飛びました.でもオスはこの2頭のメスのどちらも見つけることができなかったんですね.止まっているメスは見つけにくいのでしょうか.ギンヤンマなどは,産卵ペアをめざとく見つけるのですけどねぇ.これ以外にもメスが1頭入りました.入った場所が非常に見にくいところでしたので,もう放っておきました.たくさんいるとこんな贅沢な感じになってきます.

さて,これ以外にはヒメクロサナエが時々下りてきました.動きは始まっているようです.また産卵にも来ました.実は,到着してすぐ,1頭のヒメクロサナエのメスが産卵にやって来て,カメラを持って近づこうとしたら,すでに別のメスが同じところで産卵していたようで,それが驚いて飛び立ち,飛び立ったことに驚いて,入ってきたメスも逃げてしまったのです.きょうはヒメクロサナエの産卵はこれ1回きりでした.

▲ヒメクロサナエのオス.下りてくる回数はクロサナエよりやや少ない感じであった.

今日は,天気予報で,大気が不安定なので雷雨が降るかも知れないという予報でした.雷が鳴ったら帰るという感じで粘っていましたが,天気予報はいい方に外れ,最後まで晴天でした.産卵はあまり見られませんでしたが,オスたちの元気な姿が濃かったのがよかったです.帰り道でヒラサナエを見に立ち寄りました.

▲ヒラサナエのオス.ヒラサナエの数はとても少なかった.

今日はここまでにします.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No.690. クロサナエの観察.2019.5.23. はコメントを受け付けていません。

No.689. 普通のトンボたち.2019.5.17.

ここのところちょっと動きすぎで疲れが出てきたみたいなので,今日は近くの定点池に,普通のトンボたちの様子を見て過ごすことにしました.春がちょっと遅かったですが,その後どうなっているでしょう,ということです.まずは,春のトンボたちの状況です.成虫越冬性のホソミオツネントンボとホソミイトトンボがまだ元気に活動していました.

▲ホソミオツネントンボの交尾.この池では数が少ないトンボである.
▲ホソミイトトンボの交尾.まだ,そこそこの数が活動していた.

次は,春早くから羽化して春の間だけ見られる,いわゆる春季種と言われるトンボたちです.タベサナエ,トラフトンボ,ヨツボシトンボなどです.この池でタベサナエを見たのは初めてで,産卵までしていました.ヨツボシトンボはたくさん活動していました.交尾も一度見ました.トラフトンボは,複数見かけましたが,最盛期は過ぎた感じです.でもトラフトンボの交尾態が1回入りました.あと写真になりませんでしたが,フタスジサナエとクロスジギンヤンマが飛んでいました.

▲トラフトンボのオスが急旋回したところ.首は傾かず,首から下が傾いている.
▲産卵に来たタベサナエのメス.
▲ヨツボシトンボのオス.だいぶん老熟してきていて,色がくすんでいる.

一方で,夏を中心に活動するトンボ,いわゆる夏季種も現れ始めていました.ショウジョウトンボ,ハラビロトンボ,クロイトトンボ,アオモンイトトンボ,ギンヤンマ,オオヤマトンボなどです.これらのトンボもすべて繁殖活動期に入っていました.この中でアオモンイトトンボは,この池では初記録です.あと,アジアイトトンボを見かけましたが写真にはなっていません.

▲クロイトトンボの交尾.春季種と同じくらいに早くから出現する.
▲アオモンイトトンボの交尾.
▲ショウジョウトンボのオス.数頭池面を元気に飛んでいた.
▲池の中ほどで打水産卵するショウジョウトンボのメス.打水の波紋が見える.
▲ハラビロトンボのオス.ハラビロトンボは5,6頭見かけた.
▲ヨツボシトンボに,メスと間違えられて池面に落とされたシオカラトンボの未熟なメス.
▲オオヤマトンボのオスのパトロール飛行.
▲ギンヤンマの連結植物内産卵.

ギンヤンマの連結態は,池では非常に目立つ存在でした.よく飛ぶのですが,他のトンボたちがそれを追い払います.また,産卵しているペアが気になるのか,別にパトロールをしているギンヤンマの単独オスが,近くに寄ってじろじろと眺めて飛んでいました.

▲あちこち移動しながら,産卵を続けていくギンヤンマのペア.
▲産卵するペアをじろじろと眺めながら飛ぶギンヤンマの単独オス.

ということで,この池にはたくさんのトンボが集まっていました.ホソミオツネントンボ,ホソミイトトンボ,クロイトトンボ,アオモンイトトンボ,アジアイトトンボ,ギンヤンマ,クロスジギンヤンマ,フタスジサナエ,タベサナエ,トラフトンボ,オオヤマトンボ,ハラビロトンボ,ショウジョウトンボ,シオカラトンボ,ヨツボシトンボと,なんと一つの池に15種のトンボが集まっていました.春のトンボは遅かったですが,夏のトンボはいつも通り出てきて,両方がいっぺんに観察できる状態だったからでしょう.普通のトンボも,これだけ集まってたくさん飛んでいれば,眺めていて飽きません.

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No.688. ムカシトンボの観察.2019.5.16.

5月の半ばが過ぎましたので,ムカシトンボを見に行ってきました. 本来はもっと早いほうがいいのですが, 今年はトンボの出現が遅いので,この日に設定してみました.天気予報は晴れでしたが,11時ころから曇り始め,もう一つパッとしない天気でした.しかしムカシトンボは結構飛んでいて,今が盛りという感じでした.

▲メスを探すように飛んでいるムカシトンボのオス.

9時過ぎに現地に入りました.すぐにムカシトンボのオスが入ってきました.しかし,その後はパラパラという感じでした.とにかく待つだけということで,メスがやって来るのを待ちました.10時過ぎ,はっきりとメスと分かる個体が,産卵基質となる植物をていねいに探すような飛び方をしました.

▲産卵基質を探しながら飛ぶムカシトンボのメス.

後を追いかけていくと,産卵を始めました.このムカシトンボ,普段あまり産卵しないような植物への産卵動作を行いました.例えばシダの表面や,大きな葉を持つ植物の葉柄などです.しかしすぐにムリだと判断したのか,最終的にはミツバ?の葉柄に産卵を行いました.今までの観察では,産卵植物は目で判断しているようで,それであまり失敗はないように見えるのですが,このメスは試行錯誤しているように見えました.まだ産卵経験が少ないのでしょうか.

▲シダの葉の表面に止まって産卵動作を行うムカシトンボのメス.
▲大きな葉を持つ植物のかなり太い葉柄に産卵するムカシトンボのメス.
▲ミツバ?の葉柄に産卵するムカシトンボのメス.

この後,空が曇ってきて,しばらくトンボの動きがありませんでした.それでも12時を過ぎたころから,メスがポツポツ入って来るようになりました.その中に近づいてもなかなか逃げない人なつっこいメスがいて,この娘としばらく時間を過ごすことにしました.ただ,この娘,やたら植物深くもぐり込むので,なかなか写真になりません.

▲草の中にもぐり込んで産卵を続ける人なつっこいムカシトンボのメス.
▲草を手で動かして見えるようにして撮影した.メスは全然動じず産卵を続けている.

ひとしきり写真を撮ったので,邪魔な草を手で動かしてみました.でも全然逃げません.でも,片手で草を押さえ,もう片手で撮影というのはあまりうまくいきません.しかも,草がいっぱいで,ストロボの光が草に遮られて,うまくトンボに届きません.仕方ないので,見通しのよいところに出てくるのを待ちました.産卵を始めてから30分たらず経ったとき,やっと,草の中から出てきて見通しのよいところで産卵してくれました.

▲30分ほど経ったとき,やっとさえぎる物のない場所で産卵をしてくれた.
▲葉の先っぽで産卵を続けるムカシトンボ.まわりをあちこち移動して撮影している.

今年は川のトンボが少ないと前に述べましたが,ムカシトンボに関してはそれを感じることはありませんでした.ムカシトンボの幼虫は,腹部をピタリと岩に貼り付かせ,石のすき間にもぐり込んでいますので,もともと流されることのないように適応しているようです.今日はここまで.

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No.687. ニホンカワトンボの観察など.2019.5.13.

昨日まで観察が難しいトンボの行動を追いかけてきて,ちょっと疲れ気味になりました.今日はたくさんいるトンボの行動をじっくりと観察したいと思い,ニホンカワトンボを見ることにしました.予定地に行く前に,別の川の,アオハダトンボのようすをちょっと見に寄りました.

▲アオハダトンボのオスとメス.まだやや若い.

アオハダトンボの個体数は去年より少ないと感じました.ざっと見回っただけですが20頭もいなかったような気がします.いつも一緒に見られるグンバイトンボは0.他にはシオカラトンボ,クロイトトンボ,セスジイトトンボ,ニホンカワトンボなどがちらほら.一番個体数が多かったのは,タベサナエでした.これは去年以上にたくさんいたような気がしました.ただこれは,川の水量が少なく,伏流によって小さな水たまりになっている場所に,タベサナエが集中的に集まっていたからかも知れません.

▲川の畔で縄張り活動をするタベサナエのオス.

まあ,アオハダトンボなどはまだ時期が早いためか,とあまり深く考えませんでした.朝のうち曇っていた空も晴れ上がってきて,暑い太陽が照りはじめて来ました.ニホンカワトンボは正午ころから繁殖活動が開始されるので,そちらへ移動することにしました.今日はビデオを回すのが中心です.

現地に着くと,意外や意外,ニホンカワトンボがほとんどいません.ダビドサナエも少ない.去年の喧噪が嘘のようです.

▲日当たりのよい石の上に2,3頭のダビドサナエがいた.
▲腹部挙上姿勢をとるダビドサナエのオス.ゴミのプラ袋がいやらしい.

現地に着いたのが11時ころだったこともあって,まだ繁殖活動は始まっていませんでした.しばらく待つよりありません.しかし,この個体数の少なさは…,あまりにも去年と違うので,今年はビデオ撮影は無理かも知れないと思ったほどでした.なんせ,川に出ているオスが,3,4頭なのですから.その少ないオスのうち,いかにも産卵基質になりそうな朽木のそばに陣取っているオスのそばに,撮影位置を決めました.ここは日当たりもよく,撮影位置としては申し分ありません.

▲ニホンカワトンボが好きな産卵基質,大きな朽木を縄張りに持つオス(ビデオの切り出し).

よく見ると,縄張りのすぐ上に,メスも止まっています.メスは時間が来るまで産卵をする気配を見せませんので,これは可能性があると思いました.

▲縄張りのすぐ上の方に止まっているメス(ビデオの切り出し).
▲このオスの縄張り.大きな朽木の左側を排他的空間にしている.白矢印:メス,黄矢印:オス.

本当に面白いもので,まさに時間通り,正午を回った12:16,メスが産卵に降りてきました.このオスの縄張りのど真ん中です.別のオスもそれを見つけて,メスを追うように縄張りに侵入しましたが,このオスに追い払われてしまいました.そしてオスは悠々とこのメスを捕らえて交尾,そして縄張り内で産卵をさせました.

▲悠々とメスを捕らえて,縄張り内で交尾(ビデオの切り出し).
▲縄張り内で産卵するメス.

良い資源(産卵基質)を持つオスの所にはメスが複数入り,ハーレム状態になることが多々あります.このオスの縄張りも,見渡した限りでは一番上質のようで,その後もメスがやって来て,交尾,産卵が行われました.

▲2頭目のメスとの交尾(ビデオの切り出し).
▲そしてダブル産卵へと….(ビデオの切り出し).

まあ,後は延々と産卵が続くだけの時間になります.13:30くらいまでは観察を続けました.2回目のメスが飛んだとき,このオスはこれを捕らえて再交尾をしました.やがて,メスの姿も消え,産卵のひとときは終わったようです.

改めて,産卵時刻になって個体数が増えていないか,周辺を調べてみました.他に産卵しているメスは2頭のみ.オスも確認したのは4頭.産卵しているメスにはオスが警護に付いていません.つまりオスが見逃しているのです.これほどオスが少ないということです.本当に去年の十分の一以下の数です.こんなに一気に減少した原因として考えられるのは,昨年7月初めの長期豪雨です.おそらく孵化したばかりの小さな幼虫が,その隠れ家である植物の沈積物と一緒に流されてしまったのではないでしょうか.そういう意味で,今年は,川によっては,トンボの数が少ない所があるかも知れません.

最後の確認の時,ヤマサナエが羽化していました.

▲ヤマサナエの羽化.

ニホンカワトンボをはじめとしたカワトンボは,どちらかといえば観察しやすいトンボたちですが,その行動はユニークで,見ていても飽きません.でも,それを映像にとらえるのは,非常に難しい.今日の観察結果をいちおうまとめました.興味のある方はどうぞ.

ニホンカワトンボの観察記録のビデオ(MP4)
カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No.687. ニホンカワトンボの観察など.2019.5.13. はコメントを受け付けていません。

No.686. コサナエ属の調査終了.2019.5.11.

今年の5月上旬は,コサナエ属の調査一色という感じでした.オグマサナエだけ繁殖活動の観察ができていないので,今日,一昨日見つけた,オグマサナエがたくさんいたところ付近を調べて,繁殖活動が見られなければそれで,今春のコサナエ属の調査を終えることにしました.というのは,そろそろ川のトンボが賑やかになる頃だからです.

ということで,まずは朝,コサナエ属の産卵を見た池に行ってみました.朝9:00に現地到着.ちょっと遅いのですが,昨日の疲れが出たのか,寝坊しました.例の池にはまったくトンボがいません.しばらくするとコサナエ属のオスが入ってきました.近づいてよく見ると,フタスジサナエでした.

▲一昨日は1頭しか見かけなかったフタスジサナエが降りてきた.

なんか嫌な感じです.オグマサナエはどうでしょうか…,しばらく池のそばに立って見張っていますと,9:43,池岸の陸上部分でコサナエ属が産卵しているのを見つけました.色といい,大きさといい,産卵行動といい,どう見てもフタスジサナエです.近寄ってみますと,その通りでした.

▲右の影のように見えるのが池面で,陸上部の草の中で産卵している.
▲陸上部分で産卵するときは体を軽く振るだけで,緩やかな動きで産卵を続ける.

決してフタスジサナエが嫌いなわけではないのですが,どうもねらいのトンボが来ずにフタスジサナエが来ると,がっかりしてしまいます.気を取り直して,もう少しようすを見続けることにしました.別のフタスジサナエが池の枯れ枝に止まりました.

▲フタスジサナエのオス.

オグマサナエの姿はまったくありません.どこか別の所に繁殖活動を行うところがあって,みんなそちらへ行っているのかも知れません.10:14,足下に産卵メスが入りました.一目見てフタスジサナエと分かりました.

▲今度のフタスジサナエは水際で産卵をした.
▲産卵する2頭目のフタスジサナエ.

これで腹を決めました.ここはここまでとし,一昨日のもう一つの池に行くことにしました.12:00頃に池に入りますと,オグマサナエのオスがきちんと止まっていました.こちらが正解だったかも知れませんね.まあ,愚痴を言ってもしかたありません.ここでしばらく待ってみました.オグマサナエの他にタベサナエもいて,オスどうしが追いかけ合いをしていました.

▲池の中の枯れ枝に止まっているオグマサナエのオスたち.
▲これはタベサナエ.タベサナエも混じって縄張りを形成していた.

気温はどんどん高くなるし,オスたちは活発に活動しているし,これではメスがやって来たとしても,簡単にオスに捕まるか追われてしまうことは明白です.そこで,いったん引き上げ,夕方に来てみることにしました.再びやって来たのは16:40ころです.池に入りますと,オグマサナエはいなくて,タベサナエが堰堤に沿って縄張りを広げていました.昼に来たときはオグマサナエが真ん中に陣取って,タベサナエが隅の方にいたのですが,オグマサナエがいなくなると,昼間オグマサナエが止まっていた枝にまでタベサナエが止まっていました.オグマサナエの方が強いのでしょうか?

▲タベサナエがまだ頑張っていた.この枝は昼間オグマサナエが止まっていた枝.

さて後は待つだけです.タベサナエのオスと人間のオスが縄張り争いをしながら,メスが来るのを待ちました.しかし,まったくメスの姿を見ることはありませんでした.18:00に終えることにしていました.18:00が来たとき,タベサナエのオスはまだ粘っていました.昨日のホンサナエのように,最後にメスをゲットできるかな? 頑張ってねと心の中で言って,池を後にしました.

▲18:00になっても,まだ頑張っているタベサナエのオス.

ということで,今年は結構頑張ってみましたが,オグマサナエの産卵を見ることができませんでした.去年はヤマサナエに固執しましたが産卵を見ることができなかった,そして今年はオグマサナエ.なかなかトンボも手強いです.

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No.685. コサナエとホンサナエの観察.2019.5.10.

今日から三連続晴れのもよう.まずは,コサナエとホンサナエを見に行きました.兵庫北部へは一週間前に行ったのですが,コサナエはまだ出始めという感じでしたし,ホンサナエには出会うことはできませんでした.もう十分出てきているでしょう.まずはコサナエから.現地に9:10ころ到着すると,コサナエの姿がまったくありません.ちょっと肩すかしを食らった感じでした.待つしかありませんので,待っていますと,メスが入ってきました.居ることは居るようです.最初のメスは気づくのが遅れ,撮影を逃しました.写真は2回目のメスです.

▲メスはこんな感じで入ってくる.草の間で音もなく産卵するので見逃すことが多い.
草の間で産卵を続けるコサナエ.

そのうちオスもポツポツと降りてきました.今年は去年より個体数が少ないのは事実のようです.メスも結局この後1頭入っただけでした.

▲なんか今日のオスはのんびりしている感じだ.

この池には,コサナエ以外にもいろいろなトンボが活動していました.まずはヨツボシトンボ.最近はヨツボシトンボも数が減ってきた感じがします.ここは,10頭くらいのオスが池を飛び回り,追尾行動を盛んにやっていました.メスも3回ほど産卵にやって来ましたけれども,もう,オスに終われて大変でした.数回打水したと思ったら交尾,の繰り返しです.何度も何度も違うオスと交尾を強要されていました.

▲止まっている時間はほんのわずか.落ち着く間もなく飛び回っていたヨツボシトンボのオス.
▲産卵にやって来たヨツボシトンボのメス.
▲打水の直後.打水の波紋と,水を前方に飛ばした水滴の波紋が見える.
▲打水の直後であるが,常に逃げ回っている.

クロスジギンヤンマもオスが2頭,飛んでいました.時々出会って追尾し,3頭目が入ってきたら池の外へ追いやっていました.小さな池ですので,クロスジギンヤンマはこの池では2頭分の縄張りが限度のようです.メスも産卵にやって来ましたが,オスに追われてすぐに逃げていってしまいました.ヨツボシトンボにしても,クロスジギンヤンマにしても,これが従来の姿ですね.メスは落ち着いて産卵ができないという…

▲池を縦横に飛び回ってパトロールするクロスジギンヤンマのオス.
▲産卵にやって来たクロスジギンヤンマのメス.

オオイトトンボは,まだ羽化している個体をたくさん見ました.しかし成熟個体の数が増えてきて,今日は産卵しているのを見ることができました.もちろんオスはあちこちで飛び回っています.産卵しているペアにちょっかいをかけるオスもたくさんいました.

▲オオイトトンボのオス.
▲通常の産卵姿勢.オオイトトンボ.
▲他のイトトンボがまわりをうるさく飛び回ると,オスは立ち上がって羽ばたく.

これら以外には,前日観察したホソミオツネントンボもまだまだ元気に活動していましたし,ホソミイトトンボの数が増えたような気もしました.池は昼ごろになると,いつの間にか,賑やかな春の池になっていました.

▲まだまだホソミオツネントンボの活動も続いている.
ホソミイトトンボは数ペアが産卵,単独オスも目立った.

さて,後半は,ホンサナエです.ホンサナエの繁殖活動は,昨年の観察から夕方ということでしたから,移動時間はたっぷりあります.ゆっくりと移動しました.現地に着くと,なんと,空が曇ってきました.やや厚手の薄雲?に太陽が覆われ,風も強くなり気温が下がってきました.ホンサナエは3頭のオスが暖かそうなコンクリートの上に止まっているだけでした.今年は数が少ないのかなと思いしばらくは見ていました.

▲時々薄日はさすものの曇ってしまった.影が淡いあるいはないのが分かるだろう.ホンサナエのオス.

川の上を飛ぶ個体もいません.去年はいっぱい飛んでいたのに.今年はホンサナエも個体数が少ない年なのか…,と,ちょっとがっかりしました.川岸に座っていると眠くなってきたので,空も曇っているし,仮眠をとりました.そして,2時過ぎにもう一度様子を見て,状態が変わらなければここまでにすることにしました.しかし状況は変わらず,相変わらずコンクリートの上にオスが止まっているだけです.ところが,すぐ横に,メスが突然飛来して,卵塊を作り始めました.14:08です.

▲卵塊をつくるホンサナエのメス.

俄然元気が出てきました.アドレナリンが出てきたのでしょうね.ただ,長靴を履かず,運動靴で座っていたために川に入れず,このメスはいい角度で撮ることができませんでした.さてこうなると,ウエーダーに履き替えて,完全装備で待つことにしたのは当然の流れです.曇っていて涼しい風が吹いているので,夕方の雰囲気になってメスがやって来たのかも知れません.待っていると,オスが突然飛び立ち,タンデムになってメスを山へお持ち帰りしました.産卵にやって来ているようです.こういう夕方にやってくるトンボは,曇りもまんざらではないようです.こうなると不思議なもので,どこからともなくオスが現れ,去年ほどではないものの,数頭のオスが川面を飛び始めました.

▲水面をパトロールするホンサナエのオス.腹部をやや持ち上げ頭を下げた姿勢で飛ぶ.

ところが,皮肉なことに,雲がだんだんと切れてきて,晴れ始めたのです.普通なら喜ぶところですが,ここでは逆.こうなると,もう夕方まで待つしかありません.陽が山の稜線に沈むまで観察を続けることにしました.オスたちは飛んだり,川の中にできた州に止まったりしています.

▲ひとしきり飛ぶと,時々止まって休憩する.ホンサナエのオス.

その後も時々メスが入ってきましたが,今日のオスたちは素晴らしく,次々とメスをゲットし連れ去っていきました.陽はどんどんと西に傾いていきます.いつの間にかオスの姿が消えていました.そして川面に涼しい風が吹き始めました.繁殖タイムの感じです.オスもいないし,ここでメスが入ればと空想していましたら,オスが1頭戻ってきました.いやはや去年もそうでしたが,こういうオスっているんですね.やがて,夕方が来て,山の稜線に陽が沈もうとする時刻がやって来ました.このオスはまだ粘っています.一方メスは全然やって来ません.昼下がりに数頭来たのが今日のピークだったんでしょうか? 

▲私と一緒に最後まで頑張ったオス.影が長くなって夕方であることが分かるであろう.

1頭だけ水面を高速で飛ぶメスが来ましたが,これは産卵しませんでした.そしてついに日没.先のオス君も姿が消えていました.彼も諦めたんだな,と思っていると,頭上をタンデムになって飛び去るホンサナエが….やられましたね,彼はきっちりとメスをゲットし,今日最後の収穫を得て,山へ帰っていきました.いや,あっぱれオス君.今日は君たちに負けました.今日はメスがのべ7回入ってきました.うち2回は通過のみ,4回はオスに連れ去られ,1回だけ卵塊づくりを観察,という結果になりました.まあ,写真記録は撮れませんでしたが,元気にホンサナエが活動していることは確認できましたので.これで良しとしました.18:30観察終了.

▲空高く飛び上がってメスをお持ち帰りするオス.今日はこればかり見せられた.
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No.684. 続々 オグマサナエの探索.2019.5.7.

かなりしつこくオグマサナエの探索をやっています.コサナエ属においては,フタスジサナエ,タベサナエ,コサナエの3種について,ゆっくりと繁殖・産卵活動を観察することができる生息地を知っています.しかし,オグマサナエだけは,まだ偶然に頼っての観察になっています.なんとか,観察したいときに観察できる,それなりに数のいる生息地を見つけたいと毎年頑張っています.ただ,この時期,いろんなトンボが一斉に出てくるので,のんびりとオグマサナエだけ相手にできないというのが実際の所でした.しかし今年は,幸か不幸か,トンボの出が遅く,この時期に見に行くトンボが,もうないのです.

そこで今日は,また別のオグマサナエが見られる場所へ行きました.ここも結構オグマサナエがいるのですが,どこで繁殖しているのか,今ひとつはっきりしないのです.オグマサナエがパッとしなかったときのために,タベサナエの産卵をビデオに撮るというのもメニューに入れておきました.現地に入りますと,まずはタベサナエが迎えてくれました.

▲タベサナエのオス.十分成熟が進んでいる.
▲タベサナエのメス.少し若い感じがする.

タベサナエはたくさんいて,農道を歩くと,次々飛び上がりました.オグマサナエも,タベサナエに混じって農道に出てきており,少し飛んでは日向に止まります.今日は風が冷たく気温も15度程度でしょう.それでも快晴の太陽が照りつけている地面は暖かいようです.

▲オグマサナエのオス(上2枚)とメス(下).

オグマサナエの成熟程度には,若干ばらつきがあるように見えました.タベサナエはみんな十分に成熟しています.歩みを進めていきますと,なんか下手くそな飛び方をするタンデムがいました.よく見ると,タベサナエのオスが,オグマサナエのメスを掴んでいます.異種間連結というヤツですね.

▲タベサナエのオス+オグマサナエのメス,異種間連結.

今日もきちんとオグマサナエがいることは分かりました.そろそろタベサナエの産卵の時刻がやって来ますので.まずはビデオを回しに行きました.ここのタベサナエは木漏れ日が射す日陰にやって来て産卵します.待っている間,風が冷たく震えてしまいました.産卵には3回やって来ました.うち1回は,オス君の待つドンピシャの位置にメスが入って,あっという間にメスは水面にたたき落とされ,タンデムになってお持ち帰りされました.今日はメスの訪れが少ない感じでしたが,人間でさえ震えるくらいの寒さですので,タベサナエも日陰に入りたくないのかも知れません.ビデオの切り出しを載せておきます.

▲産卵場所でメスを待つオス.
▲水際の陸地で産卵するタベサナエのメス.背景の水面に青空が反射している.

ということで,再びオグマサナエの探索に切り替えました.道には相変わらずオグマサナエが止まっています.メスを捕まえてもがいているオスがいました.このオス,メスに攻撃されているように見えます.オスがメスの下敷きになるという変な格好になっています.ほどなく,オスはメスを放して飛び去りました.

▲オグマサナエのオスがメスを捕まえたところ.体勢が変.

こんなにいろいろなところを見られても,繁殖池が分からない.というのは,オスがたくさん集まっている池が見当たらないのです.いるのは道路上ばかり.これは一昨日行ったところでも同じでした.今ひとつオグマサナエの生態がつかみ切れていないように感じます.しかし,何とか,以前から目星をつけていた池をのぞきに行ってみますと,そこから,羽化したてのオグマサナエが飛び出してきました.また池の前の農道にも,オグマサナエのメスが止まっていました.この池で繁殖活動をやっていることは間違いないようですね.しかし,やはり池にはオグマサナエのオスは止まっていませんね.

▲池から飛び出してきたオグマサナエの羽化直後のメス.
▲池のすぐ前の農道に止まるオグマサナエのメス.

この池は後日早朝か夕方に観察に来ることにしたいと思っています.さて,まだ時刻は昼過ぎ.もう一カ所,今度は新規開拓で,当てずっぽうで近くの別のところに行ってみることにしました.ところが,これが大当たりでした.コサナエ属のトンボが飛んでいるのですが,ほぼ全部オグマサナエ.フタスジサナエが1頭混じっていましたが,タベサナエは見つかりません.しかも,産卵まで見ました.この個体数の比率からいうと,オグマサナエの可能性が高いです.写真は,例によって,シャッター速度を変更させている間に,産卵を終えて逃げられました.何度おんなじ失敗をやったら気が済むのでしょうね.

▲目に付くコサナエ属で写真を撮ったものは,ほとんどオグマサナエであった.

まだまだ写真は撮りましたが,この程度にしておきます.産卵を見た池で1時間ほど待ちました.しかし産卵には来ませんでした.ここも攻めてみる価値はありそうです.昨日のように,産卵に来たと思ったらフタスジサナエだったということはあまりないように思えます.そう,最後に今日見た唯一のフタスジサナエを載せておきます.

▲フタスジサナエのオス.探せばっまだいるかもしれないが,個体数は少ない.

ということで,一日がかりで,次の目標を設定することができました.明日は私用があって,晴天なのにダメ.明後日以降,今年は何とかオグマサナエの産卵を観察したいものです.その後は,コサナエ,ホンサナエ,ムカシトンボと続きます.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No.684. 続々 オグマサナエの探索.2019.5.7. はコメントを受け付けていません。